第427話 白竜の巣
吹雪になった。視界はただ白一色のホワイトアウト。猛吹雪である。
パンドラでは激しい吹雪のことを『白竜の巣』と呼ぶらしい。無論、冬場の大荒れ天気が全てランク5モンスターの白竜が飛び回っているせいではない。大多数は自然の天候によるものだが、中には、本当に白竜が群れを成して飛んでいるせいで、吹雪になることもあるという。
ともかく、山の天気は変わりやすい、という言葉をこれ以上ないほど体感することとなった。昼間に抜けるような青空が広がっていたのが嘘のようだ。アスベル山脈に登った時は、たまたま穏やかだったということだろうか。
そうしてガラハド要塞は今、風雪の結界に閉じ込められた――いや、守られた、と言った方が適切だろう。突如として吹き荒れたこの吹雪によって、十字軍の攻撃は完全に止まったのだから。
「……しばらくは、止みそうにないな」
休戦状態となってから、早くも二時間が過ぎようとしている。俺は未だ、城壁にいる。流石に吹きさらしの通路ではなく、内部だが。
この巨大な城壁は、上に登るための階段が外と内の二種類ある。外側から見るとダムのように平坦な壁面だが、内側から見ると大きな柱が支えるように、円筒型の塔が一体化しているのだ。
この塔の内部は単純に大きな螺旋階段となっており、真っ直ぐ城壁上の通路まで続いている。『復活の地下墳墓』を彷彿とさせる、ちょっと薄暗い石造りだ。
つまり、俺はこの螺旋階段でどっかり座り込んで長い休憩中というワケである。城壁上にはすぐ出られるよう、天辺にほど近い場所に陣取っている。見える範囲で、他に人はいない。冒険者達にヤル気がないというワケでなく、ここが中途半端すぎる位置にあるというだけ。
実際、階段の一番上は、実直なスパーダ騎士が詰めており、この猛吹雪にあっても警戒を怠っていない。恐らく、外にもしっかり人員が配置されているだろう。この寒い中、ご苦労さまであります。
とはいえ、この螺旋階段の塔内部も温かいとはお世辞にも言えない。暖房設備などあるはずもなく、実質、屋外と気温は大差ないだろう。寒さに強い体のお蔭で、こうして無理が利く。『悪魔の抱擁』だけでも、結構な耐寒効果もあるし、ここで座り込んでいるのは、それほど辛くないのは幸いである。
「やっぱり、俺も休んだ方が良かったか」
真っ白い息と共に、そんな弱音染みた言葉を吐く。
この寒い階段にいるのは俺一人。リリィとフィオナは休ませている。まだまだ余力を残す二人であるが、それでも俺と違って化け物じみたスタミナを持っているわけではない。休める時に休ませておかねば。今頃きっと、ガラハド飯店でちょっと遅めのランチタイムと洒落込んでいるだろう。
随分と長く戦っていたような気がするが、終わってみれば午前中いっぱいというところだった。この急激な天候の悪化がなければ、今頃はタウルスがブチ抜いた穴を守るために、必死こいてキメラ兵とやり合っていたところだろう。あるいは、ここからが本番とばかりに、十字軍の本隊が一斉にかかってきたかもしれない。
そう、ヤツらは未だ、正規の十字軍兵士を一人も失っていない。戦奴の価値は言わずもがな、あのキメラ兵だって、まだ実験中とかそんなところだろう。最初に出てきた鈍重な方のタウルスと、レオンハルト王の両断したフルチューンが、マトモな戦果といったところか。
何にせよ、このまま吹雪に晒されて十字軍全滅、なんて都合の良い展開はないだろうから、戦いはこれからが本番というのは間違いない。まだまだ先は長そうだ。
「……誰だ」
自分でもちょっと驚くほど鋭い声が、冷たい螺旋回廊に木霊した。
