第440話 侵食する悪夢(1)
「後は、俺に任せてください」
赤い髪のワイルド系イケメンの生首を適当に蹴り飛ばしながら、俺は進むべき正面を睨む。
この男は結構な槍の使い手だというのは、激しい突きの連打を見て察していた。一人だけ十字軍兵士とは異なる格好からいって、腕利きの傭兵か、特別扱いの人物なのだろう。強敵の一人であることは間違いなさそうなので、一応、念入りにトドメを刺しておくことにしておいた。
最初の一発、『デュアルイーグル』にあらかじめ装填しておいた通常弾の射撃で胸元に大穴が空いたから、それでもう即死だろうと分かってはいたが。
それでも、首を落としても反撃されたホロ苦い経験が二度もある俺としては、過剰ともいえる追い討ちをかけたのだ。こういうのは、出来る時にやっておかないと。
これで確実にコイツは殺しておけたし、エリウッドさんを助けるのも間に合って良かった。もしもの時の為にと、ハイポーションをスパーダで買い込んでおいて正解だったな。
そういえば、武器を失っているようだから、その辺に転がる重騎士のハルバードと大盾を黒化させて渡しておいた方がいいか。片手剣が一本きりでは心もとないだろうし。
ヒツギ、ちょっと回収しておけ。これで失礼なハイポーションのぶっかけ方は不問にしておいてやる。
「はーいご主人様ー」
まるで反省の色が見られない能天気な返事をしつつ、ヒツギが破損の少ない武器を探して触手を四方へ伸ばしていった。
「さっさと術者を殺りにいくべきなんだろうが……」
このまま真っ直ぐ行くのに、少しだけ躊躇する。
今の状況は、妙な膠着状態に陥っていた。俺を中心にグルリと十字軍兵士共が取り囲んではいるが、中々、一斉攻撃の一歩を踏み出してこない。
赤毛男とエリウッドさんの一騎打ち、みたいな状況から、いきなり俺が飛び込んできたこともあって、向こうからすると仕掛けにくい雰囲気なのだろうか。こちらとしてはありがたいが、次の瞬間には敵が雪崩を打って攻め寄せてくるかもしれない。
危険な状態に変わりはないと分かってはいるものの、俺としては、未だに奮戦を続ける突撃部隊のメンバーが気になってしまう。
エリウッドさんを除き、他の生き残りが二名いる。たったの二人だが、それでもまだ、彼らは生きているのだ。そして、助けられるだけの力が、俺にはある。
「術者は殺す、味方も助ける」
多少のリスクを省みるより、俺は、今できる最善の結果を求めよう。迷うことなど、何もない。
これを成功させるには、使い慣れていない、あるいは、全く使ったことのない能力をフル活用しなければならない。不安は残るものの、やってやれないことはないはずだ。
それじゃあ、まずはコイツの出番といこう。
「歌え、ホーンテッドグレイブ」
右手の首断と入れ替えるように取り出したのは、懐かしの『呪物剣闘大会』にて死闘の末手に入れた、呪いの大薙刀。
これを使ったのは前に一度だけ。イスキア古城へ向かう途上で力尽きたメリーを蘇らせるために、ホーンテッドグレイブが秘める特殊能力『亡者復活』を奏でた。
だが、今回は俺がアリーナで苦しめられたのと同じ利用法となる。つまり、この場で無数に転がる死体共へ向けて、復活の歌声を響かせるのだ。
お前の歌を聞く観客は、ここにはいくらでもいるぞ。さぁ、存分に忌まわしき復活の旋律を奏でろ。
ギョァアアアアアアアアアアアア!!
