第450話 タウルスラッシュ
雪原の彼方に立ち並ぶのは、十三機ものフルチューン・タウルス。すでに背中のメインブースターには青白い光が灯り、エンジンの暖機は完了といった様子。一キロ離れたここからでも、あの巨体を飛ばす凄まじい推進力を発揮するに相応しい、莫大な魔力が渦巻いているのを感じられる。
古代ではただの重機であろうとも、現実に城壁を叩き壊す性能を有する以上、相対する俺たちにとっては恐怖の攻城兵器であることに変わりはない。
「完全武装って感じだな……」
まして、前回よりも充実した武装を整えているのなら、尚更である。
見事に城壁をぶち抜いたドリル、あの一本でも厄介な代物を、欲張りにも両腕に装着している機体が見受けられる。
しかし、それよりもさらに厄介そうなのは、タウルスに合わせた超巨大な盾を持つ機体と、これも巨人サイズであるハンマーを装備した、頭から牛のような二本角がついた明かに隊長機と思われるヤツだ。
こっちは最大火力をつぎ込んでもなんとかタウルス本体をブッ飛ばせるといったところなのに、盾持ちとくれば、威力を完全に、ないしは半減されるだろう。最悪、ファロス砲も防がれるかもしれない。
ハンマーの隊長機は勿論、武器を一つ持っただけで攻撃力が劇的に向上しているのは誰の目にも明らかである。あんなモノを振り回されれば、それだけで要塞が瓦礫の山にされかねない。
ドリルが爆発する一回限りの使い捨てタイプの武装であることを思えば、あのハンマーはタウルスが動く限り使えるという継続性も脅威である。できれば、真っ先に仕留めたいところだが……恐らく、盾持ちがそれを許さないだろう。
「あんな追加装備があるなんて、聞いてないですけどリリィさん」
「うぅ……ごめんね、リリィも分かんなかったの」
大人の意識に戻すほどギリギリの節約を要されるリリィ。子供のままでは、満足な反論も説明もできず、素直に謝るより他はないようだ。
「向こうはリリィのアクセスを完全にブロックできるくらい、システムを使いこなしているんだ。リリィの情報収集も限界があるんだろう」
「そうですね。そもそも、アクセスできたのも単なる偶然だったようですし。ですので、別に気にしなくていいですよリリィさん、最初からアテにしてはいませんので」
「うわぁーん! クロノぉー!」
フィオナの心無いフォローに、リリィが俺の足へ泣きついてきた。
「よしよし、リリィは十分頑張ったから、それでいいからな」
「頑張るのはこれからですよ。そろそろ、動きます――」
ブースターから噴出する燐光がいよいよ輝きを増し、タウルス本体からはモンスターの咆哮染みた鋼の軋みが鳴り響く。十三機が一斉に走り出すまでは、もう秒読み段階といった様子。
「総員、迎撃準備ぃ!」
号令が城壁の各所で発せられ、スパーダ軍の張り詰めた緊張感が限界まで膨れ上がる。
いよいよ、三度目の決戦の幕が切って落とされようとしていた。
「タウルスの新装備は想定外だが、俺たちは手はずどおりに動くぞ」
「はーい!」
「了解です」
それだけの最終確認だけを済ませ、後はもう、開戦の時を静かに待つのみ。
山間に鳴り響くのはブースターの唸りのみ。数万、いや、両軍あわせて確実に十万を越える大軍勢が一同に会していながらも、そこに人々の声も息遣いも、全く感じられない奇妙な静寂が訪れていた。
しかし、それもほんの一時のこと。誰もが予期した未来は、約束された運命が如く、絶対確実に訪れる。今、この時に。
「――来た」
そんな俺のつぶやきは、俄かにあがる轟音と怒号によってかき消される。
