第435話 重装歩兵VS重騎士
「――『荷電粒子砲』、発射」
荒れ狂う紫電の奔流が、迫りくる十字軍へと襲い掛かる。
地上50メートルの高みより発射された『荷電粒子砲』は、正しく天より降り注ぐ雷の如し。いや、その万雷を束ねたような凄まじい力を秘めた雷撃の矛先は、大盾を構えて敵の迎撃に備えていた重騎士を、あっけなく消滅させる。
着弾の瞬間、光の渦に巻き込まれた彼らは身を守るべく防御系武技を発動させてはいただろう。だが、いかなる斬撃や刺突、果ては炎熱や雷撃をも防ぐと豪語する重騎士のガードも、この一撃の前では無抵抗に等しい。
降り注ぐ破滅の雷光は、鋼鉄の騎士の抵抗を前に、ほんの一瞬だけ止まる――が、次の瞬間には、輝く紫電の彼方へと悲鳴も命も諸共に消え去って行った。
毒々しく、それでいて鮮烈な紫の稲光は、そこに秘める莫大な熱量によって、分厚い雪に覆われた大地を穿つ。白一色の雪原に、縦一文字に黒々とした破壊の跡が描かれる。
濛々と噴き上がる白い蒸気は雪の水分だけでなく、無数に蠢く白い軍勢も蒸発させたが故の総量にも思える。兵士として最大の防御力を誇る重騎士でさえ、僅か刹那の間しか耐えられない威力。ただの歩兵なら、本当に成す術もなく、怒りの雷に蹂躙されるがまま。
そうして、 クロノの『荷電粒子砲』は目論見通り、圧倒的な破壊力でもって十字軍の戦列を深々と食い破った。
「何という威力だ……」
最終的に、敵の魔術士部隊が展開した三重防護にぶちあたり、その重ねがけされた防御魔法諸共、大爆発を起こして吹き飛ばしてようやく相殺されたところで、エリウッドは思わずそうつぶやいた。
スパーダ軍第四隊『グラディエイター』の副隊長を務めるエリウッドは、元々、スパーダ軍の最精鋭である王直属の第一隊『ブレイブハート』のベテラン隊員であることを知れば、その戦歴はスパーダ人なら誰もが察せられる。
そんな彼をして、素直に感嘆せしめる威力。ランク5冒険者の位は伊達ではない。まして、こんな攻撃を受ける敵にとっては、正しく悪夢であろう。
彼が味方で良かった。彼が、この結界に閉じられた閉鎖空間の中にいて、良かった。黒き神々の巡り合わせに、エリウッドは感謝の念を奉げつつ、ついに死出の旅路へと一歩を踏み出した。
「――突撃ぃいいいいいっ!!」
勇猛果敢な雄たけびを上げて、最前列に立ち並ぶスパーダ軍重装歩兵と、その後ろに続く冒険者が駆けだした。
彼らのスタート地点は城壁上の通路ではなく、すでに塞がれた穴の前。無論、本来なら足場などあるはずもない地点であるが、敵が城壁を乗り越えるために展開した聖堂結界の巨大階段を利用して、あらかじめここに布陣できたのだ。
壁の穴の位置は地上から15メートルといったところ。大の大人が勢い込んで駆け出せば、あっという間に下れる距離。
合わせて百名にも満たない突撃部隊、だが、数が少ない故に、クロノが撃ち抜いた突破口へ、素早く飛び込むことができた。幸いにも、『荷電粒子砲』がなぞった後は勿論、その周囲の雪が蒸発し、走りやすい土の地面が剥き出しとなっている。眼の前で小山のように眠っていたタウルスの巨体も半分ほど露わになるほど、激しい熱風が吹き抜けたことを悟らせた。
もっとも、何よりも雄弁にその破壊力を物語るのは、直撃を受けた地面のラインがマグマのように赤熱化し、そこに存在していた人影が完全に消滅して虚空が開けていることだろう。