と、俺が天高く掲げた黒い刃から、身の毛もよだつ女の絶叫が幾重にも重なるように響き渡る。
あまりにおぞましい歌声を耳にして、周囲を取り囲む十字軍兵士が顔面蒼白となって反射的に耳を塞いでいた。手にした武器を躊躇なく手放して両手で耳を覆っているのだから、その嫌悪感、拒絶感たるや、相当なものなのだろう。
俺もこの声をアリーナで聞いた時は、黒板をガラス片で引っかいた音と同等レベルの不快感を覚えたものだが……自分で行使していると、そんなに悪く感じてこないから不思議なもんだ。癖になる音色。
「キャー! 墓守さんステキー!」
と、ヒツギなんかは大好きなアーティストの生ライブを見ているような興奮ぶりである。うーん、呪いの旋律は死者だけでなく、呪いの意志にも大好評ということなんだろうか。
ともかく、わざわざコレを使ったのはヒツギを喜ばせるためでもなく、十字軍兵士をビビらせるためではない。肝心の効果はというと――
「よし、そこそこの数が動いてくれたな」
戦場のそこかしこで、十字軍兵士がこの世ならざる者を見た、というような悲鳴と共に、文字通り冥府の底から響かせる恨みの呻き声が上がるのが聞こえた。
ざっと見まわしてみると、十、二十……五十体ほどの死体が低級アンデッドモンスターのゾンビと化して、再び武器を手にのっそり立ち上がる姿が確認できる。
『亡者復活』で死体がゾンビとなる確率は100%からは程遠いが、絶対数が多ければその分だけ頭数は揃う。
身の内に黒色魔力か闇の原色魔力を宿している、または死への恐怖を超えた怨念を持った者は、ほぼ確実にアンデッド化させることができるというが、、この五十そこそこのゾンビの内、どれがどういう理由でアンデッド化に成功したかの判別はつかない。俺から見れば皆、等しく汚らわしいゾンビに過ぎない。
「集え、死にぞこない共。守りを固めろ」
ホーンテッドグレイブを軽く一振りし、動き始めた屍へ命令を下す。
サイードが使った時も、ゾンビを明らかに俺の足止めをするために行使していた。ただ死体を蘇らせるだけでなく、この薙刀を持つ者が死者の主となって意のままに操れるとは、便利な能力である。
いや、それほどまでに強力な呪いの力を宿している、と言うべきだろう。愛する少年を失った墓守女の怨念は、それほどまでに強いらしい。
俺の呼びかけに反応し、即座にゾンビ兵士が集まってくる。ホラー映画で見たようなノロノロした動きではなく、全力疾走にホップステップジャンプと三段跳び。凄まじい躍動感でもって、俺の元へ続々とはせ参じた。
アンデッドモンスターの厄介な点は、肉体の軛から解き放たれた身体能力を発揮することだ。痛みを感じず、恐れを抱くこともなく、その身に秘める怨念と魔力が尽きるまで動き続ける。
光魔法などに代表される特効的な弱点は多々あるものの、総じてタフでパワフルな動きをするアンデッドは難敵の部類に入る。
五十人程度でも集まれば、エリウッドさん含む瀕死の突撃部隊員をこの敵陣の中で守り切る護衛の役目を果たせるだろう。
何より、突撃部隊が結構な数の重騎士を倒してくれておいたお蔭で、重厚な鎧兜をそのままに蘇ったナイトゾンビもそこそこいるのは僥倖である。彼らが整列するだけで、強固な壁の完成だ。
強いて気になる点といえば、この中には十字軍兵士だけでなく、ついさっきまで戦っていた突撃部隊の騎士と冒険者も何人か含まれていることだろう。味方にまで、この正しく死者に鞭打つ所業を行うのは大いに心が痛むが……すまない、あともう少しだけ、俺達に力を貸してくれ。
「な、なんだコレはっ!? こんなに早くアンデッド化など……ありえん……」