十三機のタウルスは鋼鉄の雪崩と化して、雪上を一斉に走り出した。これまで通り横一列、かと思いきや、中央に位置する二本角の隊長機が先行する、矢印のような隊列となる楔形陣形を形成していた。
隊長機の両脇に盾持ちが一機ずつ、そして、両サイドに標準装備とダブルドリル装備のヤツが互い違いに、というような配置となっている。
「まずはハンマーで一気に正門を破るつもりか」
先頭をひた走る隊長タウルスは、曲がることも減速することもなく、ひたすら真っ直ぐに突き進む。その先にあるのは、元の古代遺跡をそのまま流用されている巨大な両開きの正門だ。
もう、あと三十秒もしない内にヤツは突っ込んでくる。しかし、未だスパーダ軍は動かない。
まだか――思わず、そんな焦燥感が胸に湧き上がったその時。そう、ちょうど今この時こそ、敵を十分に引きつけたタイミングであると、誰もが感じたのだろう。
スパーダ軍の初手、ファロス砲が炸裂する。
キュン、と独特の甲高い響きを上げて、紅蓮の閃光が防御塔より射出された。冷たく鋭い真冬の雪山に漂う空気を灼熱が穿つように、一筋の熱線が迸る。
狙いは当然、堂々と中央先頭に陣取る隊長機。ハンマーは強力な武器だが、防御面には一切貢献しない。いかにブースターでの機動があろうとも、熟練の戦士が如く、ハンマーによるガードや受け流しといった防御術は再現できないだろう。
すでにファロス砲は一発でタウルスを撃破できることを、先の一戦で証明済み。ならば、この隊長機とて、直撃すればひとたまりもない。
だがしかし、それは当然、敵も想定していたようだ。
「くそっ、カバーが素早い!」
隊長機が侍らせるように両脇に控えさせていた盾持ちが動く。
それはまるで、事前に何度も練習を重ねた、いや、いっそベテランの冒険者パーティのような連携、と言ってもいいだろう。
二機の盾持ちが、一際強くブースターを迸らせる。青白い輝きが倍しているから、出力を上げたことは一目瞭然。
そして、それと同時に隊長機は逆にブースターの出力を落とした。
加速と減速。互いに相反する操作で導き出されるのは、一瞬の内に三機の立ち位置を逆転させるという結果。
隊長機は一歩後ろに、そして、その前に出た二機の防御特化タウルスは、すでに重厚な盾を確りと両手で構えていた。
そこまで体勢が整った直後に、戦塔ファロスよりビームが撃ちだされたのだった。
恐らくは、ファロス砲の発射を魔力の乱れで察知していたのだろう。魔力を感知するセンサー機能があるのか、それとも、単に魔術士の一人でも同乗させているのかは不明だが。
ともかく、炸裂したファロス砲は果たして隊長機を撃ち抜いたのか――
轟音と共に、着弾によって濛々とした黒煙が立ち込め視界が閉ざされる。結果はすぐには分からない。
そして、一拍遅れて、残り三本ある塔からも、同じく莫大な魔力を秘めたビームが発射される。右方に一発、左方に二発とバラける。狙いはダブルドリルの奴か。
爆音の三重奏が高らかに響き渡り、黒煙のカーテンはさらに広がって行く。黒々とした噴煙の向こうからは、ブースターの轟きと、鈍い鋼鉄の軋みが聞こえてくる。
そんな風に、タウルス部隊の姿が爆煙の彼方に消えるのも、一瞬のこと。凄まじい速度で前進を続ける奴らは、すぐに煙を割って現れる。
真っ先に黒煙を突き破ってきたのは、二本角の生えた機体だった。
「ちっ、やっぱり防がれてたか……」
隊長機は健在。全くの無傷。鋼のボディは煤けてすらいない。
さらに最悪なことに、ビームを防いだ盾持ちもまた、生き残っていたことだ。
二機の内の片方だけがファロス砲一発を受け止めたのだろう。その手にはもう盾はない、それどころか、両腕すらない。だが、それだけ。
