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黒の魔王  作者: 菱影代理
第28章:罪を重ねて
542/1054

第541話 傲慢の行方

「……ちくしょう」

 包帯でグルグル巻きにされた右腕をぼんやり眺めながら、もう何度目になるか分からない悪態をつく。

 今日は清水の月16日。プライドジェム討伐から二日経っており、俺達『エレメントマスター』はスパーダへの帰還を果たしていた。

 さて、俺の右腕がどうしてギプスと包帯に包まれているかといえば、当たり前だが、ラースプンとの殴り合いに負けたからだ。いや、アイツはもうスーパーラースプンと言うべきか。なにせ、ヤツは『炎の魔王オーバードライブ』を発動させた俺を見事にブッ飛ばしてみせたのだから。

 あの時、俺が繰り出した『憤怒の拳ラースインパクト』と、アイツの左腕によるストレートパンチは、拳と拳で真っ向からぶつかり合った。凄まじい破壊力が衝突したことで生じた余波は、地面を抉り、周囲の木々を吹き飛ばし、小規模ながらクレーターをその場に穿つほど。

 俺は右腕にこれまでで体感した最大級の衝撃を感じ、次の瞬間には猛スピードで後ろにブッ飛ばされていた。幸い、まだまだ崩壊中だったプライドジェムの死体が丁度良いクッションとなって受け止める形となった。もっとも、鎧を着ていなければスライムの強酸性体液によって、ちょっとシャレにならない痛みを味わうことになっただろうが。

 ともかく、割と無事にスライムの湖の中をジャブジャブさせながら立ち上がり、次は負けん、と息巻いて挑もうとしたところで、右腕が大変なことになっていると気が付いた。

 折れているし、捻じれている。ちょうど肘から先の腕は、ズタボロになった肉と鋼の塊がぶら下がっているのみ。漆黒の装甲には螺旋を描くように亀裂が走り、そこからドクドクと鮮血が湧き出ていた。螺子のように歪み、無残な裂け目を残す籠手の中身が、どんな酷い有様になっているのか……その時の俺は、自分のことながら今すぐ確かめるのに気が引けた。

 ゾっとするほどの大怪我を前に、俺は痛みにうめくよりも、マズいと思った。利き腕を潰された状況で、あのスーパーラースプンを相手にしなければならないのかと。

 しかし、アイツは俺を軽く吹っ飛ばしたことで満足したのか、それとも、取るに足らない雑魚だと思ったのか、悠々と馬鹿デカい背中を向けて追撃を仕掛ける素振りを見せない。すると、軽く右腕で地面を叩いた、かと思えば、ドっと土砂が舞い上がり、そのまま底なし沼に沈んで行くようにゆっくりと地面の中へと沈んで行った。そうして、ヤツは静かにその場を脱していったのだ。

 またしても、逃げられた。というより、命拾いした、という思いの方が強い。何にせよ、あのまま戦い続ければ負けていたのは俺の方だ。

 慢心していた、と言われれば、反論できないだろう。これまでどんな相手にも力負けしなかった『炎の魔王オーバードライブ』に、純粋な暗黒物質ダークマターの装甲を持つ『暴君の鎧マクシミリアン』。この二つを備えて、まさか打ち負けるとは思わない。

「ちくしょう」

 だから、この悪態はヤツに対するよりも、自分自身へのものだ。

 思い出せ。最初にラースプンと戦ったあの時、俺は真正面から殴り合おうなんて考えもしなかっただろう。それほど危険な相手だった。一発たりとも、ヤツからクリーンヒットを貰うわけにはいかない。即死する。