かろうじて原型を保った甲冑や手足が残っているのは、なんとか直撃だけは免れた者達。ブスブスと黒焦げになって散っている彼らは、よりこの空間の凄惨さを際立てるためのオブジェでしかない。
一瞬にして作りだされたそんな地獄絵図に十字軍も怯んだようだが、雄たけびを上げて突撃を敢行するスパーダ軍を前にすれば、流石にいつまでも呆けてはいられなかったようだ。
白い人波は、再び動き出す。勇猛果敢だが、圧倒的に寡兵の敵を飲み込むべく。
「はぁああああっ!」
エリウッドは右手に握った槍で、勇ましく行く手を阻もうと現れた十字軍歩兵を一突き。一人ではなく、二人まとめて。
自らが身にまとう鎧兜と同じアルマダイト鉱石と聖銀の複合合金で作られた『ブレイブハート』隊員専用の緋色の槍『ヴァーミリオン・ピルム』は、人体は勿論、ただの鉄製である鎖帷子など紙切れ同然に貫き通す。
魔法攻撃の追加能力はないが、純粋に槍としての機能を極限まで高めたこの一振りは、苛烈な戦場にあってこれ以上ないほど頼もしい相棒となる。穂先は何人突こうと鋭さを失わず、柄は斬撃と打撃を受け止めても折れない。
血塗れの穂先が兵士の胸から引き抜かれると同時、流れるような動作で黄金の円盾『ゴールデン・トーラス』が突き出される。 力強い踏込みと共に繰り出されたシールドバッシュは、ただの障害物と化した兵士の死体二つを軽々と吹き飛ばした。
だが、エリウッドはわざわざ邪魔な死体を吹っ飛ばすためだけに、盾を振るったわけではない。前方から獲物へと襲い掛かる荒鷲の如き勢いで飛来した、魔術士部隊の火球攻撃を防ぐのが本命だ。
「ふははは! 温いわぁ!!」
吹き抜ける爆炎と噴煙を割って、無傷の重装歩兵達が駆け抜ける。
殺到した炎の攻撃魔法を捌いたのは、エリウッドただ一人だけではない。一斉に発射された火矢を、隊列を崩さず突き進む他の重装歩兵も、同じタイミングで盾を繰り出し全体へのガードを成功させていた。
個々人の力量もさることながら、重装歩兵部隊で重要なのは、何よりもこの連携である。同時に槍を繰り出し、面で敵陣を削りとり、また、同時に盾を構え、自分と隣の仲間を守る。
スパーダ建国より重装歩兵の盾は、大きな円盾である。右手は槍を、左手は盾を持つスタイルも変わらない。
この盾は確かに大きいが、片手持ちで構える以上、槍を持つ右半身をカバーしきれない。代わりに、左側はやや余裕ができる。これで、左隣の仲間の空いた右側を守るのだ。もっとも、一番右端の者だけは、右半身を守ってくれる盾がないので、部隊で最も実力のある者が担当する。また、多少なりとも右半身の防御を固めるべく、右肩に大きなプレートのついた特殊なガントレット『ライトハンド・グロ-リー』が右端の者には装備が許される。翻って、このガントレットを装着した者は、ただそれだけで実力者である何よりの証にもなるのだ。名前の通り、右手で栄光を掴んでいる。
今のエリウッドの右腕にも、その黄金の栄誉が輝いているのだ。
「雑魚に構うな、進めぇーっ!」
開いた隙間を埋めるべく、続々と左右から殺到する歩兵の波を、緋色の重装歩兵は手にした刃で文字通りの血路を切り開く。
迎え撃つ白い槍衾を、赤い槍が正面から撃ち砕いていく。両軍が槍兵を押し出しぶつかるのは、槍合わせ、などと呼ばれる戦いだが、兵と装備、どちらにおいても高い質を誇るスパーダ軍に軍配が上がる。
