第268話 悩める姉とお姫様
午後の授業に出席するというクロノとウィルハルトの二人と別れ、そのまま演習場に残り試作型ライフルの試し撃ちを満足ゆくまで終えたシモンは、ようやく研究室兼寮へ戻るべく歩き始めた。
時刻はとっくに昼休みを終え、午後の授業も半ばというところ。
シモンも魔法工学コースの生徒であるため普通に授業はあるのだが、学期末に行われる筆記試験をクリアすれば単位をもらえる授業のみを選んでいるので、基本的にサボりである。
自分には一刻も早く銃をはじめとした兵器の開発をしなければならないと使命感に燃えるシモンには、とっくの昔に頭に入っている知識の復習にしかならない授業に出席して時間を無為に過ごすことはしない。
もっとも、アルザス村で冒険者をする前の頃も、錬金術の研究が楽しくて授業をサボりまくってはいたのだが。
そうして、今日も自身が夢中になっている研究開発へ精を出そうと、張り切って帰ってきたのだが、そこで彼を待っていたのは、
「ようやく戻ってきたか、シモン」
「げっ、リア姉!?」
スパーダで会いたくない人物NO1の座に輝く義理姉、エメリア・フリードリヒ・バルディエルであった。
何ゆえ彼女が寮のラウンジでお茶をしばきながら自宅のリビングが如く寛いでいるのか、考えるまでも無く答えは出る。
抜き打ち検査、もとい自分の様子を見にきたのだ。
「おかえりなさい、シモンさん」
そして、何故か彼女と一緒に席についているフィオナの姿にシモンはやや困惑した。
まさかこのちょっと天然入った魔女がスパーダの将軍にして大貴族であるエメリアの接待でもしていたというのだろうか。
キツそうな見た目とは裏腹に、エメリアは自分に対して以外はそれなりに寛容な性格なので、よほどの無礼でも働かない限り問題は無いとは思えるのだが、相手が‘あの’フィオナである。
しかしながら、特に剣呑な雰囲気がラウンジに流れているワケでも無いので、どうやら大丈夫であったとすぐに安堵した。
もしこの二人が‘喧嘩’を始めれば、このボロっちい木造二階建てなど、跡形も無く消し飛んでしまうだろう事は容易に想像がつく。
シモンは姉の実力は勿論、十字軍兵士の頭上に太陽を落としたフィオナの実力もまた知っているのだから。
「では、私はこれで失礼します。姉弟水入らずの時間をお過ごし下さい」
と、おもむろに席を立つフィオナ。その腕にはお茶菓子がごっそりと抱えられている。
「え、ちょっ――」
普段は空気読めないくせに、こういう時は妙に気を利かせる彼女をちょっと恨めしく思うシモンであった。
「ありがとうフィオナ、また会おう」
「はい、エメリアさん、お待ちしてますよ」
なにやら自分の知らない間にやけにフレンドリーな関係になっている二人の様子に、そんなに気が合ったのかとやや驚愕の心持ちのシモンは、そのまま自室へ去っていくフィオナを見送ることしか出来なかった。
「あ、じゃあ、僕もこれで――」
「座れ、シモン」
「はい……」
その場のノリで脱することに失敗したシモンは、恐ろしき姉が命じるままにラウンジの席へついた。
このラウンジに座る時は常にクロノと一緒で楽しくお喋りした記憶しか無いが、今日ここに苦い思い出の一ページが刻まれるのかと思うと、また少し憂鬱になるのだった。
「その、えーと、今日は何しにきたのさ?」
着席した椅子はテーブルを挟んだ反対側では無くエメリアのすぐ隣、それを互いに向き合い膝が触れ合うような距離にある。
目の前に聳え立つ、いや、座っているエメリアの長身を前に、シモンは見た目にも心理的にも重圧を感じてならない。
「復学して一ヶ月以上が経っている、どんな様子かと思ってな」
やはり予想に違わず抜き打ち検査か、とさらに気分が沈む。
「特に変わりはないよ」
「という事は、変わらず授業はサボりというワケか」
「あっ、いや、それは……」
少なくとも今日に限っては、言い逃れなど出来ない。