盾と腕を失っただけで、あとは全身に多少の損壊が見られるものの、ブースターを吹かして走行を続けている。勿論、もう片方は無傷である。
どうやら、ファロス砲でも盾と両腕を吹き飛ばすだけに留まるようだ。あの盾が見た目通り、いや、見た目以上の防御力を秘めた、強固なものであることが証明された。
「でも、三機は撃破したようですね」
黒煙の向こうから現れたタウルスの数は、合計で十機。確かに、三機減っている。
一見してすぐ分からないのは、すでに倒れた分の隙間を埋めるように隊列を寄せているからだ。どうやら、反応が良いのは隊長機と盾持ちだけではないらしい。
「今回はパイロットの腕前もいいみたいだな」
「前回でとったデータも反映されているんじゃないでしょうか」
「うん、前より強くなってるよー」
実戦運用テストの成果は上々といったところか。ちくしょうめ。
「それでも、何とか潰さないとどうにもならないからな」
ファロス砲はきっちり四発撃ち切ったのだ。ここから先は、俺達の出番である。
「あともう一歩、といったところでしょうか」
「ああ、ギリギリまで引きつけよう」
すぐ目の前で猛進してくるタウルスを前に我慢するのは、かなり心臓に悪い光景だが。
彼我の距離は、およそ百メートルといったところだろうか。前はこの辺で、俺達は撃っていた。
今回の相手はのんびり歩くだけではなく、魔力ブースターで移動速度は三倍、おまけに反応速度も上がっている。最悪、外す可能性があるのだ。
かといって、悠長に待ってもいられない。ドリルが刺さってからでは遅いのだから。
つまり、撃つタイミングは――今っ!
「荷電粒子竜砲発射」
「――『黄金太陽』」
「――スパーダに輝く五つの光! 喰らえ! 必殺! ファイブレイドシュートぉおおおお!!」
煌めく五色の光球が、流星のようにキラキラとした尾を引いて飛んでゆく。向かう先にあるのは、腕のないタウルス。そう、ファロス砲を受けて盾と両腕が大破したタウルスである。
狙いは正確。一直線に飛んでゆく必殺の複合魔法『ファイブレイドシュート』は、同じく一直線に突進してくるタウルスへと見事に衝突した。コックピットが位置する胸元で五色の原色魔力が炸裂。赤・青・黄・緑・桃、それぞれが激しく輝きながら、最も分厚い胸部装甲を圧し、削り、潰してゆく。
目に眩しい五光の大爆発も、過ぎ去れば一瞬のこと。あとには、大きく胸の装甲板を破損させたタウルスが残る。だが、その巨体を運ぶブースターは今も全開で噴かされていた。
仕留めそこなった――否、彼らの役目は、城壁に匹敵する強固な装甲を削り取るだけで十分に果たされているのだった。
「ثلاثاء اللهب الرمح يخترق――『火焔長槍』」
すでに詠唱を完了していたスパーダの精鋭魔術士達が、上級攻撃魔法をタウルスの胸部装甲が抉れた一点を狙い一斉発射した。
サラマンダーのファイアブレスに勝るとも劣らない、巨大な炎の矢が幾本も正確無比に巨人の弱点へと殺到する。連続的な爆発音と破砕音。赤々とした炎と黒々とした煙が、噴き出す鮮血の代わりとばかりに胸元の穴から盛大に吐き出される。
俄かにブースターの燐光が乱れ、消えてゆく。同時に、ギギギという鋼鉄の悲鳴を上げながら、タウルスの巨体は雪上へと墜落していった。
これほどの火力を費やして、ようやく、盾持ちの一機を完全に沈黙させたのだ。
城壁の中央に陣取るスパーダ騎士達は、その事実を苦々しい顔で受け止めるより他はない。何といっても、彼らの目の前には、未だ無傷の盾持ちが迫っているのだから。