 人間とモンスターの間には、絶対的な能力差がある。それは超人的な肉体を持つ俺も、例外ではない。どれだけ改造されようと、俺もまた一人の人間に過ぎないのだから。

 モンスターと戦うにあたって、そんな当たり前のことを忘れてしまっていた。ラースプン、ヤツは昔も今も、恐るべきモンスターなのだ。

「……まずは、怪我を治さないとな」

 今すぐヤツを探しに行きたい、と逸る気持ちを抑えながら、俺はベッドから抜け出す。

 片腕ではルーチンワークな朝の準備も不自由する、かと思えば、俺に限っていえばそんなことは全くない。右腕がなければ、もう一本生やせばいいじゃない、とばかりに魔手バインドアーツを出す。必要なのは、日常生活に必要なささやかなパワーと、あとは五本指を備えた器用さがあれば良い。寝ぼけ頭で適当に作っても、十分な性能を持つ。

「むむーっ! ご主人様、そういうのはヒツギのお仕事ですぅ!」

「あ、それもそうか、スマン」

 着替えも終えた最後の最後にヒツギを左手にはくと、そんな抗議を受けた。しかし、こういうのって人に頼り切りだとダメ人間になりそうな気がする。俺は別にド偉いお貴族様でもないし、自分の面倒は自分で見るのが美徳だという一般的な日本人の感性の持ち主だしな。

 そうして、つつがなく準備を整え、とりあえずラウンジへと足を運ぶ。

「おはようございます、マスター」

「おはよう、サリエル。早いな」

 昨日は右腕の休養も兼ねて、早々に就寝したものだから、今日はほとんど夜明け前に目が覚めるほどに朝が早かった。それにも関わらず、ラウンジには相変わらず修道服にエプロンのサリエルがいる。コイツ、何時に起きてるんだ。

「朝食は」

「まだいい。でも、お茶は入れてくれ」

「コーヒーもありますが」

「マジでっ!?」

 最近、サリエルの用意する飲食物に関して、この台詞ばかりな気がする。

「コーヒー豆がスパーダにあるのか」

 少なくとも、俺は知らない。平和な学生生活の中で、リリィやフィオナと喫茶店などに行くことは何度もあったが、スパーダで愛飲されているのは紅茶のようなお茶である。コーヒーはこれまで飲んだこともなければ、売っているのも見たことない。

「コーヒー豆はありません。しかし、類似した品種はあります。特定の豆を複数種類配合することで、コーヒーとよく似た味と香りを再現することは可能」

 なるほど、サリエルオリジナルブレンドというヤツか。冒険者からバリスタになった方が幸せになれるんじゃないか、お前は。

「そんなのいつの間に……」

「昨日、できるようになりました」

 もしかしてサリエル、クエスト帰りの方が食の探求がはかどるのだろうか。

「まぁいいや。それじゃ、折角だからコーヒーで頼む」

「ミルクと砂糖は」

「つけといてくれ。ブラックは一口だけでいい」

 ブラックで一杯飲み干せるほど、俺の味覚は大人になりきれていない。多少、嗜む程度。まぁ、中には美味くもないのに無理して飲むヤツも、俺と同じ十代の少年少女にはいるけれど。雑賀とか、一年の時にカッコつけてブラック飲んでた時期もあったしな。

 少しばかり懐かしい思い出に浸りながら、俺は静かに朝の時間を過ごした。




「な、な、何ですかこの泥水はー」

 そこはかとなく棒読みだが、割とマジでショックを受けているこの台詞が、フィオナがブラックコーヒーを飲んだ感想であった。正直、噴き出さなかっただけよく耐えたというべきか。

