第802話 奴隷のいない国(2)
「————ようこそ、お出でくださいました、クロノ様」
跪き、深々と頭を下げるのは、漆黒の巨躯に立派な二本角を備えた、正に悪魔と呼ぶに相応しい姿の男。事実、彼は悪魔の種族としては有名なディアボロスである。
ジョセフ・ロドリゲス・カーラマーラ大公。
このパンデモニウムを支配する、女王リリィに次ぐナンバー2の地位に就いた人物だ。
彼と会うのは二度目。スパーダへと帰る前に、リリィ達が世話になった、と挨拶だけはしておいた。
「顔を上げてくれ。俺はただの冒険者だ」
「とんでもございません、貴方様は唯一、リリィ女王陛下の上に立てるお方」
「気を遣ってくれるのは嬉しいが、俺は貴方に命令できる立場にないのは事実だ。無理を押し付ける気はない」
「はっ、お心遣い、感謝いたします」
非常に堅苦しいジョセフであるが、その態度も仕方ないだろう。
確かに俺は冒険者身分のままだが、その気になればいくらでもリリィにワガママを言える立場にある。アイツ気に入らないから潰して、とか非人道的なお願いをすることだって不可能ではない。
そんなヤンキー男に頼むクソ女みたいな真似をするつもりはあるはずもないが、他人からすれば、そういうことができる、という可能性があるだけで恐ろしいものだろう。
まして、パンデモニウムでリリィに逆らえる者は一人もいない。やはり独裁国家……
「それから、久しぶりと言うべきだろうか、ゼノンガルト」
「ふっ、エミリアが初めて連れてきた男が、よもやカーラマーラの真の支配者になろうとは、この俺の目を以っても見抜けなかった。黒仮面アッシュ、いいや、『エレメントマスター』のクロノよ」
今、このジョセフの屋敷に集っているのは、もう一人いる。
それがゼノンガルト。カーラマーラ最強の冒険者パーティ『黄金の夜明け』のリーダー、というのは昔の話。
今はパンデモニウムの大公ジョセフが持つ『混沌騎士団』の団長を務めている。
エミリアと同じ亜麻色の髪に、凛々しく整った端正な顔立ち。そして鍛え上げられた逞しい肉体を包むのは、俺達が着ているのと同じ黒い軍服。
メチャクチャ似合っていて、悔しいほどにカッコいい。
たとえリリィに負け、その下についたとしても、ゼノンガルトは以前と変わらぬ威風堂々とした姿で、俺の前に立っていた。
「様をつけなさい、ゼノンガルト騎士団長」
「はっ、仰せのままに。大変失礼いたしました、クロノ様」
ひえぇ、あの傲岸不遜を絵に描いたようなゼノンガルトが、リリィの一言でひれ伏してるよぉ……
幸いと言うべきか、すでに彼の頭には『思考支配装置』は外されているが、この反応を見ると本当に悪夢の洗脳から解き放たれているのかどうか不安になる。
「リリィ、いいんだ。ゼノンガルトには、謝らなければならないこともあるし」
「エミリアのことは気に病むな。あれも一人の女として、ここから去ることを自ら選んだのだ」
「だが、俺のせいで余計な勘違いを————」
「それ以上は言うな。言うべきことは、エミリアと再び出会った時に言えばよい、クロノ」
「二度は言わないわよ」
「失礼いたしましたクロノ様!」
「いや、もういいから……」
正直なところ、エミリアがカーラマーラから出て行ったことについては、兄であるゼノンガルトに責めてもらった方が、気持ちが楽だったかもしれない。
どうして彼女が、俺と顔も合わせずに出て行ったのか。その気持ちを想像することはできるが……それでも、ちゃんと会って話をする機会は欲しかった。俺が記憶喪失だったのは事実だが、リリィと仲間だったことも真実だ。エミリアを騙したつもりはないが、それでも結果的には……という実にややこしい状態である。
