第779話 地獄の首都(1)
曙光の月7日。
事前の予告通り、リリィによるザナドゥの遺産配分を決める議会が開催された。
「————ようこそ、お集まりくださいました」
テメンニグル、カーラマーラ議事堂。その最上段の議長席へと座すリリィが、まずは挨拶の言葉を述べた。
妖精の少女リリィ。
その姿はまずアイドルとして知られ、そしてその後すぐ、宝物庫の鍵を継承したカーラマーラの新たな冒険王として、この街の全員が知ることとなった人物だ。
彼女について分かっていることは、驚くほど少ない。そもそも、カーラマーラへやって来たのがごく最近のことで……その麗しい容姿と、ランク5に違わぬ戦闘能力、ということしか明らかとなっていない。
今はステージに立つ時と違い、幼い子供の姿をしていた。
「ふん、所詮は小娘か」
議事堂で光り輝くリリィの姿を眺め、内心でそうつぶやいたのは、本来ザナドゥの遺産を最も多く受け継ぐ予定であった、長男ザナリウスである。
縦にも横にも大きい、如何にも平民が思い描く金持ち親父のようなイメージそのままな容姿であり、席につくその姿は誰よりもふてぶてしい。
生粋の大商人のような彼だが、間違いなく冒険王ザナドゥの第一子である。
その歳はすでに60目前。老齢と言っても良い年齢だが、強欲ぶりは衰えることを知らず、父と同じように100を超えて生き永らえる気満々。むしろ、これからが自分の人生の絶頂期と意気軒高である。
そんなザナリウスではあるが、遺産放送を聞いて、最も肝を冷やしたのは彼であろう。遺産を貰って当然と思っていたザナドゥの親族は皆、似たような心境ではあるが。
ザナドゥ財閥も総力を挙げて大迷宮へ人を送り込み、宝物庫の鍵の入手を目指したが、結果はすでに知っての通り。
だがしかし、絶望するには早い。
勝利の栄冠を手にしたのは、流れの冒険者。彼らは決して、常日頃相手にしているような大商人や大ギャングなどではない。バックについているのも、かつては三大ギャングと謳われたが今や凋落著しいカオスレギオン。
つけ入る隙は幾らでもある。
事実、遺産を配分する、などと自ら言い出しているのだ。
「単なる冒険者にしては賢明な判断だな」
これで考えナシのアホだったなら、湯水のごとく財宝を使って豪遊。後先考えずに遊び歩く中、誰かに刺されるか、毒を盛られるかといったところ。
今の状況で鍵を手にした者が死ねば、当然、次に鍵を手に入れた者が遺産の継承者になれる……と、誰もが思うだろう。カーラマーラではそれが認められるほど、宝物庫の鍵は象徴的な存在と化している。
故に、手に入れた後も常に暗殺に備えなければならない。
そのことを、『エレメントマスター』は理解していた。遺産を配分する、というのはあらゆる勢力から命を狙われないための方便に過ぎないのだ————というのが、ザナリウス含め、ザナドゥ財閥としての解釈だ。
「そうだ、焦ることはない……いくら鍵を持つとはいえ、所詮は冒険者という個人。そのまま我が財閥へ取り込めば、再び我々は安泰だ」
リリィはザナドゥ財閥と友好な関係を望んでいる。ならば、交渉の余地は十二分にある。
彼女を迎え入れることに成功すれば、これまでと変わらず、ザナドゥ財閥はカーラマーラの半分を支配する組織で居続けることができるだろう。
鍵を手にして真の支配者となれないのは残念でならないが……他の手強いライバルがその地位を射止めることなく、現状維持、というのは長男以下、ザナドゥに連ならぬ者達にとって、そう悪い結末ではない。
欲をかき過ぎれば大損をこく。ここはまず、自分たちの地位を確固たるものにするのが最善策。
どこまでリリィから遺産を毟り取れるかは、それから考えればよいのだ。
「ふむ、そう思えば、身内で骨肉の争いをするよりも、穏便に収まったのかもしれんな」