「そんなに警戒しないで欲しいな」
一拍ほどの沈黙を置いて、悪気を感じさせない軽い答えが返ってくる。
「黙ってジロジロ見られるのは、気持ちの良いことではないだろ、ファルキウス」
「ははは、ごめんごめん、つい、ね?」
夢見る乙女が思い描くイメージ通りみたいに優雅な微笑みを浮かべて、スパーダNO1剣闘士は階段を上ってきた。コツコツと高らかに響く足音に合わせて、豊かなプラチナブロンドが波打ち、羽織った白いマントがフワリと揺れる。
コイツがいるだけで、この薄暗い螺旋階段が急に華やいで見えるのだから、凄まじい美形効果だ。別にありがたくはないが。俺の心にあるのは、ただただ、「何がつい、だよ」というツッコミのみ。
「次からは普通に話しかけてくれ」
「嬉しいな、もう次に会う約束をしてくれるのかい」
お前はどういう言葉の受け取り方をしているんだ。女性相手に同じこと言ったら、どんだけ自分に都合の良い解釈するんだとドン引きだろう。いや、これくらい美形だと、もう何を言っても許される、むしろ喜ばれるのか。俺なら一発で通報モノだというのに。
「それで、俺に何か用か? ただ楽しくお喋りしにきた、ってワケじゃあないんだろ?」
「僕はそれでも良かったんだけれどね。陛下のお声がかかったとあれば、そういうワケにもいかない」
「レオンハルト王が、何だって?」
「でも、少しくらいはいいよね――」
何だよ王様の呼び出しって、超気になるじゃないか。という俺の気持ちなどまるで汲んでくれないファルキウスは、さっさと隣に座りこんで雑談体勢に移行。相変わらず、近い。何で肩が触れ合いそうなほどに距離を縮めて座るんだよ。もっとスペースあるだろ。
「だって、ずっと君を探して求めていたんだから」
波打つ金髪を、女性向けシャンプーのCMよりも自然な動作でかき上げるファルキウス。仄かに甘い花の香りが、フワっと鼻をくすぐる。男の匂いじゃない、というか、男が発していい匂いじゃない。
「やっと、出会えた」
運命の人に、何て続けそうなほど、バッチリ決まった流し目を向けるのは止めて欲しい。この至近距離で。
すでに俺は、コイツから握りこぶし二つ分くらいの距離を可及的速やかに離れ終えている。もうちょい離れた方がいいだろうか。
「まぁ、ガラハド要塞は広いからな。リリィかフィオナを見かけたなら、聞けば一発で分かる」
「あの二人はすぐに見つかったよ。ガラハド飯店で食事中のようでね」
「なら、聞けば良かっただろ」
「魔女のお嬢さんが、あまりに真剣な表情で山盛りの要塞定食を食べていてね、とても声をかけられる雰囲気じゃあなかったんだよ」
あ、お察し、というヤツである。まぁ、それなら仕方ない。そういう時のフィオナは、そっとしておいてやろう。
「そんなことよりも、見ていたよ、君の大活躍」
「やめてくれ。俺は大したことしてない」
ファルキウスが見つめてこなくても、俺はこう言われれば視線を逸らしただろう。
「失礼、君がまだ本気じゃなかったということは、ちゃんと理解しているよ」
「そういうことでもないんだが……どれだけ本気になったって、フルチューン・タウルスの突進は止められなかったことに変わりはないさ」
だからやっぱり、俺の力なんてまだまだ大したことはない。一人の力など、たかが知れている。
「陛下は別格だからね。一対一じゃ絶対に敵わないよ。僕が二人、いや、三人いないと確実に倒せるとはいえないかな」
自分の実力に絶対の自信を持っている風なファルキウスが素直にこう言うとは、やはりレオンハルト王は特別か。恐らく、あの巨大な赤い一閃も、数ある技の一つに過ぎないのだろう。
