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◼️第9話(β2) ーヒグマ研究者ー 花咲く森の道

ーーヒグマは決してテディベアでも絵本の住人でもない。50km/hの速度、イヌの5倍の嗅覚、逃げるものを獲物と認識する性格…。最善策は「出会わない事」だ。


◼️詠人知らず

————————

森のヒグマ


一、森の道


花の満ちたる森の奥、

ひとり花摘む少女あり。

影のごとく立つヒグマに

出逢ひて胸の凍るを覚ゆ。


二、すたこらさっさ


逃ぐるべきやと問ふごとき

ヒグマの眼差し深くして、

後ずさる少女の瞳には

言の葉なき絶望の色。


三、とことっと


逃れ得たりと思ふ間に、

地を震はす影ひとつ。

気づけばまたも死の淵に

足を取らるる心地せり。


四、耳飾り


ヒグマの口に揺るるもの、

少女の落とせし耳飾り。

貝の香を追ひて辿り来たる

森の掟の静けさよ。


五、唄いませう


その日を境に少女の跡は

森の奥にてふと絶えぬ。

後の世に語らるるはただ、

花のほとりに耳飾りひとつ残れりと。


———————


◼️忘れ物

……博士は学生が置き忘れた名前のないノートを手に取りノートを開く。

と、そこに書かれた和歌に目が止まると理由もなく意味を見出そうとする。

博士は眉間を押さえた。


すたこらさっさ?熊から背を向けては……いないのか。とことっと?歌の通りだ。地面を震わす足音がそんなワケあるか。

ブラックジョークにもほどがある。

……タイトルはどれも意味不明だ。


そして内容は…(どう評価すりゃ良いんだ?)


深いため息をつく。


ノートを閉じ、博士は静かに頭を抱えた。

最近同様のことが何度かあった。学生たちに何が起きている??


そこに助手が教室の扉を開ける。

「ああ、ここにいらしたんですね。またわからないものに気を取られてるんでしょう。学生たちが教室の外で笑ってましたよ。教授は意味不明の落書きにまで気を取られすぎだろうって。先生は真面目すぎです。ハハハ。」


ーーただのイタズラ?

私はそんなヒマに見られているのか?

だがこれを理解する必要など確かにどこにもない……くそっ私は何をやってるんだ?


頭がクラクラする。

博士は天を仰ぎ、再び頭を抱えた。


了。







小噺ですが、意味不明のままの居心地悪い感じにしてみました。

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