などと楽観的に考えながら、ザナリウスはこの議会に臨んでいた。
「それでは、会議を始めましょう」
簡潔な挨拶を終えて、いよいよ本題へと入るようだ。
右を見ても、左を見ても、議場は満員。彼女に呼ばれた者は全員出席している。
遺産を分けるとの宣言は、様々な憶測をもたらしたが……欠席して自ら権利を放棄するような間抜けは、欲深いカーラマーラ民には一人たりともいないだろう。
「まずは、私が前カーラマーラ議長ザナドゥに次ぎ、議長へ立候補するわ」
「賛成する! 宝物庫の鍵を手にした、貴女にこそ議長は相応しい!!」
ザナリウスは真っ先に立ち上がり、手を叩き賛成を示す。
「異議なし」
「私も賛成するわ」
「リリィ議長、美しぃ……尊ぉい……」
長男に続き、ザナドゥの親族議員一同も続く。このくらいの足並みは、すでに合わせるよう親族会議で決めている。
彼らだけで、カーラマーラ議員の三分の一を占める。
まだ過半数には満たないが……ほどなく、他の議員達からも賛成の声が上がり始めた。
ここはひとまず、リリィの議長職を認めなければ、議会も始まらないと誰もが考えている。
「賛成多数により、新議長にはリリィ氏の就任が可決されました」
「みんな、ありがとう」
にこやかに手を振るリリィは、流石、僅か数日でカーラマーラを席巻したアイドルだけある。
幼い子供の姿でありながらも、その堂々たる貫禄は芸歴ウン十年の如く。
「それじゃあ、本題の遺産配分について審議に入りたいと思うけれど……そうね、まずは先に、みんなの要望を聞かせてもらおうかしら?」
議場にどよめきが走る。
てっきり、先にリリィから要望が突き付けられると思われていた。
「いや、これは向こう側から歩み寄りの姿勢をとっている、ということか。なかなかどうして、弁えているじゃあないか」
やはりこちらの予想は正しかった、と確信を深めたザナリウスは、誰よりも先に挙手をした。
「ええ、まずは我が偉大なる父、ザナドゥの遺産を公平に配分する機会を設けていただいた、寛大なご処置に深い感謝を。そして、カーラマーラの誇る伝説の冒険王の死に追悼と、新たな伝説の誕生に称賛を送らせていただきます!」
人の親の遺産を横取りしやがって、などという感情をおくびにも出さず、心から英雄を褒め称えるかのような見事な笑顔でもって、ザナリウスは口火を切った。
「この度のリリィ議長の差配は、先日、パーティリーダーのクロノ氏がおっしゃられたように、カーラマーラに無用の混乱をもたらさないための方策として、実に素晴らしいご判断と、我らザナドゥ財閥一同、支持をしております。つきましては、最も穏便な遺産配分の方法として、事前にこちらで決めていた、ザナドゥの親族による配分を原案として————」
「ちょっと待て、それじゃあ何か、お前らはそのまま遺産を身内に配れと言うことか!」
「ザナドゥの血筋に関係なく、カーラマーラ全体に還元すべき、というのが本来の趣旨なのでは?」
「アンタらだけ取り分を多くしようなんざ許されないわよ!」
「そうだそうだ!!」
俄かに活発な議論が議場に巻き起こる。
ザナドゥ財閥としては、あらかじめ決めていた身内での遺産配分案に、可能な限り近づけたい。
だが、リリィが全ての議員含め、他にも様々な人々をこの場に呼んだことから、ザナドゥの一族にだけ遺産を分けるつもりではないことは明白。
もらえるモノは、もろとけばええんや! の精神であるカーラマーラ民として、この遺産配分の場では、少しでも自分の取り分を多くしようと誰もが声を張り上げる。
この場に集った者は皆、配分される遺産の量が目下一番の関心事。それから、リリィという新たな冒険王にどう取り入るか、あるいは、どう利用するか————つまるところ、カーラマーラという国の安定を心から考える者は、一人たりともいなかった。