釈明したところで、素直に納得してもらえるとは思えないが、それでも俺が言わなければならないことではあるだろう。
「さて、ジョセフとゼノンガルトの二人に集まってもらったのは、ちょっと相談があるからなの」
「なんなりとお申し付けください」
言いつつも、「無茶ぶりは御免だよぅ……」という心の声がジョセフから聞こえてきそうである。
リリィは実際に聞いていそうだけど。テレパシーというのは、恐ろしいよな本当に。
「アヴァロンの裏切りと、スパーダとの同盟締結のことは、昨日、伝えた通りよ」
「ふん、どれだけ兵を出せるか、ということであろう」
実に察しがいい、ゼノンガルトである。
だがジョセフの方も大方、想像はついていただろうが。
「今すぐにでも、というのであれば、我が大公領から出せる兵力は『混沌騎士団』のみとなります」
ジョセフが渋い顔で言う。
本当は、「すぐにでも大軍団を出撃させます!」と大言壮語したいのだろうが、無い袖は振れないというもの。
『混沌騎士団』はリリィの直轄ではなく、カーラマーラ大公ジョセフの管理下にある騎士団だ。
構成員はゼノンガルトを筆頭とした冒険者達と傭兵。
特に傭兵はザナドゥ財閥、シルヴァリアン・ファミリア、極狼会など、大手の雇い主が一気に消えたことで行き場を失っている。各勢力が争っているからこそ、傭兵が常に雇われる環境が形成されるのだ。
国が一つにまとまる、つまり国内での争いごとが皆無となれば、傭兵の出番は失われる。
そうして大量に失業した傭兵達の中で、ランク3以上の実力者をまとめて取り込み、それなりに立派な規模の騎士団となった。
「まぁ、やっぱりそれが限界よね」
「我が『混沌騎士団』も祖国防衛という任があればこそ、先日のアトラス連合艦隊の迎撃に出向けた。だが同盟を結んだばかり、それも遥か遠くの見知らぬ国へ派遣されるとなれば、士気も上がらぬだろう」
「そうねぇ、ティナにもここを守るだけだからって、約束しちゃっているし」
「うむ……いや、俺は別にティナのことが怖いわけではないのだが、女王陛下がティナと約束している以上、口出しはできんからな」
ティナって、たしかあの奴隷エルフの子だよな。
何故、ゼノンガルトはこんなわざとらしいほどに、ティナのことを気にしているのだろうか。というか、リリィとの約束ってなんだ。
「ですが、女王陛下がお望みとあれば、このジョセフが責任をもって兵は揃えてみせましょう。最悪、『混沌騎士団』には団長と副団長のみ残ってもらえれば、他は全員連れて行けます」
「えっ、ティナと二人きりはちょっと……」
「烏合の衆は困るけれど、数を揃えることも大事だから、仕方がないわね。スパーダでの戦いは誰も乗り気にはならないでしょうけど、その辺は報酬を弾むわよ」
リリィは金で解決することを覚えた。
いや、決して悪いことではない。今のリリィには金がある。そして金があれば、喜んで死地にも飛び込む奴らもいる。特に騎士団のメインである傭兵達は、割のいい依頼とあれば率先して請け負ってくれるだろう。
「即戦力の『混沌騎士団』はおよそ500名。徴兵をすれば、5000ほどはすぐにでも揃えられるかと」
「騎士団だけでいいわ。装備もない、戦闘経験もない、ただの素人を集めても役には立たないもの」
祖国防衛なら、そんな人々でも立ち上がらなければならないだろうが、スパーダへ赴くならば足手纏いになるだけだ。
せめてライフルくらいは持たせてやらないと、連れていくほどの価値はない。
それに大人数を連れて行けば、それだけ兵站にも負担がかかるし、最悪スパーダといざこざが発生する危険性だってある。自衛隊並みのお行儀の良さなど期待するべきじゃない。そもそも今の俺達に千単位、万単位、の軍を統率できるかどうか怪しいところもあるからな。