数で劣っていても、その実力と気迫でもって、スパーダ騎士は敵を押し退け怒涛の前進を続ける。
「どけぇ雑兵共! ヤツらは我ら『ヘルベチア第四重騎士団』が止める!」
飛び交う怒号と悲鳴の渦中にあっても、一際大きな名乗りが上がった。
槍衾を形成していた歩兵達が、慌てて左右に散ったその向こう、白銀煌めく全身鎧の軍団が新たに立ちはだかった。
「見ろ、大将の護衛だ! アレを超えれば首級は目前ぞ!」
リィンフェルトを囲むように展開していた護衛の重騎士部隊は、どうやら早々に突撃を止めるべく前へ出てきたようだった。実際、護衛対象のすぐ目の前で戦うよりかは、この場で始末した方が安全確実である。
これほどの人数がいれば、彼らが傍を離れたとしても、まだ無数の歩兵をはじめ、魔術士部隊もカバーが可能だ。動くのにそれほど不都合はない。向こうは防御としては十分と思っている――だが、こちらは最早、生きて帰ることを前提としない、捨て身の特攻をかけている。ただ一撃、あのか弱い乙女に与えるには、十分に突破の可能性が見える防御陣形だ。
そこへ至るためにも、目の前の『ヘルベチア第四重騎士団』と名乗る集団を突破するのが絶対条件。突撃作戦は今、最大の難関を迎えようとしていた。
「怯むな、押せぇ! 火炎突撃っ!」
「一歩も退くな、押し返せっ! 氷結大断っ!」
両者、共に盾を構え、長柄で武装した良く似た姿。赤き重装歩兵と白き重騎士は、正面衝突の瞬間、互いに磨き上げた武技でもって切り結ぶ。
燃え盛る炎を噴く赤い槍。凍てつく冷気をまとう白い槍斧。炎と氷、相反するエネルギーが激しい衝撃波となって、両陣営に吹き荒れる。
「――ぐうっ! 何というパワーだ、馬鹿力な野蛮人共め!」
重騎士の団長らしき男が、後ろに一歩たたらを踏みながら、忌々しげに叫ぶ。
熱きスパーダの一撃は、整然と組まれた重騎士の隊伍を乱して見せた。壮麗な白銀の全身鎧に、醜い焦げ跡をつけながら大きく体勢を崩す者、転倒する者。あるいは、その炎の刺突を防ぎきれず、黒々とした穴を胸元に穿たれた者も、少なくなかった。
スパーダの最精鋭たる重装歩兵は、その実力が十字軍の重騎士を凌駕していることを、ここに証明してみせたのだった。
「穴を埋めろ! 屍を超えて、突き進めぇー!」
しかし、圧倒的に数が足りなかった。
熱き炎の一撃でもって打倒した敵の数は少なくない。だが、こちらもまた、白き冷気の刃にかかり倒れた者は、僅かながらもいる。絶対数の少なさ故に、一人の死者が致命的な戦力ダウンを引き起こす。
本来なら、後列に控えた新たな重装歩兵が即座に補充され陣形を回復するが、今は自分の身を守ることに必死な冒険者しか後ろにはいない。もっとも、彼らが今のところは背中を守り切ってくれているだけで、十分すぎる働きだが。
欲を言えば、この辺で後衛の援護射撃が欲しいところだが……残念ながら、矢の一本、火球の一発も飛んでこない。流石にクロノといえども、たった一人で完璧な援護をこなせるはずもなかった。むしろ、ここに至るまでそれほど強力な魔法が飛んでこなかったことを鑑みれば、彼は見事に脅威となる魔術士を始末してくれたのだろう。
働きとしては十分。あとはもう、城壁へと置いてきた後衛組みが自らの身を守るため精一杯にあがいてくれればそれでいい。
エリウッドはそんな風に割り切って、心の中で誰に対しても悪態一つつくことはない。今、その鋼のような筋肉に覆われた胸の奥に灯るのは、ただ、闘争心のみ。