「————静粛に」
一時間、二時間、と加速度的に議論は過熱するが、所詮は各々の利害衝突にすぎない無為な話し合いが過ぎ、リリィがようやく止めに入った。
今にも殴り合いでも始まりそうなほどにヒートアップしていた議員達も、リリィの静止に、一旦冷静さを取り戻し大人しく着席する。
再び静まった議事堂をリリィは大きく見渡してから、口を開いた。
「分かったわ。みんなの気持ちは、よく分かった」
妖精だから。言葉にしなくても、人の気持ちは、ここに集った数百名程度の心の内など、理解できるのだと、リリィは言う。
「揃いも揃って、欲の深いこと。肥え太ることしか考えない、拝金主義の豚共め」
冷めきった翡翠の瞳が、議員達を睥睨する。
「けれど、こんな国だもの、そうなってしまうのも仕方がない。ついこの間まで、ここはカーラマーラの聖地、黄金信仰が横行するのは当然だった」
しかし、封印されし神代の神、カーラマーラはもういない。
古の魔王ミア・エルロードの手により、遥か次元の彼方へと追放され、その影響力は完全に払拭された。
この場所にはもう、強欲こそを是とする神意の干渉はない。
だが、そもそも人は欲深きもの。カーラマーラの影響が消えたところで、今ここに住む人々の心に、どれほどの変化があろうか。
古代の富を永遠に産出し続ける大迷宮がある限り、人の飽くなき欲望に終わりはない————
「今こそ、その欲望に終止符を打つわ。いいでしょう、貴方達はもう、十分に欲を尽くしてきたのだから」
「リリィ議長、貴女のおっしゃる意味が分かりかねますね。我々を強欲と非難するおつもりなら、貴女はこれから何をしようと考えているのか、問わせていただきましょう」
ざわめく議員の中にあって、ザナリウスが代表してリリィへと言う。
カーラマーラ議員に名を連ねた時点で、リリィも自分達と同じ。富と権力が保証された特等席についたことになる。
強欲で結構。無欲な者は、この国では食い荒らされるだけの獲物でしかない。
「私が、平等を与えてあげる」
リリィは両腕と羽を広げ、ザナリウスの問いに答えた。
「議員も商人もギャングも奴隷も、みんな、公平に、平等にしてあげるの」
「ふはははは! それはまた随分とお優しい夢をお持ちのようだ! しかし、平等などという甘い妄想を、心から望む者などここには一人もおりますまい」
「私は望むわ……いいえ、望んだのはクロノだけ。そう、私は彼が望んだから、それを叶えてあげるだけのこと」
クロノが願ったから、リリィがそれを叶える。
ただ、愛しているから。他に行動の理由はいらない。
「私はカーラマーラを、奴隷のいない平等な国にするわ。誰も傷つかない、誰も苦しまない。誰もが幸せに、愛する家族と共に暮らし、温かい食事と衣服と寝床を手に入れる。そんな国よ」
「不可能だ。この国は奴隷で成り立っている。廃止など、できるはずがない。誰も許しはしない!」
「いいえ、できるわ、簡単なことよ————貴方達が欲を捨てれば、今すぐにでもね」
「バカバカしい理想論だ! リリィ議長、よもや貴女は、そんな世迷い事を実現させるために、父の遺産を使おうというのか!」
遺産の配分とは、そういう意味なのか。
冗談ではない、とザナリウスは気炎を上げる。
彼だけではない。ここにいる者の誰もが、平等など望まない。
なぜなら、彼らは特別だからだ。特別に金を持ち、特別に儲け、特別な生き方をしている。カーラマーラという国の富、その大半を所有する上位1%未満の選ばれし特権階級。
平等などあってはならない。不平等こそが、莫大な富を築くための絶対的社会構造なのだから。
「そうね、ザナドゥの遺産も利用することにはなるわ。でも、そんなことはもう、貴方達が気にする必要はないの。未来永劫、金勘定をすることはなくなるのだから」