「パーティであのエンシェントゴーレムを倒せるだけで、凄い実力さ。ところで、タウルスというのが、アレの名前なのかい? 詳しいんだね」
そういえば、この名称を知っているのは、まだ俺達だけだったか。
「リリィが操縦席に乗り込んで、テレパシーで何か色々と情報収集してくれたお蔭だ」
「ふむ、アレは人が乗っていたのか。古代の遺物にはテレパシーコントロールの魔法具も多いと聞いたことがあるけれど……なるほど、操縦者を仕留めることで、タウルスを無傷のまま倒したんだね」
「次はプロテクトが強化されて、無理そうだと言っていたが」
「プロテクト?」
「テレパシーのハッキング対策、というらしが、詳しいことは俺にもよく分からん」
全くの専門外だからな。ただ、イメージ的にはパソコンのセキュリュティーみたいな感じである。ハリウッド映画に登場するような、国家機密にあっさりハッキングしちゃう凄腕のハッカーみたいな。幼女リリィが「チェックメイト」とキメ顔で言いながらエンターキーをターン! っと打つ姿が思い浮かぶ。
「古代兵器は未知の物ばかりだからね、何かしらの情報が得られるというのは、それだけで大きな収穫だよ。ただ倒すだけだった僕とは、大違いさ」
「ファルキウスも倒したのか?」
「やっぱり、僕の活躍は見ててくれなかったようだね」
ちょっと哀愁漂う苦笑を浮かべるのは止めてくれ。慰めの言葉はかけないぞ。
「……もしかして、両足が斬られて倒れてたのが、そうなのか?」
「そうそう、それだよそれ!」
パっと笑顔の花が咲くファルキウス。バックに咲き乱れる大輪の薔薇とキラキラエフェクトが見えるのは、俺の気のせいに違いない。
「僕が右足を、アイクが左足を斬って倒したんだ。トドメは『ヨミ』に持っていかれてしまったけどね」
俺のいた場所とは反対側にあたる南左翼でも、冒険者達の熾烈な手柄争いがあったようだ。というか、アイクってアイゼンハルト第一王子のことで、あの人って『グラディエイター』の隊長だろう。どうして最前線で一緒に戦ってるんだ……それがスパーダ王家の教育方針なのか。
「足だけでも、結構なデカさだろう。両断できたなら、やっぱり、言うだけのことはあるな」
「僕もそう思ったんだけれど、その直後に陛下の奥義を見せつけられれば、自慢する気にはなれないよ」
お互い、あの王様とは比べない方が良さそうだ。
「それより、呼び出しかかってるんだろ? 早く行った方がいいんじゃないのか」
「もっと君と話をしていたいところだけれど……そう急かされてしまっては、仕方ないね」
軽やかに立ち上がったファルキウスに、俺も続く。寒い中でじっと座り込んでいたせいか、少しばかり体が固くなっている気がした。
「そもそも、どういう要件なんだ?」
「レオンハルト王は『グラディエイター』の大隊長と『独立行動権限』持ちを全員、司令室へ召集するよう命じられた」
別にファルキウスが伝令兵の真似事をする必要はなかったが。スパーダ騎士が俺に伝えに来る前に、先にコイツが善意で声をかけてくれただけということ。
まぁ、わざわざ探しにきたのは、単純な善意というよりも……軽く探りを入れてきた、と考えるべきか。もっとも、俺には特に隠すようなことはないけどな。
「詳しいことは僕もまだ知らないけれど、想像はつくよね」
「タウルス対策か」
次にフルチューン・タウルスが現れれば、というか、リリィの話によれば、まだ十機以上も残っているから、確実に襲ってくる。この壁を突き崩すには一機でも十分すぎる。
穴はすでに、二つも空いてしまっているのだから。
「それじゃあ、行こうか」
「……その手は何だ」