「敵は小勢だぞ、一人も通すな! ここで全員、叩き潰せぇ!!」
重騎士は隊列を乱しながらも、全方位が味方という圧倒的な数の後押しを受け、怯むことなく再攻撃を仕掛ける。
対する重装歩兵は、倒れた者で空いた箇所を詰め、素早く堅固な突撃陣形を再構築。無論、その分だけ小さくなる。敵からかかる圧力が、さらに強く、さらに激しく、エリウッド達に襲い掛かった。
「うぉおおおおおっ!!」
たゆまぬ鍛錬の果てに獲得した、重装歩兵の連携。陣形の維持、攻撃・防御のタイミング。しかしそれも、隣で戦う味方がいてこそ。
一歩、二歩、三歩――少なくとも、十歩の距離を突き進んだ頃には、もう、エリウッドの隣には頼れる仲間の姿はなく、返り血に染まる白銀の重騎士に挟まれていた。
状況はすでに、泥沼の乱戦、いや、小勢が大勢に押しつぶされる殲滅戦の様相を呈してきた。
「――大断」
長大なハルバードを片手で軽々と振るう剛腕でもって繰り出される、武技。右と左、息の合った二連撃がエリウッドを襲う。
「ぐうっ――硬身っ!」
突き出した『ゴールデン・ト-ラス』に、凄まじい圧力がかかる。黄金の盾に、また一つ歴戦の傷痕を刻みつつ、エリウッドのエルフとは思えぬ剛腕でもって、二人分の攻撃を見事に弾き返す。
「ふん!」
大きく体勢が崩れた右方の重騎士を、ジャブのように素早く正確な一突きで、喉元を貫く。一枚のプレートと、その下に着込んだ鎖帷子が喉を守っていたが、強引に押し通す。武技も使わぬ、力技。
噴き上がる鮮血と共に、返す刃で左方の一人をすかさず狙う。
コイツは一歩踏み込んだだけで、すぐに体勢を立て直している。すぐに攻撃が来ることも鋭く察知しているようで、冷静に、鷹の紋章が描かれた大盾を構えていた。
「そんな構えで、俺の突きを防げるかぁっ!!」
気合い一閃。唸るエリウッドの右腕より放たれた一撃は、大きく重騎士の盾を弾いた。ここまで隙を作れば、あとはもう新人騎士でもトドメを喰らわせられる。
喉を突かれた二人目の死体が雪の融けた大地に転がり落ちると共に、エリウッドはまた一歩前進した。
「大断!」
「火炎大断っ!!」
二歩目を踏み出す前に、新たな敵が立ち塞がる。
どれだけ倒しても、道が切り開かれない。いや、すでに道は閉ざされたと言っていい。
自分達は間違いなく重騎士よりも強い。だが、重騎士は歩兵よりは遥かに倒しづらい。行く先を阻むには、十分すぎるほどに。
エリウッドは再び盾でガードしながら、ついに、思ってしまう。
「こ、ここまでか……」
視界の端で、また一人倒れる重装歩兵の姿を見ながら。
若い騎士だった。無謀にも、ウチの娘にアプローチをかけて、あっけなくフラれた青年。失恋にもめげず、今年の春には、ウチの娘ほど美人ではないが、可愛らしい恋人ができたと、嬉しそうに話していたのを覚えている。
生きて帰らせることができず、申し訳ない。自らの無力に、押しつぶされそうになる。
「――大断撃破ぉ!!」
僅かな心の揺らぎが、油断に繋がったのか。それとも、如何にエリウッドといえど、三人もの重騎士による連続攻撃を受ければ、捌き切る限界であったのか。
「ぐおおっ!?」
ついに、自分の盾が弾かれた。手放してはいない。だが、体の前面を守るような構えを解いてしまった。本来、その衝撃波で周囲の敵にもダメージを与える、達人級の武技を受けて。