しかして、絶望の表情を浮かべる者は、一人としていない。
「――出でよ、『王剣・クリムゾンスパーダ』」
この時、黄金の腕輪型をした王の宝物庫より、再びスパーダの宝剣が引き抜かれる。手にするのは勿論、スパーダが誇る剣王レオンハルト。
無骨な巨大グラディウスは、強靭な膂力を宿す者にしか構えることを許さない。そして、並々ならぬ剣の才を持つ者でなければ、振ること能わず。
真紅の王剣をゆっくりと振り上げるレオンハルトの構えは、どこまでも堂に入っている。その姿だけで、見る者に彼がこの剣に相応しい王であることを知らしめていた。
整列するスパーダ軍の最精鋭、王直卒の第一隊『ブレイブハート』の重装歩兵達より一歩前へと進み出ているレオンハルト。偉大な王にしてスパーダ最強の男。そんな彼の背中からは、限りない頼もしさを感じさせる。鋼鉄の巨人の軍団を前にしても尚、レオンハルト王の存在感は圧倒的。
「陛下、あまりご無理はなさらぬよう」
しかして、この場で王の副官として兵を率いる立場にある、ガルブレイズ卿、彼だけはレオンハルトに対して僅かばかり不安を瞳に映していた。
「ふっ、そんな忠告をするとは、歳をとったものだな、ガイ」
レオンハルトはチラリと後ろを振り返りながら、スキンヘッドにドワーフのような立派な髭を生やした大男の顔を見やるなり、かすかに微笑んでみせた。
ガイ・エスト・ガルブレイズ。幼少のみぎりより、共に歩んできた友は、いつからこんなに心配性になったものかと。戦場で剣を振るうことしか考えていない男だったはずだが、なるほど、確かに思い返せば、いつの間にか将として相応しい器となっていたものだ。
だからこそ、こうして兵を預けられているのだから。
歳をとったのではなく、むしろ、自分が成長していないだけかもしれない。レオンハルトは言ってから、そんな自嘲が心に浮かんできた。
「いざという時は、私めが」
レオンハルトは、一つ頷いてから、再び正面へと視線を戻した。
ガルブレイズの心配は、何も漠然とした不安感よりくるものではない。もっと具体的に、彼はレオンハルトの抱える危険を知っているのだ。
いや、より正確に言うならば、危険なのはその手にある王剣である。
「王剣奥義――『龍鱗ヲ裂ク紅蓮』」
真紅の刀身がそのまま伸びたように、レオンハルトが練り上げた超密度の魔力オーラがクリムゾンスパーダより噴き上がる。
城壁の上より、盾でガードの体勢をとるタウルスへ、百メートル超の赤き刃が振り下ろされる。竜の鱗を切り裂く、それもサラマンダーよりも遥かに強力な、希少個体や王族級のドラゴン――そう、スパーダを狙う宿敵である竜王ガーヴィナルとの決戦用に編み出したレオンハルトの奥義。
その一閃は決して名前に負けることなく、竜王の鱗にも匹敵するだろう巨人の盾を、切り裂き始めた。
接触面から激しく舞い散る赤い光は、魔力の欠片か、それとも火花か。
刃と盾の攻防は一瞬の拮抗を経て――赤の刃に軍配が上がる。一刀両断。真っ赤に赤熱化した断面を晒しながら、タウルスの盾は真っ二つに別たれた。
盾が開けた向こうにある無機質な赤い一つ目と、レオンハルトの鬼気迫る眼力を宿した黄金の視線が交差する。
「ハァ……フッ!」
王の大剣を振り下ろした体勢のレオンハルトは、頬に一筋の汗を流しながらも、刹那の拍子で呼気を整え、同時に、再度の『練気』を済ませる。全身に血液が巡るように、クリムゾンスパーダへ濃密な赤い魔力が満ちて行く。
最初の一撃は、盾を切ったのみ。本体は無傷。倒すには、さらいもう一撃が必要だった。
元より二連撃の構え。それを知るからこそ、ガルブレイズの不安があった。