「口に合わなかったか」

「これは人間が飲むべきものではありません」

「そこまで言うか。でも、砂糖とミルク入れたら大丈夫だから」

「クロノさん、私は騙されませんよ。砂糖とミルクを加えたところで、泥水は泥水のままです」

 まぁ、そう言わずにもう一口だけ、とやや強引にオススメする。

 結構、砂糖もミルクもドバドバ入れたから、カフェオレというよりかは、最早コーヒー牛乳と言うべきだが。

 フィオナは恐る恐るといった様子で、ミルクが混じりブラックからブラウンへと変化したカップへと口をつけた。

「なるほど、ほどよい苦みがミルクのまろやかさと砂糖の甘さを調和させ、さらに豊かな豆の香りを感じさせて――」

「美味いか?」

「美味しいです」

 どうやら、異世界人にコーヒー牛乳は好評なようだ。

 さて、そんな朝の一幕を経てから、俺は早速、本日の行動を始める。といっても、負傷しているから出来ることは自ずと限られるし、やることもまた、決まり切っている。



 まずは行きつけのストラトス鍛冶工房に顔を出し、早くも損傷した『暴君の鎧マクシミリアン』を預けに行く。

「これはまた、派手に壊れましたね」

「すみません、ランク5モンスターと真正面から殴り合うという馬鹿をしました」

 正直に自分の非を告白すると、レギンさんは相変わらず愛想のいい笑顔を浮かべた。いや、そこ笑うところじゃないと思うんですけど。

「いくら『暴君の鎧マクシミリアン』といっても、無茶は禁物ですよ。それに、この純正暗黒物質フル・ダークマターの装甲は、鎧の機能を通して、適正な魔力供給がされないと本来の防御力は発揮できないようです。硬化機能が使いこなせるようになるまでは、そうですねぇ、暗黒物質ダークマター複合合金ユニオンメタルより多少硬い、といったくらいでしょう」

 実際、鎧の硬度としては暗黒物質ダークマター複合合金ユニオンメタルは最高クラスなのだが、人が見に着ける装甲の薄さで、ランク5モンスターのパワーを真正面から受け止めようってのがそもそも無茶な話なのである。

「しかし、これがただの古代の鎧エンシェントメイルだったら、現代の技術では完全な修復は不可能でしたが……呪いの鎧で、幸いですね。どうやら、必要な金属さえあれば、自ら取り込んで自動的に修復していくようです」

 そういえばバフォメットとディアボロスの悪魔ローブには、どちらも魔力によって破れや解れを回復する機能があった。それと似たようなものだろう。

「ただし、混沌主機オメガドライブなどの中枢機関となると、どこまで修復可能かどうか怪しいところなので、急所には受けない方がいいでしょう」

 どんな頑強な鎧に守られていても、やはり回避は大事ということで。『暴君の鎧マクシミリアン』はそこらの重騎士アーマーナイトを超える防御力をもたらしてくれるが、同時に絶大な機動力も備えている。立ち回りとしては、機動力を生かしての回避と、避けきれない攻撃だけは装甲で弾く。決して防御だけに頼らず、これを基本だとしっかり心がけよう。

 やっぱり、もっと練習しないとダメだな。

「修理代金の方は、消費した資材によりますが、暗黒物質ダークマター合金などの希少な金属も必要となりそうですので、少しばかりお高くなりそうです」

「一応、プライドジェム討伐の報酬もあるんで、そこは大丈夫です」

 プライドジェムは当初の予定通り俺達『エレメントマスター』が討伐を成功させたが、スーパーラースプンの存在がある以上、素直には喜べない。

「プライドジェムは討たれても、また新たなランク5モンスターが現れたようですね。もう新聞でニュースになっていますよ」

「ええ、次のターゲットはソイツですよ」

「やはり、そうでしたか。何か入用の物があれば、なんなりとお申し付けください」

 ありがとうございます、と礼を言って、それから少しばかり雑談をしてから、工房を後にした。



 その次に訪れたのは、これもまたお決まりのコ-スだが、冒険者ギルドである。

「こんにちは、クロノ君。右腕の調子はどう?」

「一週間もしない内に治りそうだし、大丈夫だよ」

 昨日もスパーダに戻ったその足でギルドに訪れたが、右腕がヤバいことになってる俺を見て、エリナは卒倒しそうだった。けど、流石に今日は落ち着いている。

「とりあえず、例のモンスターについての情報を知りたい」

「残念だけど、まだ発見されていないわ」

 昨日の今日で続報はナシか。

 実はあのスーパーラースプンが俺をブッ飛ばして去った後、ヤツはスパーダ軍の基地と化したラケル村に出現した。地面の中から、広場のど真ん中に堂々と飛び出してきたという。