まともに授業に出席していれば、今頃シモンはどこかの教室でペンをとっているべきであり、この寮へ戻ってくることなど無いのだから。
「た、単位はとれるから大丈夫だよ」
「……まぁいい、休学してまで冒険者の真似事に熱中しなければな」
流石に今度こそは冒険者として外国へ逃亡することは出来そうにない。
もっとも、銃の研究開発があるのでスパーダから長期間離れるつもりは無かったが。
「学費も卒業するに十分な金額を渡したのだからな、そのまま卒業してくれれば問題は無い」
もう半分くらい使ってしまった、とは口が裂けても言えないシモンである。
この先もしクロノから十分な投資が得られなければ、休学という手段も封じられたシモンは、さながら倒産寸前の商人が如く金策に走り回らなければならないだろう。
それこそ、理事長のペットになることを承知で自分の体を売りかねない。
とりあえず、そんな最悪の未来がやってくるのは今すぐというワケでは無いので、その事については追々考えれば良いと現実逃避する。
「だが、筆記試験の成績のみで得られる単位にも限界はあるぞ」
流石は元神学生だけあるエメリア。この学校における単位習得のシステムをコースこそ違うがおおよそ把握している。
シモンの天才的頭脳によって、この学校で課される筆記試験の全てで高得点を獲得することが出来るのだが、それ以外に実技の面でもある程度の単位を修得しなければ卒業要件を満たすことは出来ない。
ただ、幹部コースと騎士コースは特定のモンスターを討伐するなど実戦的なものが多いが、魔法工学コースは戦闘に関しては全く重要視されていないので、非力なシモンでもクリアできる実技科目は十分にある。
「来週の野外演習に出ようと思ってるんだけど」
そのうちの一つが、これである。
戦闘技術に重きを置く幹部コースと騎士コースの生徒は、勇名を轟かせる『ウイングロード』のように冒険者の活動を授業の一環として取り入れている。
だが、彼らはあくまでスパーダ軍を構成する騎士を目指すのであって、冒険者になるわけではない。
冒険者の活動は実戦を学ぶのに最適ではあるが、騎士団に求められる集団行動の練習にはならない。
この野外演習と呼ばれる授業は、生徒のみで百人規模の部隊を編成し、実際に集団戦闘を経験するというものである。
教師側からは討伐対象や場所などの簡単な指令が下るのみで、そこから先の作戦行動は全て生徒が遂行しなければならない。
勿論、監督役の教師が何名か随行することになるのだが、基本的には一切の助言などなく、生徒の作戦行動を採点する役割のみである。
王立スパーダ神学校において、この野外演習は各コース合同の一大イベントであり、参加すればそれなりの単位を与えられると同時に、ここで活躍できれば将来有望と注目を集めることも出来る。
「なるほど、野外実習に参加とは良い選択だ、頑張ってこい」
「うん、頑張るよ」
とは言うものの、シモンにとってこの野外演習は試作型ライフルを実戦で使用する機会くらいにしか思っていなかった。
勿論、単位がもらえるのはありがたい話であるが、だからといって殊更に活躍できるはずもない。
ただ、もし冒険者コースに在籍している『エレメントマスター』を傭兵扱いとして雇ったならば、
(あの三人がいたら演習になんないよね……)
もっとも、特別に強力なモンスターを相手にするわけではないので、純粋な実力向上を目的とするクロノたちにとって野外演習に参加するメリットは無い。
(そういえば、リア姉が学生だった頃も全然演習にならなかったって聞いたな、強すぎて)
当時からすでに『嵐の戦乙女』の二つ名を轟かせていた姉の雄姿を思い出す。
彼女のように、たまに現れる飛びぬけた戦闘能力を持つ者がいた場合、酷くあっけない結末となる。
今年は『ウイングロード』がいるので、やはり野外演習はイージーモードになるだろうと予想できた。