十字軍の悲鳴に混じって、エリウッドさんの驚く声も聞こえてきた。まぁ、普通は驚くよな。俺だって、こんな邪悪で不浄な見た目のゾンビが自分を守るために戦う味方だと、一目で判断できないだろう。
「コイツらは俺の使い魔みたいなものです。安心してください」
自分で言ってて、安心できるワケねーだろと思うが、あんまり悠長に説明している暇もない。エリウッドさんには悪いが、いましばらくの間、ゾンビに囲まれたまま守られていて欲しい。
よし、これで心置きなく俺もここから先へ突撃して行ける。
「行けるか、ヒツギ」
「はい、準備はバッチリですよご主人様っ!」
弾むような明るい返事を脳内に響かせながら、影より湧き出る十数本もの触手が、それぞれ先端に拾い上げたハルバードを絡ませ持ち上げながら、威勢よく蠢く。
「赤熱黒化は?」
「完了でーっす!」
ついさっきエリウッドさんにヒツギが放り投げて渡したものは、これまで通り普通の黒化。そして、ヒツギが集めた攻撃用のハルバードにかけたのは、新たに編み出した黒化の派生型である『赤熱黒化』だ。
赤熱、と名がつくように、これは疑似火属性を利用した魔法である。刃に炎を纏わせる、なんて温い効果じゃない。これは武器そのものを丸ごと爆弾に変える、威力重視の付加である。
白銀に煌めくハルバードが、黒化の影響で黒一色に染まった後、『絶怨鉈「首断」』のように、脈打つ血管のような不気味な赤い文様が浮かび上がる。これでヒツギが集めてくれたハルバードは全て、鋭い刃でもって相手を切り裂く切断武器ではなく、その身を以て敵を木端微塵に粉砕する爆破武器と化した。
さぁ、その火力で俺が進む道を開いてくれ。
「爆ぜろ――魔剣・裂刃」
「ぶらすとぉーっ!!」
俺が口にした魔法名とヒツギの叫びが轟く瞬間、触手が一斉に『赤熱黒化』でミサイル同然の性質を持つハルバードを投擲した。
別に投げなくても普通の『魔剣』と同じく念力のように射出できるのだが――どちらにせよ、撃ち出されたロケットランチャーのような勢いでもって、合計十三本の爆裂ハルバードが、目の前に立ちふさがる重騎士と歩兵の集団に向かって飛び込んで行った。
「やっぱり、榴弾砲撃よりも威力あるな」
ことごとく悲鳴をかき消す破壊音と、噴き上がる赤黒二色の爆炎。吹き抜ける熱風で髪とコートを激しくはためかせながら、俺は焦土と化した道へ一歩を踏み出した。
向かう先は、俺と似たような黒コート姿の剣士が一人で奮闘している場所。相手は如何にも十字教司祭ですというような、煌びやかな純白法衣に身を包んだ眼鏡の青年だ。
もう一方でも孤立して戦っている突撃部隊の人がいるようだが、ゾンビを使役している状況においては、アンデッドを瞬殺する術を持つ司祭を排除する方が優先すべきだろう。
見たところ、眼鏡の司祭は水――いや、あの淡い白光を宿しているのは聖水ってヤツだろうか、それを操り変幻自在の攻撃を黒い剣士へと繰り出している。折角、蘇らせたゾンビも輝く水の鞭に打たれれば一発で昇天だ。
おまけに、司祭は周囲の重騎士と連携し、彼らの武器に青白く輝く付加を施している。どういう効果を秘めているのかは不明だが、その清浄な光はゾンビに効きそうである。
もっとも、俺自身は人間であるからして、特に聖なる魔法に弱いとかそういうのはないので気楽なものだ。純粋に重騎士と水魔法を使いこなす司祭をまとめて相手にするだけのこと。
さっさと片付けて、剣士の人を救出するとしよう。
「よし、行くぞ」
ハルバード爆弾でぶち抜いた戦列の穴を、十字軍兵士が再び動いて塞がれる前に全力で駆け抜けて行く。未だ黒煙が燻る道を突っ切る途中で武装も切り替えておく。