「話にならん! いい加減、現実的な遺産配分を決め————」
「『愛の女王』」
光が、議事堂に満ちる。
神々しいほどの七色の輝きがリリィの二対の羽から発せられた。
それだけではない。議事堂に備え付けられている大型のヴィジョンと、議員の席に個別に設置されている小型ヴィジョン、その全てから同様の光が発せられている。
果たして、その輝きの向こう、ヴィジョンに精緻な魔法陣のラインが描き出されていることに気づいた者は何人いたか。
「目の前にある、リングを被りなさい」
席には、あらかじめソレが配られていた。
何の説明もなく、ただ置いてあるだけ。
そのリングが何なのか。誰もが疑問に思ったが、誰もそれを問いただす暇もなかった。
リリィも説明する気はなかった。この『思考支配装置』を被ったなら、くだらない疑問など二度と抱くことはないのだから。
「貴方達の強欲を、罪だと断じる気はないわ。けれど、これはクロノの望みを叶えるためには必要なことだから」
抵抗する者は、一人もいはしない。
オリジナルモノリスを完全に掌握したリリィが、ヴィジョンを用いて強烈に視覚へ訴えかけられる催眠用魔法陣まで仕掛けたのだ。この議事堂は最初から、議員全員を洗脳にかけるためだけの、巨大なトラップである。
まんまとかかったのは……そんなことが可能であると、誰も思わなかったが故。
万一、洗脳の精神魔法をかけられたとしても、効果は所詮一時的なものに過ぎない。
「でも、安心して。私は貴方達を幸せにしてあげる。人が人らしく過ごせる環境は、全員平等に与えられる。対価は、自由意志の放棄よ」
リリィは『白の秘跡』が生み出した『思考制御装置』という悪夢の洗脳用魔道具を手にした時、『神兵計画』の概要を理解した。
その完成形は、十字教への完全な信仰と同時に、高度な自律行動を可能とする自我の形成。
単なる命令通りに動くだけの人形ではなく、自我と呼べるほどの新人格を生み出すことが肝要であり、また最も難しい点である。
しかし、リリィはずっと疑問に思っていた。
なぜ、そこまでして自我が必要なのか。
人形は、人形のままでいればいい。支配を及ぼすならば、それが最も効率的なはずである。
今もまだ、リリィは神兵計画を進めるジュダス司教の真意は分からない。
だが、容易に人を支配するための方法は、すでにこの手にあった。
「人々が平等を享受するために最も必要なことは、欲を捨てること。与えられるモノに満たされなさい。欲しがるな、求めるな、妬むな、恨むな————自由こそが、平等を阻む最大の敵」
人が人である証は何か。
それは、何物にも抑圧されぬ、自由な意思。
「人である限り、自由への欲望を捨てられぬと言うのなら、私が忘れさせてあげる」
ああ、いと欲深き者達よ。
最果ての欲望都市カーラマーラに君臨せし、最も富める者達よ。
自由が終わる時が来た。
飽くなき人の欲望をこそ愛した神は、もういない。
「さぁ、議論を再開しましょうか」
カシュン————
絶対服従の針先が、欲に濁った脳へと突き立った音が響き渡る。
今、カーラマーラ議会は一つの意思によって、統一された。
曙光の月7日。
その日、カーラマーラの未来を決めると噂された、ザナドゥの遺産配分についての議会が開かれた。
すべてのヴィジョンが沈黙した街において、誰もが議会の行く末を案じていた。
一体、どうなるのか。
本当に莫大なザナドゥの遺産は配られるのか。
自分たちに僅かながらでも、利益があるのか。
いいや、どの道、議員に名を連ねる金持ち連中だけの中で終わる話。市井の人々にまで何かしらの恩恵がもたらされることなどないだろう。
さしたる期待はされぬまま、各地の小競り合いによって荒れた街を、人々は片づけながらその日も過ごしていた。