(はぁ、あの頃はまだ素直に尊敬できていたんだけどな、今は……)
シモンとて、心の底から姉を恨んでいるわけではない。
元をただせば、彼女の期待に応えるだけの力と才能を全く持ち得なかった自分にある。
今更それを悔いて涙を流すことは無くなったが、それでも、未だ胸の奥底に刻まれたコンプレックスとなって、ふとした拍子に心を苛むのだ。
「どうした、何を浮かない顔をしている」
「いや、何でもないよ!」
適当な言い訳も思いつかないが、とりあえず勢いで誤魔化すことにする。
暗い顔をしていれば、それを上げてどういうケチに繋がるか分かったものでは無い。
姉に恨みはないが、お小言を聞くのは勘弁願いたいのだ。
「野外演習でも、その銃とやらを使うのだろう。ソレの力に不安でもあるのか?」
「あっ」
しまった、と思ってももう遅い。
寮に戻ってそのままお座りを命じられたので、ついさっきまで試し撃ちしていたライフルを背負いっぱなしである。
シモンの技術の結晶とも言える銃は、錬金術そのものを蔑視するエメリアから見れば快い武器ではない。
騎士になるはずだったシモンが、剣も槍も捨ててこの銃を手にしたという結果を見れば、彼女の心情は察するにあまりある。
これは完全に三時間お説教ルート確定かな、と悲壮な覚悟を決める。
「どうした、銃の威力に不安はあるのか?」
「それは――」
エメリアが槍を振るえば一撃で貫通せしめるサラマンダーの鱗であっても、銃は未だに僅かな傷つける程度の威力しか持ちえていない。
あるいは、シモンがトリガーを引いて兵士を一人倒す間に、エメリアの槍は兵士十人を吹き飛ばすだろう。
この世界において、銃の威力は最精鋭の騎士一人が繰り出す攻撃に遠く及ばない。
だが、それでもシモンは自分が造り出した銃に対して誇りを持っている。騎士が己の剣にかけるのと同じものを。
銃は、魔力も体力も無い弱い自分に、確かな力を与えてくれる究極の武器である。
どんなに切れ味が鋭い剣も、膨大な魔力を宿した杖も、シモンが振るえば鈍らであり、ただの棒きれに成り下がる。
銃が、銃だけが自分を強くしてくれる。撃てばゴブリンだって倒せるし、何より、あの恐ろしい十字軍の兵士をことごとく葬った。
すでにシモンが抱く銃への信頼は、一種の信仰とも呼べるほどに昇華されている。
故に、この‘銃に頼らなくても強い者’から、どれだけ蔑まれ、貶められ、否定されようとも、シモンは絶対に「銃は弱い、劣った武器です」とは決して言わない、言えるはずが無い。
「不安なんてないよ、僕は自分が造った銃を信じてるから」
だから、この主張だけは通す。
(でも、出来ればお説教の追加は一時間くらいに抑えてくれないかな……)
と、どこまで後ろ向きなことを祈りながら、恐る恐る姉の返答を待つ。
「……もし、野外演習で活躍できたなら、少しはソレを認めてやってもいい」
「え?」
全く予想外の肯定的な台詞に、シモンの思考は一瞬フリーズする。
「もっとも、魔法工学コースのお前が前線に立つ機会はないだろうがな」
「え、あ……うん、そうだね」
どこか言い訳じみた台詞を追加するエメリアの様子に、シモンの困惑は益々深まる。
どんな時も真っ直ぐ冷たい瞳を向けて堂々と言い放つエメリアだが、今の彼女は僅かに視線を逸らしている。
普段と少しばかり様子が違うことは分かるが、彼女の本心まではテレパシー能力の無いシモンには理解できるはずもなかった。
(どうしたんだろう、今日はやけに理解のあること言うし……何を企んでるのさリア姉)
疑惑の眼差しを向けられ、どこか居心地の悪そうな雰囲気となるエメリアに、シモンの疑いは深まるばかりである。
「今日はもう帰る。シモン、野外演習をしっかりこなしてこい」
「あ、うん……分かったよ」
ついに席を立ったエメリアを、シモンは特に止める言葉も無く、去ってゆく彼女の背中を見つめることしか出来なかった。
