悲劇
あれは、小学校3年生の頃だった。 俺にも友達がいた。
ある日、自転車でレースをしようという話になった。 全く、子供だなあ。 今なら思える。 今なら、なぜあのとき話に乗ったのだろう、と思える。
俺は自転車のスピードには自信があった。 だから受けたのだろうか。
誰かの声と同時に、全力でこぐ俺、そして相手。
スタートダッシュで遅れをとった俺は、いつもよりこいだ。
徐々に差を詰めて、最後のコーナーで相手の内側に入ることに成功した。 しかし、いきなり相手がこちらに寄せてきたのだ。 抜かされないようにととった行動なのだろう。
当然、交錯する。 交錯すると━━━━━━━転倒する。 今回も例外なく、転倒する。
これは自然の現象であって、物理の法則に則ったもの。 自然の、物理の中生きる我々人間には抗うことのできないものなのだ。
転倒の末、起こる最大の恐怖。
怪我である。
怪我をしたのだ。 両肘、両膝に━━━
これが原因で、俺は短パンを穿かなくなった。 自転車でスピードを出すのもなくなった。
人間は、一つの出来事から、ひょんと変わるものなのだ。 だから、裏切りが起こるのかもしれない。