 無論、そこでも戦闘は行われた。しかし、奇襲同然の相手、しかもランク5級ともなると、そう簡単には仕留めきれない。軍の装備や人員もプライドジェム討伐用に揃えていたという点もマイナスに働いただろう。

 結果、ヤツはその場で結構な数のスパーダ兵を死傷させ、好き勝手に大暴れしたところで、再び地面に逃れていったという。それから、今日までヤツが発見されたとの情報がない。もしかすれば、もうスパーダ国内にもいないのかもしれない。

「でも、正式に手配されることになったわよ。各国にも、危険なランク5モンスターの出現はすぐに伝わるわ」

 遥々、西の大地竜渓谷エルグランドキャニオンからやってきたグリードゴアの時も同じような感じだった。手配されたモンスターは、討伐クエストを受けていなくても、倒せば特別に報酬を貰える。要するに懸賞首ってヤツだな。

 当然ながら、モンスターにとって国境の概念はない。故に、行動範囲の広いモンスターは、どこの国でも情報が共有化され、迅速にその対処を行う。

 思えば、冒険者ギルドが国の枠を超えた巨大なネットワークを有する組織であるのは、こういった国を跨いで暴れるモンスターの存在があるからかもしれないな。他国の軍隊は国に入れるのに難しくても、凄腕の冒険者であれば、即座に召集できるのだから。

「アイツに関する情報は、何か出たか?」

「ええ、手配書とセットで書かれているわ。でも、スパーダ軍も少し交戦しただけだから、大した情報は得られなかったみたい」

 現在公開されているヤツの情報によると、モンスターはラースプンをベースにしたキメラという分類になっている。

 まず、屍霊術士ネクロマンサーがラースプンの死体を下僕化していたものを、スロウスギルの分身体に乗っ取られ暴走。完全に人の制御を離れたモンスターと化す。

 右腕にエンシェントゴーレムの腕を持ち、左手には『憤怒の拳』がある。ラースプン本来の力に加えて、最上級の雷魔法に匹敵する攻撃魔法を放ち、全身を黒い砂鉄で覆う防御魔法、地中潜行などの能力を併せ持つ。

 ラースプンの炎属性、スロウスギルの雷属性。さらに、スロウスギル本体が寄生していたグリードゴア由来の土属性を持つ。三つの属性に関しては、最低でも中級以上の魔法を宿す、高度な固有魔法エクストラと化している。

 また、プライドジェムのコアを食べたことから、今後、水属性の能力も発現する可能性アリ。

 数千のスパーダ軍を襲い、一方的に百名以上の死傷者を出したことから、このモンスターの危険度をランク5と認定。出現には重々注意し、討伐の際には万全の態勢で臨むこと。

 そして、新たなこのモンスターは、こう呼称される。

「『カオシックリム』、か」

「古代語で大罪の名を持つモンスターばかり集めて合体させたみたいなヤツだから、らしいわよ。だから、混沌と古代語で『罪』を意味する単語を合わせたネーミングなんだって」

「まぁ、大体あってると思う」

 ラースプンをベースに、奴は数々の試練を乗り越えてきた俺と同じように、試練のモンスターの能力を幾つも引っ提げて現れた。プライドジェム討伐は単なる前哨戦。このカオシックリムを倒すのが、俺に課された真の第六の試練といったところか。