「な、なんだったんだろう……」
「はぁ……このままじゃ良くないですよね」
アヴァロンの第一王女にして天使の姿と美貌を持つネル・ユリウス・エルロードは、窓際にある教室の自席にて、物憂げな表情で小さな溜息を吐いた。
普段は温かい日差しのように柔らかな微笑みを浮かべる彼女を、こんな悩ましげな顔にさせている原因は一人の男にあった。
「クロノさん……」
それは、ついさっき昼休みに顔を合わせたばかりの、冒険者コースに在籍するクロノという男である。
彼との出会いは、ダキア村で馬が立ち往生して困っているところを助ける、という何気ないものであった。
あの時は自身が宿す精神感応能力のお陰で、珍しく迅速かつ完璧に人助けが成功したことは喜ばしい記憶としてネルの脳裏にはっきり刻みついている。
本来ならば素敵な思い出の一ページで終わる出来事であったが、そこから彼との不思議な因縁がつき始めていた。
もっとも、それに気がついたのはごく最近のことであるのだが。
(クロノさんは、あの恐ろしいラースプンを瀕死に追い込んだ人。あの負傷が無かったら、私たちでも危なかったかもしれない)
まず一つ目は、彼女が所属する冒険者パーティ『ウイングロード』がランク5に上がる成果となった、ラースプン討伐である。
手負いのラースプンを前にした時は、ただ幸運だった程度の認識しか無かったが、その状態を作り出した人物を直接的に知ったのならば、また印象は変わってくる。
クロノが戦った現場に遭遇したらしいウィルハルトの言葉で、とある冒険者がラースプンと戦闘した、という事情は知っていた。
そして、ウィルハルトが自慢げに言う「クロノ」という冒険者と、偶然に食堂で再会を果たした人物が同一人物であると気がついたのは、しばらく後になってからの事である。
(ああ、でも私がクロノさんに凄い迷惑を……)
現状、最も悩ましい原因がコレである。
あの食堂での騒ぎで、純粋な善意から自分を助けてくれた人物に耐え難い悪評が立つこととなってしまった。
心優しいネルからすれば、あの善良な青年が云われ無き誹謗中傷を周囲で囁かれることを思えば、その大きな胸が張り裂けんばかりの深い悲しみがわき上がって来る。
まして、その事を謝罪すれば、
「あーいや、気にして無いといえば嘘になるけど、ネルさんが謝ることじゃないですよ」
と、事も無げに言ってのけたのだ。
自分がかけた迷惑の所為で大きな心理的苦痛を受けたというのに、彼はそもそも恨んですらいなかった。
それは自分だけでなく、早とちりで乱入してきたシャルロットと、かなり本気だった兄まで含めて。
(それなのに私、何もクロノさんにお返しできてません……)
この件について少なからぬ罪悪感を覚えているネルにとって、クロノの全てを許すという寛大に過ぎる態度に甘えることはできなかった。
(それに、盗賊から生徒を救ってくれたクロノさんには、もっとちゃんとしたお礼をしないと)
そして二つ目の因縁が、自分が救おうとした女子生徒を彼が救ったことである。
ファーレンの盗賊の一件は、謎の情報網を持つ兄によって事前にスパーダの奴隷商人が黒幕である事を探り当て、初手で‘頭’を潰すことに成功した。
今回のような場合、黒幕を真っ先に潰したのは最も適切な判断であると言える。
もし逃がしてしまえば、下手に金と権力を持っているだけあって、再起を図ることも不可能ではないのだ。
しかし、当初ネルが掲げた女子生徒の救出という一点においては、完全にアテが外れてしまった。
盗賊がファーレンで捕えた多くの女性は、自分たちが商人の館へ踏み込んだ時にはすでにここへ送られていた。
結果的に、ファーレン貴族の子女含む見目麗しい女性たちを一気に救出することに成功した。だが、肝心の女子生徒はその中に含まれていなかったのだ。
「ふはははっ! バカめっ、ここに送られていないということは、その女は薄汚い盗賊どもの慰み者よ!!」