少なくとも、俺には自信がない。100人規模の傭兵団で手一杯だ。
「しかし、大きな戦となるようであれば、こちらも相応の備えをせねばなりますまい」
「いいえ、大公領は普段通りでいいわ。今は連合艦隊のこともあったし、戦が重なれば人心に不安をもたらすもの」
「よろしいのでしょうか」
「今、大事なのは大公領を安定させること。スパーダへの対策は、基本的には私の方で行うから」
「御意」
この辺の判断に、俺は口を挟めないな。だが、こうするのが最善だとも思う。
リリィが完全に支配している地域は、堀によって隔てられた中心部と、大迷宮の中だ。
それ以外の東西南北の外周地区は、さほど以前のカーラマーラと変わりない雰囲気である。つまり、洗脳の影響が及んでいない場所でもある。
だからこそ、リリィはここの統治をジョセフに任せているのだろう。
そして洗脳できている中心部ならどんな無理難題をふっかけても、それに逆らうどころか、僅かな不満を抱くことさえない。遠く離れたスパーダという他国を守るために、戦いに行け、と命じられたとしても。
「私の方からすぐに出せそうなのは、どう頑張っても1000がいいところね。装備と練度、どちらも最低限に満たすにはこの人数が限界」
「パンデモニウム軍1000と騎士団500、合わせて1500が現状でスパーダへ送れる戦力ということか」
「ここからどこまで増やせるかは、あとは時間次第ね」
「いや、十分だろう。それに、あまりに兵力が増えすぎると、スパーダ側としても不安があるだろうし」
他国の軍隊など、そうそう国内に引き入れないからな。同盟を結んだ、と言ってもお互いの信頼あってこそ。裏切ろうと思えば、いつでもできる。
だが1500人程度なら、スパーダとしても問題なく援軍として受け入れてくれるだろう。確か、前回のガラハド戦争でも、同盟国の増援を合わせれば千は軽く超えていたはずだ。
「じゃあ、そういうことだから、『混沌騎士団』の編成はお願いね?」
「……承知した」
渋々、といった様子だがゼノンガルトはリリィの命に頷いた。
「俺からも、よろしく頼む。スパーダでの戦いはここから遠く離れたものだが、十字軍を止めなければパンドラ大陸全土が危ない。大陸の危機を救うため、そう思ってもらえれば助かる」
「恐らく、その大義を理解できる者はほとんどいないでしょう。ですが、このジョセフ・ロドリゲスがカーラマーラ大公へと任じられた以上、必ずや使命を果たしましょう。パンデモニウムの女王陛下と————未来の魔王陛下のために」
どうやら、俺の加護のことはジョセフとゼノンガルトにはリリィから伝えられているようだ。
果たして、俺がミアの後継者になると、本気で信じているのかどうかは分からない。そんなの、俺だって分からないし。
むしろ一国の女王へと成り上がったリリィの方が、よほど魔王の座に近づいているだろう。その気になれば、俺と同じく加護を使えるしな。
ともかく、スパーダへ派遣できる戦力のおおまかな算定はできた。他にもまだまだやらねばならない仕事はあるが……先にプライベートな要件を済ませることにした。
孤児院にいる子供達は、相変わらずの様子で安心できた。
リリアンも俺の前では特に変わった感じはしなかったが、それがかえって心苦しかった。
リリィに頼まれた仕事が嫌なら言ってくれ。俺が何とかする。
そうは言ったものの、リリアンは「やりたい」とはっきり応えていた。自分も、少しでもみんなの役に立ちたいのだと。
本当は、今すぐやめさせたかった。やめさせるべきだろう。人々を洗脳する悪夢の支配構造。その片棒を担がせることなど。
「————ああ、よくやったな、リリアン。とても上手に踊れていたし、凄く可愛かったぞ」