俺の姿が可憐な美少女かやんごとなき家柄のお嬢様にでも見えているのだろうか。優しい微笑みを浮かべて、ファルキウスが白いグローブに包まれた右手を差し出す。
「エスコートは必要だろう?」
「案内はいるが、手はいらん」
ジト目、というには俺の目つきは可愛らしいものではないだろうが、そんな感じで一睨み。一般人なら裸足で逃げ出す眼力も、ファルキウスには柳に風といった感じだが。
「ふふ、分かってるよ。冗談さ、ちゃんと案内はするから。さぁ、付いてきて」
やはりどこか胡散臭い、と思いながらも、俺は大人しく麗しい剣闘士の背中に着いていくより他はなかった。
「うわ、何か大変なことになってるっぽい」
シモンがガラハド要塞に到着して発した第一声は、そんなつぶやきであった。慌ただしく行き交うスパーダ兵達に、何事かを言い合っている冒険者。そびえ立つ大城壁とイスキア古城を倍にしたくらい大きな要塞を背景に、店と厩舎と天幕の立ち並ぶ広場は、吹き荒れる吹雪よりも騒がしい様子であった。
「ふむ、どうやら壁に穴を空けられたようだ。レオンハルト王が侮ったか、それとも、十字軍の力が想定以上だったか」
風雪のように冷たく鋭い声が、シモンの真後ろから発せられる。魔法のヴェールで素顔を覆った謎の女冒険者ソフィである。
彼女の凍れるブルーの瞳は、大きく視界を遮る吹雪の最中にあっても、ガラハドの大城壁に二つの大穴が空いているのを捉えていた。同時に、スパーダ騎士はその修復に向けて動いているというのも、すぐに察せられる。もう少し注意深く周りを見渡せば、その穴へ続々と石材が運びこまれているのに気づくだろう。
大柄な馬が二頭、あるいは四頭で引く大型の貨物馬車で、ようやく運べる巨大な石。その大きさもさることながら、ただの石ではなく、ガラハドの大城壁に相応しい硬度を備えた良質な石材。補修用として備蓄されていたものだが、まさか本当にこれを使う時が来るとは、誰も思わなかったことだろう。
「壁に穴って……一体何が」
「大丈夫、何があっても私が君を守る」
シモンの細見身を、背後からそっと抱きしめる褐色の両腕。同時に、背中に当たる大きな、否、大きすぎる二つの柔らかな感触に、思わず硬直する。
今のシモンは真冬のガラハド登山へ挑むに相応しい、分厚い毛皮のコートを装備しているが、それでも尚、感じるのだ。
思わず、薄絹のローブの下にある、例の過激な踊り子衣装をまとったソフィの体が脳裏によぎる。嫌う相手に対しても反応してしまう、悲しきかな、男の性。
「あ、あの、手綱から手を離さないでください」
ちょっと上ずった声で出てきたのは、そんな台詞だけ。
シモンとソフィは今、馬上にある。仲良く二人が跨るのは、ただの馬ではなく、美しい純白の毛並みを持つ一角獣。
しかし、普通の馬を倍するほどの巨大さに、猛牛のように逞しい筋肉質な体格をしたソフィの愛馬は、本当にユニコーンなのか疑わしい。ユニコーン種最大の特徴にして、芸術品と称される一本角は、水晶の如く薄らと青みがかって綺麗なものだが、これはあまりに太く、長く、凶悪なほどに捻じれて、どこか禍々しさすら感じられる。
「ふふ、それも大丈夫さ。この子は良い子だから、ね」
そんな見た目はユニコーンみたいな怪物馬であるが、主の意図をよく汲む、良馬であった。驚くほどに静かな歩みと、馬体を揺らさず進む彼は、シモンの「手綱を離すと危ないだろ」という旨の意見を真っ向から否定する。
そもそも、男を背中に乗せることを許している時点で、凄まじい調教度の高さである。あるいは、シモンがオスとして認識されていないだけもしれないが。