捕えた奴隷商人が、女子生徒の行方を問いただした際に放ったその一言はネルに失敗を悟らせるに十分であった。
ボスの奴隷商人が捕えられた事はすぐに広まる。そして、耳ざとく逃げ足の速い盗賊は、それを察知して一目散に逃走を図る。
今から自分たちが女子生徒を捕えた盗賊を見つけるのと、彼らが逃げ出すのはどちらが早いか、答えは明白。
そもそも、盗賊は女子生徒を用済みとばかりにさっさと処分してしまう可能性の方が高い。
「ネル、お前が気に病むことじゃない、今回は運が無かった、それだけのことだ」
慰めの言葉をかけてくれる兄、だが、ネルは素直にそれを「仕方なかった」と諦めることが出来るほど達観できていなかった。
兄の言葉は間違っていない、きっと多くの冒険者はそうドライに割り切ることができるのだろう。
事実、ネロはこの件については台詞通りに全く気に病んでいない。
むしろ、颯爽と救出に現れた白馬の王子様を前に、目をハートマークにするファーレンのお嬢様がたをどうあしらうか、という方がネロにとってはよほど悩ましい事であろう。
仲間でもない者の生死にまで一々こだわるようなナイーブな者など、そもそも戦いの場に立つべきではない。
相手すら気遣った挙句、自分の方が殺されるなんていう本末転倒な話もある。
そういう意味でネルはまだまだ未熟であり、いっそ、戦いに全く向かない人物だと言えるだろう。
それでも、一国の姫君らしくアヴァロン王宮での温室育ちを良しとせず、こうして王立スパーダ神学校へ留学しているのだから、彼女にも相応の思いや覚悟といったものがあるに違いなかった。
さて、そんな見た目に反し意外と頑固なところがあるネルは、
(私、クロノさんに喜んでもらえるような恩返しを絶対にします!)
そう、新たな覚悟を決めた。
(でも、一体なにをすれば良いのでしょうか……)
そして、今度は具体的な方策について頭を悩ませることとなる。
しかし、今この時において、彼女は別のことに悩むべきだったりする。
「はい、時間です、答案用紙は後ろの席の人から前に――」
「あっ!?」
教師が告げるお決まりの文句は、そう、今の時間がテスト中であったことをネルに思い出させる。
悩むべきはクロノへの恩返しでは無く、テストの解答であった。
だが、それに気づいても後の祭り、すでに試験は終了してしまったのだから。
「ネル、テストどうだった――って、何よ、解答欄ほとんど真っ白じゃない!?」
前の席に座るシャルロットが、後ろの席のネルから答案を受け取る体勢のまま、そんな驚きの声をあげた。
「あ、あわわ……」
しかし、一番驚いているのは半分以上未解答の答案用紙を作り出した本人である。
昼休みに面と向かってクロノに礼を断られたのがよほどショックだったのか、ネルは彼の事について悩むばかりで、全くテストに集中できていなかったのだ。
「ちょっと、これじゃ追試確定じゃない」
「ど、どうしましょう……」
「そこ、どうしたんですか? 早く答案用紙を前へ送りなさい」
当たり前だが、テストが終了したこの時間でどうにかすることなど出来るはずもない。
ネルは涙目で、赤点確定の答案用紙を困惑顔のシャルロットに渡すより他は無かった。
2012年8月17日
ひょっとしたらお気づきの方も多いかもしれませんが、元々この話は二話分割でした。
やはり週二更新だと、話の展開が遅く感じてしまうようですね。話のペースそのものは、当初とあまり変わらないつもりなのですが、当時は平日毎日更新だったので、あまり気にならなかったのでしょう。
私の現在の執筆環境は、ある程度の時間は確保できているので、更新速度を上げる、一話辺りの量を増やす、あるいは、よりテンポよく話を進める、などの解決ができるよう色々と努力いたします。
完結はまだまだ先ですが、これからもお付き合いいただければ幸いです。