けれど、俺の口から出たのは、手放しでリリアンを褒める言葉だけ。凄い、偉い、と褒めたたえ、抱きしめる。そう、リリィが言った通り、リリアンを俺は褒めたのだった。
そうして、今日はそのまま孤児院で夕食を共にしてから、大迷宮へと帰ってきた。
第五階層『黄金宮』。
欲望の黄金魔神カーラマーラが消え去った今、この階層にかつての輝きはもうどこにも残ってはいない。
内装は全てシェルター時代の同じ白で統一された無機質な色合いとなり、デウス神像を召喚しても、石膏像のような白色となることだろう。
しかしここの中枢、オリジナルモノリスが鎮座する元宝物庫、現玉座の間だけは、新たな支配者の力によって変質している。
元々はまやかしの金銀財宝で溢れる黄金の宝物庫。次には本来の姿である白い制御室。そして今は、世界中の美しい花々を集めた豪華な庭園のようになっている。
ここの床は、ヴィジョンでリリアンが踊っていたような花畑で埋め尽くされている。壁際には等間隔で大きな木が生えており、天井いっぱいにまで枝を伸ばし、満開の花を咲かせていた。
そして入口から真っ直ぐ中央へと伸びるのは、大理石のような白い道。その先にあるのが、玉座。
それは正に、妖精の女王が座るに相応しい、巨大な花の玉座である。白い百合の花のようだが、大きな花びらは確かに腰を掛けるにちょうどいい形をとっている。
白百合の玉座の真後ろに突き立つオリジナルモノリスは黒く染まっているだけでなく、その表面には淡い緑色の輝きで、妖精の羽をあしらったようなデザインのマークと、それを取り囲む円形の魔法陣が描き出されていた。
カーラマーラ神がいた時には金色に輝いていたように、今では妖精女王イリスの加護を受ける神殿として、鮮やかな花と緑に包まれているのだろう。
そんな妖精の支配領域と化した玉座の間で、俺はリリィと二人きりでやって来た。
「さぁ、座って、クロノ」
「その席は、女王だけのものだろう」
「私はクロノと一緒に座りたいの」
いつもの甘えるような台詞だが、今の俺にとっては有無を言わさぬ命令の如く聞こえてしまうな。
それもいいさ、女王陛下の仰せのままに。
「……意外と座り心地はいいんだな」
「結構、大変だったんだから。座りやすいように整えるのは」
と、俺達は白百合の玉座に座った感想を言い合った。
これ、ちゃんと自分で整えて作ったものだったのか。加護の力で勝手に生えているのかと思った。
「でも、座り心地はクロノの膝の上が一番よ」
「そいつは光栄だな」
結局、リリィはピョンと俺の膝の上に飛び乗り、その小さな背中を俺の胸に預ける形に収まった。
幼い姿のリリィを、俺は優しく抱きしめる。
「国民を洗脳して支配しているな、リリィ」
「いいえ、と言った方がクロノは幸せになれるかしら」
そうだな、全部リリィが勝手にやったこと、と言い訳すれば、俺は悪くない。自己保身のためには、実に都合が良い返事。
それでも良い、とリリィは言うだろう。これもまた、彼女の愛のカタチだから。
「いいんだ、リリィ。俺に嘘を吐く必要はない」
「そう、それをクロノが望むなら————ええ、その通り。私はこの国の人々を洗脳の魔法によって支配しているわ。大規模洗脳魔法『全てを捧げよ』。この威力は、これからもっと強くなる。もっと広く、もっと沢山の人々を支配してみせる」
そうか、とんでもない邪悪な魔法もあったもんだ。リリィは本当に、魔王にでもなるつもりなのか。
大陸を救った英雄としてではない。後世に残るまでの悪名を轟かす、恐るべき魔王として。
「こうしなければ、人が死ぬんだな」
「ええ、大勢死ぬわ。カーラマーラ神がいなくても、人の欲望は無限大だもの」