「もういいです、降りますから!」
「あっ、おい――」
半ば逃げるようにソフィの抱擁を脱して、馬の背から転がり落ちるシモン。思ったよりもずっと高かったようで、小さな悲鳴を上げた――途端に、吹雪であっという間に降り積もった雪上へと胴体着陸を決めた。
「そんなに焦らなくてもいいじゃあないか。ガラハドの山は『白竜の巣』の真っただ中、こちらも敵も、三日は身動きがとれない」
ソフィは滔々と喋りながら、足で馬の腹を軽く叩く。心得た、とばかりに、ユニコーンはすぐさま、雪にのめり込んだシモンへ鼻先を伸ばした。
「つまり、あと三日は君とゆっくり宿でオヤスミというワケさ」
シモンが泳ぐように雪をかき分けて脱するよりも、ユニコーンがその襟首を噛んで引っ張り上げる方が早かった。またしても、シモンの口から小さな悲鳴が漏れる。
「この混雑ぶりなら、部屋をとれても一室だけだろうね。ベッドしかないような、狭い部屋さ。窮屈だけど、我慢しようじゃないか」
「のんびりしてる暇なんてないですよ! 早くお兄さんと合流しなきゃ! というか、もう僕だけ先に行くから離してください、ここまで送ってくれてありがとうございましたーっ!」
「なぁに、遠慮は無用だよ。なぜなら、私と君はすでにパーティなのだからね。さぁ、今夜は一つ屋根の下でじっくりメンバー同士の仲を深めようじゃあないか」
くっくっく、とヴェールの下でやらしい笑みを浮かべるソフィ。褐色の猛獣が今まさに、子ウサギのように可愛らしい獲物を巣へとお持ち帰らんとしたその時である。
「――ソフィ、悪いけれけど、しばらくシモンを借りるわよ」
風雪に白く閉ざされた視界の向こうから、淡いグリーンの光に包まれて、羽の生えた小さな人影が現れた。
「リリィさんっ!?」
「思ったよりも、早く着いたようね。ようこそガラハド要塞へ、歓迎するわ」
にこやかな微笑みを、幼女の美貌に浮かべるリリィ。
シモンがちょっと涙目になっているのは、思わぬ救援の登場に感動しているからか、それとも、恐ろしい妖精さんにご指名をくらったせいか。
「私にとっては、吹雪など歩みを妨げる要因たりえないからね。それより、私のシモンを借りようとはどういう了見だい?」
「何サラっと私のとか言ってるんですかソフィさん、やめてください、気持ち悪い」
「貴女の邪魔をするつもりはないのだけれど、どうにも戦況は芳しくなくて。今度いくらでもシモンを貸すから、今回は許してちょうだい」
「ちょっと、リリィさんは何で当たり前みたいに僕を取引材料にしてるんですか」
「……ガラハドの大城壁に穴が開くくらいだからね、事態は思ったよりも深刻か。仕方ない、三日で手を打とう」
「ありがとう。素敵な一晩を過ごせる宿も予約しておくわ」
「お兄さん助けてー! リリィさんが僕を売ろうとしてるー!!」
「クロノはしばらく来ないわよ、大事な作戦会議の最中だから。こっちはこっちで、準備は進めておかないと」
シモンの自由意思はさておき、話はさっさとまとまった。
「あの、ちょっとリリィさん、全然状況が飲み込めないんだけど……」
「安心して、危ないことをさせるつもりはないから。ちょっと城壁の外には出ることになるけど」
「はい?」
なんだろう、その清純派娼婦みたいな矛盾溢れる言葉は。流石のシモンも問い返す。
しかしながら、リリィに頼みごとをされれば、シモンの回答は常に「はい」と「イエス」の二択しか用意されていない。
そうして、いつもの邪悪な企みを秘めた笑顔のリリィは自信満々に言い放った。
「でも大丈夫。貴方ならきっと、夢中になるわよ――あの、大きなオモチャにね」