左手の『デュアルイーグル』を影に放り投げ、再び入れ替えるのは――
「はい、いってらっしゃいナタ先輩!」
呪いの大鉈『絶怨鉈「首断」』を左手に、悪しき薙刀『ホーンテッドグレイブ』を右手にした、剣と長柄の変則二刀流でもって、俺は黒い剣士に斬りかかる重騎士達の背後を衝いた。
「二連黒凪――」
寸前で、俺の接近に気付いた重騎士が素早く反転する。殺意も魔力も微塵も隠す気がないから気づかれて当然ではあるが、その対応の速さは流石エリートといったところか。
自慢の防御力で、まずは背後の不意打ちを凌ごうという考えで一致しているのか、こちらに向いた四人は大盾を綺麗に並べる素晴らしい連携を見せてくれた。
その威圧感たるや、正しく鋼鉄の壁と呼ぶに相応しい。
実際、その大きな十字の描かれた分厚い鋼の装甲は、俺の黒凪も防ぎきるというのはアルザス戦で経験済み。当時はまだ『呪怨鉈「腹裂」』であったが、一段階進化した『首断』でも、この守りを一刀両断するまではいかないだろう。
それは呪いの武器に相応しい切れ味を有すホーンテッドグレイブも同様。
つまり、武技を叩き込んでも防御の構えをとる重騎士を倒せない、ということになる。
そう、これがただの『二連黒凪』ならば。
「――共鳴怨叉」
キィン、と甲高い音が響く。それはホーンテッドグレイブが持つ、刃を高速振動させることで切れ味を上昇させる能力の発露。しかしこの瞬間、振動能力は持たない『絶怨鉈「首断」』の刃も、女の悲鳴のように不気味な音を発しながら、震えた。
武技の威力に加え、高速振動という力を得て、走り出した『二連黒凪』は見事に重騎士を構えた盾ごと真っ二つに切り裂く。
「ぐ、はぁ……」
「馬鹿な……あり、え……」
そんな苦しげなうめき声だけを残して、胴と腰で分断された重騎士は文字通り地面へと崩れ落ちた。
『共鳴怨叉』、この技を使ったのはリッチ討伐の際に『復活の地下墳墓』にて試し切りして以来だ。
これはホーンテッドグレイブの高速振動能力を、刃が発する呪いの旋律によって伝導させ、もう一方の武器に音叉のように共鳴させるという仕組みだ。その気になれば、近くの味方が振るう刃にも、この震動を付与できる。あくまで理論上は。
下手すれば呪いの歌声のせいで集中力が乱れたり、単純に気持ち悪くなったり、などなど、マイナスの影響を受ける可能性が大いにある。同じ呪いの武器使いでもなければ、満足に震動効果だけの恩恵は得られないと思われる。
とりあえず、こうして自分だけが二刀流で使うのに限っては、何ら不都合はない。
ホーンテッドグレイブは見事に『絶怨鉈「首断」』の威力を高め、大盾さえ一刀両断してみせた。正確には、初撃の首断が七割方の装甲を切り裂き、残りをグレイブで断ち切った二連撃であるのだが、 まぁ、威力としては申し分ないことに変わりはない。
かくして、重騎士達はたった一発の武技でもってあっけなく切り捨てられたのだ。大柄な男四人分から噴き出す鮮血は、瞬く間に俺の足元と周囲を赤一色に染め上げる。
今更、返り血の汚れなど気にもならない。ベチャリと水音を立てて、俺は悠然と血溜まりを行く。
正面に捉えるのは、まだまだ立ち並ぶ重騎士と、その向こうに立つ眼鏡の司祭。重騎士は頭部を全て覆う兜を被っているせいで顔色は窺えないが、恐らく、司祭と同じように突然の乱入者たる俺に対して驚愕の表情を浮かべているだろう。
それにしてもこの眼鏡の司祭、無駄に美形である。さっきの赤毛男がワイルド系イケメンなのに対し、こっちは眼鏡が似合う知的なインテリ系イケメンといった感じ。