全てカーラマーラという邪神のせいにはできない。あくまでも、多少の心理的影響を強めるという程度の効果に留まる。
最果ての欲望都市を作り上げたのは、紛れもなく、ここに住む者達の強欲によるもの。
だからこそ栄えた。だからこそ、統一は望まれなかった。
「洗脳するしか方法がないわ。ザナドゥ亡き後、カーラマーラの覇権争いの内乱を止め、統一し、十字軍に対抗できる勢力を築き上げる。当然よね。だって、この街で十字軍を止めたいと願う者はいないもの。そう、たった一人、クロノ、貴方を除いてね」
「ああ、そうだ……これは、俺の望みだ」
遥か遠くスパーダから、それどころか異なる世界の地球からやってきた、究極の余所者であるこの俺の願いが、欲望だけが、叶えられたのだ。
「十字軍を止めたいのも、奴隷をなくしたいのも、全て俺が願ったことだ」
「私はそれを叶えた。私ができる精一杯の範囲で。ごめんねクロノ、私は神様じゃないから、こんな方法でしか、貴方の望みは叶えてあげられない」
リリィとて、分かっているだろう。
どれほど非人道的な行為に手を染めたのか。すでに人々は洗脳されている。もう後戻りできない。数えきれないほどの罪を重ねている。
「私は頑張ったわ。それでも、クロノが止めろと言うのなら……今すぐ、止めるわ。私の洗脳から解放する」
パンデモニウムは完全にリリィの手にある。一人として逆らう者はいない絶対的な女王。その独裁が完成しているにも関わらず、それを容易く手放すと言う。
リリィに支配欲なんてない。
巨万の富も、無数の奴隷も。そんなものは何もいらない。
そうだ、俺は最初から彼女が本当に望むものを知っている。
「ああ、そうだよな……リリィは、あの小屋で俺と暮らせれば、それだけでいいんだから」
あそこに彼女の全てがあった。あの日、あの時、あの生活こそが、全てが満ち足りた最も幸福な時期なのだ。
けれど、もうあの頃には戻れない。
「うん、私の望みはそれだけ。今はもう、夢に見ることしかできない、叶わぬ望みだけれど」
そんなことない、とは口が裂けても言う資格は俺にはない。
それもまた、俺が望んだことだから。
「ねぇ、クロノは私を許せない? 今更、止めたところで取り返しはつかないと。決してやってはならないことに手をだした。失望した? 絶望した? 私が————憎い?」
俺は胸の内にいるリリィを強く抱きしめる。
決して、逃がさないように、強く。
「あってはならないことをした。大罪だ。こんなことは、俺に人体実験した『白の秘跡』と同じか、それ以上に許されざる行いだ」
「うん、そうだよね」
「真実を知った者がいれば、誰一人として許しはしないだろう。俺も許せない。こんなことは、とても受け入れられない————」
なにが奴隷のいない国だ。
なにが、大陸を救うだ。
これだけのことを仕出かして、大義などどこにある。
リリアンのような、あんな小さな子にまで片棒を担がせて、正義なんてあるはずもない。
リリィは悪だ。
もう純粋無垢な妖精少女ではない。
人々を意のままに操る、恐るべき地獄の女王。
「————だから、許しはいらない。俺もいっしょに地獄へ落ちるよ、リリィ」
「ああ、クロノ……」
全て、俺が望んだことだから。
リリィは悪くない。すでに悪いことをしてしまったとしても、それは俺が背負わなければならない罪だ。
「君の全てを受け止める」
恥ずかしい詠唱呪文だ。けれど、俺の気持ちそのままの言葉。
だから俺は、リリィが行う全てを許そう。許し難きを許し、受け入れ難きを受け入れる。
どんな罪でも一緒に背負おう。
だから、もう二度と俺に「憎いか」なんて聞くな。
全て許す。全て受け入れる。俺はお前を信じているから。
「私の全てを貴方に捧ぐ……」
ありがとう、リリィ、愛してる。