一瞬、だが熟練者なら見逃すはずがない、確かな隙をエリウッドは晒してしまった。
しまった。そう後悔する時間もなかった。
「朱一閃」
何故なら、直後に入るべき致命の一撃が飛んでこなかったからだ。
自らに迫るはずだった攻撃の代わりに、目の前に閃いたのは、赤い剣閃。『ヴァーミリオン・ピルム』よりも赤々とした、血のような一閃が、眼前でハルバードを大上段に振り上げた重騎士の首を通り抜けていくのが、やけにスローに見えた。
気が付けば、残り二人の重騎士も首と胴が泣き別れ、ガチャリとガラクタを放り投げたような音を立てて、赤黒い血だまりに沈んでいた。
今、自分の前に立つのは、黒衣の男が一人だけ。
人ごみの中で見かけたなら、まず目に付くことはない低めの身長。黒コートの下にあるだろう肉体は、鍛え上げた筋肉を搭載した自分よりも、二回り以上は細いだろうことが窺える。
そんな枯れ木のような男の手には、一振りの剣――いや、その芸術的な反りと造りは、刀と呼ばれるものだ。
スパーダ王宮の献上品、あるいは、趣味の武器屋めぐりの中で、刀は何度も目にしたことはある。煌めく白銀の刀身に、美しく波打つ刃の模様。綺麗だが、それ以上に強い武器だという感想を抱いた。
だがしかし、今、目の前の男が握っている刀は、記憶にある凛々しく美しい姿とはかけ離れている。
夜闇のように深い黒色の刀身から、鮮血が蒸発したような不気味な赤いオーラが絶え間なく迸る。耳を澄ませば、ついさっき切り殺した重騎士達の断末魔が、再び聞こえてきそうな感覚に陥る。
そう、それは間違いなく、呪いの武器であった。
「さぁ、先に進まれよ、副隊長殿」
一度だけこちらを振り返り見た男の顔には、白い髑髏の面がつけられていた。素顔は見えない――だが、仮面の奥にある瞳が、炯炯と輝いているのは見えた。ただの人間ではなさそうだ。
「助かった、感謝するぞ、サムライ殿」
うむ、と小さくうなずいてから、黒衣の刀使いは、漆黒の旋風と化して敵へと斬りこんで行った。
目にもとまらぬ速さの高速移動と、振るわれる刀の鋭い、鋭すぎる真紅の斬撃。重騎士は鋼の棺桶に閉じ込められた躯と化して、次々と地に伏していく。
「これほどの手練れが、まだ冒険者の中にいたとは……」
改めて周囲を窺ってみれば、倒れた重装歩兵の代わりとばかりに、後ろに続いていた冒険者達が、思いの他、善戦していた。
「おらおらぁーどきやがれザコ共めぇ! このスパーダ最強の騎士になる男、ガルダン様の邪魔をするんじゃあねぇぞぉーっ!!」
速さで切り崩すサムライ男と対照的に、真正面から圧倒的なパワーで重騎士を粉砕していく大男が一人いる。
自分よりも頭一つ分は大きいだろうその身の丈は、2メートルを超えている。右手にするメイスは大きく太く、左手にする盾は広く分厚く。重装歩兵より、重騎士よりも、重い装備に身を包んだ彼は、真っ赤な一つ目が鋼のボディに栄える、鈍色のアイアンゴーレムだった。
「へっへっへぇ、ここで敵将を討ち取ってぇ、一気に将軍様になってやらぁーっ!!」
やたらハイテンションで自らの野望を絶叫するゴーレムだが、彼の大暴れのお蔭で、確かに道が開かれようとしていた。
「おぉおおおおっ! 今が好機だ、突っ込めぇーっ!!」
思わぬ冒険者達の奮戦により、かろうじて見えた突破口。
エリウッドは高々と槍を掲げて、残り僅か数名となった重装歩兵を引き連れて、最後の突撃を敢行した。