 ミアちゃん、試練のハードルを毎回きっちり上げてくるのは止めて欲しい。最後の試練が今から恐ろしいが、とりあえず、まずは目の前の試練に集中しよう。

「もう追いかけてる冒険者はいるか?」

「討伐しようって意気込んでいるのは『鉄鬼団』と『ヨミ』の二つくらいね。あとは、情報収集だけに徹して、ネタを高く売ろうっていう魂胆のパーティが幾つか」

 冒険者らしからぬ、と思うかもしれないが、情報収集に特化した盗賊・暗殺者などのクラスが中心のパーティは侮れない。軍隊と違って自前の諜報機関や斥候部隊など持たない冒険者は、彼らの存在によって事前準備や対策を打ち出すことができるのだ。

 無論、中にはニセ情報を売りつけるような輩もいるが、そういう奴らは割とすぐ排斥されるようだ。他でもない、同業者によって。ヤクザな世界といえばそれまだが、ここは業界で自浄作用が働いている、ということにしておこう。そんなワケで、彼らの情報にはそれなりの信頼性はある。

「スパーダ軍の動きは?」

「各所の警戒を強めて、追跡部隊を出すみたいね。でも、逃げ足が速い上に地面を潜るモンスターだから、そう簡単には見つからないと思うけど」

 そいつは俺も同感だ。何より、奴の逃げ足の速さはすでに経験済み。今度こそ逃さず、鉈で首を断ってやりたいところだ。

「しかし、今すぐ動いてどうこうなる相手じゃないか」

「討伐するつもりなら、大人しく発見情報を待つのが最善ね」

「怪我もあるし、今はそうさせてもらう」

 最近はリリィに試練のモンスターと、探す者ばかりだ。待っている間は平和な生活だが、心の中に不安は拭いきれないのがつらいところである。

「ところで、クロノ君、ちょっと個人的な話というか、愚痴みたいになるんだけど……」

「なんだ、珍しいな」

 仕事に真面目なエリナがそんな話を振ってくるとは。

 告白を断った、という気まずいイベントは最早過去の話。こうして普通に話せるくらいの関係には戻ったのだから、今は俺の数少ない友人の一人として、愚痴でも何でも聞こうじゃないか。

「うん、実は私、今度お見合いすることに――」

「クロノさん」

「うおっ!? フィオナか!」

 まるで最初から隣にでもいたかのように、俺の前にヒョッコリと顔を出すフィオナがいる。

 勿論、ギルドには俺一人で来ていたし、フィオナは他の用事で外出していると聞いていたが。

「何でここにいるんだよ」

「今、来ました。予想通り、クロノさんがいて良かったです」

 まぁ、俺の本日の予定は朝、寮を出る前に伝えてはいたけど。

「わざわざ来たってことは、何かあったのか?」

 まさか、リリィが見つかっただとか。思わず、胸の期待が膨らむ。

「はい、家が見つかりました」

 あ、そう、そっちの話ね。

 そういえばフィオナ、今日もまたちょっと物件を探してきます、みたいなこと言ってたし。

「今すぐ来てくれませんか」

「え、いや、まぁ、いいけど……」

 早く見に行きたいのか、グイグイと俺の腕を引っ張ってくる。

「悪い、エリナ。話はまた今度聞くよ」

「ううん、いいの。そっか、クロノ君、家なんて探してたんだ……私のことは気にしないで、早く行ってあげて。彼女が待ってるわよ」

「はい、待ってます」

 耳ざとくカノジョという単語に反応しない。フィオナはこれでいて、今でも俺に告ってきたエリナのことを警戒しているのだろうか。

「すまん、明日また来るから」

 それだけ言い残して、俺はギルドを後にする。フィオナがするりと伸ばしてきた手は、振り払えるはずもなく、そのまま握る。

 背中に、そこはかとなく視線を感じるのは、俺の気のせいだと思いたい……

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― 新着の感想 ―
[一言] こういう時ネクロマンサーに監督者責任とか発生しないのかな
[一言] お見合いの相手って「ナイトメアバーサーカー」とか「ガラハドの悪夢」と呼ばれてたりしますか。 まあ、エリナのお父さんが勝手にゴリ押しでしょうね。
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