強さに顔は関係ない……こともないんだろうか。白き神は使徒を選ぶ条件に容姿も入れてるんじゃないかってほどに、サリエルもアイもミサも美少女揃いだったからな。使徒ほどじゃないにしても、特別な才能を与える奴を美形に限定している可能性は否めない。
そんなあまり意味のない想像に思考を割いている僅かな間に、イケメン司祭はすぐさま表情をキリリと引き締め、眼鏡の奥に輝く青い瞳で鋭く俺を睨んだ。
「先ほどから随分と騒がしいと思っていましたが……なるほど、貴方が噂のアルザスの悪魔ですか。まさか、こんなところまで一人で斬りこんでくるとは――」
「おい、剣士の人、大丈夫か?」
司祭が偉そうに前口上を述べているが、俺としてはご清聴たまわってやる義理はない。こっちの優先目標は味方を救出すること。
四人の重騎士を斬り捨てたことで、完全に包囲された剣士の元まで道は開かれている。
見るからにボロボロとなった小柄で細い背中に、俺は周囲を警戒しつつ声をかけた。勿論、さっきのエリウッドさんと同じく、素早く回復させるべくヒツギにハイポーションをスタンバイさせる。今度は頭から思い切りぶっかけたりするなよ。
「……すまないがクロノ、それは私には必要ない」
ボソボソとつぶやくような小声、だが不思議とはっきり聞き取れるよう言いながら、黒コートの剣士はゆっくりと振り返った。
年よりのようにくすんだ色となった金髪に、やつれた顔つき。生気の感じられない青白い肌だが、赤く充血しきった白目に、それ以上に炯炯とギラつく真紅の瞳。そして、疲れ切ったような荒い息遣いの口元から覗くのは、二本の白い牙だった。
剣士の正体は、紛れもなく吸血鬼。というか――
「あれ、お前……ルドラじゃねーか!?」
「ふっ、顔を覚えていてもらえるとは、嬉しいぞ」
瀕死の重病人が如き青ざめた顔色でありながらも、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる男の顔は、盗賊討伐の最中で一対一の勝負をした、あのヴァンパイアサムライと完全に一致した。
「まさか、アレで生きてるとは」
「次は心臓も貫いておくのだな」
どうやら、このルドラも首を落としても死ななかったメンバーの仲間入りを果たしたようだ。流石は吸血鬼、恐ろしいまでの生命力というか、不死性である。
「とりあえず、今は味方ってことでいいんだろ?」
「無論だ。いくら私とて、それくらいの分別はついている」
ならば安心。ここでいきなりリベンジするぞと言い出すほど、イカれてはいないようだ。
「まだ戦えるか?」
「何とかな。あの司祭さえどうにかできれば、死ぬことはない」
なるほど、聖職者と吸血鬼とでは、相性最悪だからな。というより、相手がルドラだからこそ、司祭は味方に青い光の付加まで行使しているということだろう。
他の兵士があえてルドラに手を出さないでいるのも、下手に吸血されて下僕にされたら困るからか。司祭と、その援護を受けられる重騎士だけで相手をするのが、リスクを最低限に抑えられる。
だが、その安全策は俺が現れた時点で崩れた。
「司祭は俺が片付ける」
「ふっ、頼もしいな」
「――ええい、悪魔と吸血鬼が謀ですか! 何を企もうと無駄なこと、ここでまとめて滅ぼしてくれる!」
俺が無視したせいなのか、司祭がキレてしまったようだ。まぁ、機嫌が良かろうと悪かろうと、このまま黙って放置していてくれるはずもないが。
司祭は殺る気に満ちた顔で、魔道書とそれによって操られている聖水の流れを掲げ、さらに彼を守るように前面に重騎士が並び立った。
硬い前衛に回復も攻撃もできる優秀な後衛。中々に強力な構成であるが……
「悪いが、急いでるんだ。さっさと死んでもらおうか」