忠実な臣下にして、無二の親友たる男の心配はその時、明確な形となって現れる。
真紅の刀身と同じ色合いを持つレオンハルトの魔力が渦巻く中に、黒が一筋混じっていた。それは闇の如き漆黒の色合いだが、虚無ではない。混沌のようにドロドロと、何かが禍々しく渦巻いている。
その形容しがたい邪悪な黒。人はそれを――『呪い』と呼ぶ。
「龍鱗ヲ裂ク、紅蓮っ!!」
呪いの黒が一筋混じる真紅の奥義は、今度は切り上げの型を持って繰り出される。
再び爆炎の血飛沫をあげながら、盾を失ったタウルスの胴が、腹部から頭上に向かって切り裂かれてゆく。
黒という異質の混じる刃でありながらも、その威力は少しも劣らず、いや、むしろその切れ味が増しているようで、一息にタウルスを斬り捨てる。腹が裂かれ、胸元はそこに座すだろう操縦者ごと斬られ、頭は中央に浮かぶ単眼を綺麗に左右へ断ってみせた。
そうして、二機目の盾持ちも完全に撃破された。
レオンハルトの役目はここまで――しかし、敵の陣形がそれを許さなかった。
ハンマーを持つ二本角の隊長機は、盾持ちのすぐ真後ろに控えているのだ。ファロス砲を防いだその時から、盾持ちは完全に隊長機の防衛に専念するような立ち位置にしている。
盾を前に、攻撃役を真後ろに、という単純な配置はシンプルであるが故に付け入る隙を与えない。
これを見た瞬間に、レオンハルトも、そして、ガルブレイズも覚悟していただろう。盾持ちを二撃で葬り、更なる三撃目によって、隊長機を倒すより他はないと。シンプルな陣形を打ち破るのは、より単純な力技しかなかった。
「陛下っ! やはりそれ以上は――」
臣下の叫びは、王の耳に届いてはいたが、聞くわけにはいかなかった。
「ぐっ、フゥっ……ハァ……」
先よりも大きく乱れた呼吸を、どうにか整える。一瞬だけ、柄を握る両手が緩みかけたが、それもすぐに引き締め直す。
レオンハルトは大粒の汗を額に浮かべながらも、苦痛の色はわずかほども出さず、輝く黄金の瞳でスパーダの敵を睨みつけた。
「コォオオオオ……」
呼吸による魔力の練気。達人の技量と、超人の能力によって成されるそれは、三度目の王剣奥義を発動させるに足る魔力を、瞬時に練り上げてみせる。
しかし、オーラとなって顕現する魔力の渦は、先よりも多くの呪いに蝕まれていた。
黒い闇は、より多く、より広く、そして、より色濃く、レオンハルトが持つ真紅の魔力オーラに入り混じっている。総量で見れば、三分の一ほどは黒に染まっていた。
ガタリ、とかすかに剣を握る手が震えた。
レオンハルトはそれを、己の精神力によってのみ抑える。集中。精神統一。心の力づくで抑えれば、その分、反動もあった。
殺せ、斬れ、壊せ――何者かの声が、聞こえた気がした。
「我が身の非才を恨む……だが、剣を振るう力くらいは、ある」
剣より伝わる暗い声を振り払うようにそうつぶやき、レオンハルトは無理を押して三度目の奥義行使に挑む。
繰り出す型は、振り下ろしでも切り上げでも薙ぎ払いでもなく、突き。
「王剣奥義ノ極――『龍魂ヲ滅ス黄昏』」
己が解き放った、最大威力の究極奥義。しかし、それがどんな輝きを発したのか、レオンハルトは自分の目で見ることは叶わなかった。
感じるのは、奥義の発動が成功した確かな手ごたえだけ。
それを最後に、レオンハルトの意識は闇に落ちた。
彼が寸前に思ったことは、やはり、己の力不足。
そう、レオンハルトには、この呪いの武器である『王剣・クリムゾンスパーダ』を支配する、昏き深淵の闇が如き適性を、持ち得ていなかったのだから。
Q レオンハルト王の異名は?
剣王 ×
固定砲台 ○