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即席小説

Makuranage Online~春の陣~ その壱

作者: エントラル

完成までに時間がかなり掛かるので、短編での分割投稿にしてあります。これはプロローグに相当します。

某県某市とある観光地の温泉宿にて……。


「何なんだこれは……」


ここはとある観光地の旅館の風呂の前にある休憩場所。普通ならば沢山の椅子と机、そしてマッサージチェアが置かれている所だ。風呂上がりにのんびりとくつろぐ人が主に利用する。自分は風呂上がりに喉が乾き、冷水でも頂こう かと思っていたのだが……。


そこには見たことのない機械が置かれていた。マッサージチェアの形をした椅子に、頭に被る機械が満載されたヘル メットのようなもの。椅子のバックには無線LANの大型機器。どう考えてもほのぼのした雰囲気を醸し出す旅館には似合わない。しかもそれは何台も連なっている。そして誰かが使っているのか、一台は黒い蓋で閉じられている。


そしてその真上の天井からは宣伝用のつもりか、看板が垂れ下がっている。そこにはド派手にこう書かれていた。


「Makuranage Online 今晩の御膳料理のランクアップを賭けて勝負をしてみませんか? 1 Play 300円」


「Makuranage……見事に英単語で格好つけてる題名だけど……ただの枕投げだぞ?」


俺は呆れながら呟く。枕投げ。それは小学生時代に修学旅行……いや、旅行と名のつく行事ならば誰でも(少なくとも男ならば)やろうと考える定番の遊びだ。やったことは勿論ある。だが今考えれば馬鹿らしいことこの上ない。ただの枕の投げ合いなのだから……。それが……。


「まさかのVRMMOになったんだな……」


今俺のいる時代はVRMMOゲームが主流の時代だ。ヘルメットのようなものを被る、若しくは機械の通った枕に頭を預けて意識総体を仮想世界に転送して遊ぶ。先代のテレビ画面、はたまた携帯型ゲーム機に目をやる時代から見ればそれは夢のような技術だ。


そして今や壮大な仮想世界を舞台とした冒険物RPGや、自身がキャラをそのまま操作するアクション系のゲームが台頭している。現世では再現出来ない異世界のようなものとか。人々はそれに憧れ、その要望に答えるように各VRMMO制作を担う株式会社がこぞって生産し、メディア社会に送り出してきたのだが……。


「今どき枕投げか……」


ジャンルとしては異端だろう。オンラインゲームならば出たときに宣伝の一つはするだろうが、俺はこんな意外性のあるゲームなどゲームショップで聞いたことがない。


とすると……これは今では珍しい部類に入るアミューズメント施設に置くVRMMOか?ご丁寧に盗難対策として近くにコインロッカーと、ログイン中に邪魔をされないように座る椅子の上から巨大な黒い硬化プラスチック製のカバー 、そして休憩場所に居座っている旅館所属の警備員。防犯対策は十分にされていた。


枕投げ。ルールは至って簡単なものだ。ただ枕を投げ合うだけ。しかし、VRMMOとなっているのだ。絶対に何かしらひねりが加えられている筈である。いや、むしろ捻られ てないとこれ程つまらなくなるゲームはない。


そう考えると興味が湧いた。一応念の為に近くの壁に掛かる柱時計で時間を確認する。今は午後3:45。そして夕食のオーダーの時間はチェックインの際に6:30で設定してある。少なくとも2時間はログインしていられる計算だ。 まぁ、相手に勝ち続ければという苦しい前提での話だが。


「やってみるか……」


これでも枕投げ歴7年(全て行事分なので実践経験は4回程度)。枕で友人を何度もぶっ飛ばし、障子を破壊した実力だ。久し振りの実践に腕が鳴る……かな?


幸い、既に浴衣姿でいるので貴重品は部屋の鍵だけだ。それに警備員がすぐ傍で見張り続けているのだから大丈夫だろう。天井に目を向ければ無数の防犯カメラ。絶対これの為だ。


俺は早速プレイ用の元マッサージチェアに腰掛けて座ると、機械を搭載したヘルメットを被る。そして右側に置かれた硬貨投入口に100円玉3枚を投入した。何故かお金の投入が電子マネーに対応していないのが不思議だった。


〈ではリンクまでしばらくお待ち下さい。なお、アカウントを持つプレーヤーはログイン用パスワードの用意をお願いいたします〉


そんな電子アナウンスが被ったヘルメットに取り付けられた小型スピーカーから無機質に流れると、ゆっくりと上から黒いカバーが降りてきて自分の身体を覆い隠す。まるで戦闘機が発進するような気分だった。


〈これよりリンクを開始します。目を閉じて下さい〉


機器が本格的に機動し始める。これはどこのVRMMOでも同じ動作だ。だから俺は小声でこう呟いた。


「リンクスタート」


Makuranage Online。社会から隠されたそのオンラインゲームは、全国の旅館にしかない仁義なき戦いだということを俺はその身を持って知ることになる。


ログイン直後、傍にいた警備員は戦場に向かう兵士の身を案じるように静かな声で彼に言葉を掛けていた。長さ1メ ートルにも達する木刀を腰に差し、腕には客室に置く白い枕を抱き抱えながら。


「枕こそ最強なのだよ、少年」

ログイン後はどうなっているのか……?それは完成していないので、今は脳内完充でお願いします。

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