「みんなー、こんにちはー、リリィだよー」
クロノの放送以降、何も映さず単なる黒板と化していたヴィジョンが、再び点灯した。
映し出されたのは、妖精少女……いや、幼女の姿のリリィ。
アイドルとしてヴィジョンで映ったリリィは、どちらの姿も知られている。
「カーラマーラは、今日でおしまいでーす」
カメラ目線で無邪気に笑うリリィの言葉に、誰もが疑問符を浮かべる。
「これからは、みんなが仲良くできる、新しい国になるんだよ」
幼い語り口のリリィには、説得力の欠片もない。
その言葉を真正面から受け止めたとしても、反応しようもない。
新しい国になる。いきなりそう言われて、誰が実感などできようか。
「————パンデモニウム」
そう、リリィは言い切る。
人々の疑問も困惑も置き去りにして。
「今日からこの国は、パンデモニウムだよ! リリィが女王様なの!」
ふふーん、と胸を逸らして、得意気な表情。
正に、子供の冗談そのものとしか思えない宣言である。
「それじゃあ、リリィがお祝いの歌を歌うから、みんな、ちゃんと聞いててね! タイトルはー、『みんななかよし』」
そして始まる、ゆるーい童謡のような、子供の歌。
単調な曲調、単純な歌詞。けれど不思議と耳に残る、そんな謎の歌が全てのヴィジョンから放送されている。
俺達は一体、何を見せられているのか……馬鹿馬鹿しい、ただのカワイイ自慢かよ。
チカチカ輝く二対の羽を動かして、画面の中の小さなリリィは実に上機嫌に歌っている。
どうにも、議会に関する情報は何もないようだ————そんなことを察し始めた時だ。
「……ざーい」
最初にソレを目撃したのは、議会の行く末を案じて、テメンニグル前へと集っていた集団。
議員でもなく、今回の議会に呼ばれることもなかった。だが、この富裕層が住まう中央区画に居を構え、仕事をしているカーラマーラではエリートと呼ぶべき人々だ。
そんな彼らの前に、まず、一人の男が現れた。
「おい、あれって……ザナリウス議員じゃないか」
「ああ、ザナドゥの長男の」
ザナリウスは長男としても議員としても、有名だ。ここにいる者達は、その煌びやかに着飾った恰幅のよい姿を見れば一目で彼だと分かる。
そんな彼が、テメンニグルの正面扉から飛び出してきたのだ。
「ばんざぁーい!」
激しく叫びながら。
「リリィ女王陛下、ばんざぁーい!!」
まるで本物の神を目の前にしたかのように、滂沱の涙を流しながら、ザナリウスは大型ヴィジョンに映し出されるリリィに向かって、叫んでいた。
2020年7月3日
特に本編で語られない設定について。
議会に集めた議員+有力者、合わせて数百人分もの『思考支配装置』をいつ用意していたのか。
元々、リングはスパーダ神学校に通い始めた頃には、リリィがシモンに量産化の相談をしていました(第242話)。後に、シモンが解析に成功し、自前での生産に成功。これを、リリィがフィオナと共に修行の旅にアヴァロンへ出向いた時に使用。リングの制御に失敗するが、効果を完全に理解(第312話)。この功績(あるいは条件の達成)によって、妖精女王から更なる加護を授かった(第314話)。
この時点で、生産と使用の用意は整っていることになります。
実際に量産を始めたのは、リリィが家出してシャングリラに居座ってからとなります。天空戦艦とホムンクルスという、量産に必要な設備と人員が揃ったことで、本格的に稼働できたということです。
カーラマーラへ向けて出発する時点では、すでにそれなりの量産化リングが揃っていたので、リリィは「こんなこともあろうかと」というワケで初期生産のリングを数百個を空間魔法に詰め込んで、旅へ出たということになります。
まさか本当に使うことになるとは、リリィ自身もこの頃は思っていなかったでしょう。