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エピローグ

「父さん」


 パパがおじいちゃんを起こそうとしてる。


 おじいちゃんは病院のベッドに寝転んで、薄く目を開いてぼくたちを順番に見た。


「こうき」


「なあに、おじいちゃん」


 おじいちゃんが、ぼくの名前を呼んだ。


 そうするとパパは泣きそうな顔になってぼくを抱っこした。おじいちゃんの側にぼくを座らせて、手を握らせる。


 おじいちゃんの手はしわくちゃで骨っぽかった。黒い皮膚は硬くて、点滴の刺さったところは真っ白な包帯でぐるぐるに巻かれてて、ミイラみたいだ。


「みさき」


「ここにいますよ」


 おばあちゃんがぼくの反対側で、おじいちゃんの手を握っている。おばあちゃんは優しくにっこり笑って、おじいちゃんのことを見ている。しわくちゃのおじいちゃんの手を握ってるおばあちゃんの手もしわくちゃだった。


「ありがとう」


 おじいちゃんはそういって、笑った。酸素マスクをつけていてもわかった。おじいちゃんは笑っていた。


「父さん!」


「あなた……」


 すぐにパパとおばあちゃんがおじいちゃんに話しかける。でもおじいちゃんは何も言わない。パパがゆすって起こそうとしたけど、もうおじいちゃんは起きなかった。




―――――




「なんて書いてあるの?」


 白いお花に囲まれたおじいちゃんはやっぱり笑っていた。


 何か字が書いてあるけど、ぼくにはまだ読めない。だから、おばあちゃんになんて書いてあるのか聞いた。


「ゆうとおじいちゃん、よくがんばりましたって書いてあるのよ」


 おばあちゃんはそう言うとぽろりと涙をこぼした。それなのに、笑っていた。


「おばあちゃん、どこか痛いの? 大丈夫?」


「大丈夫よ。おじいちゃんはね、お星さまになるの。いつまでもこうきのことを見守っててくれるわ」


「お星さまになるの? 夜しか会えない?」


「いいえ、お星さまはね、昼間はお日さまの力で見えないけど、本当はお空にいつも輝いているのよ」


「そうなの?」


「そうよ。光輝の名前と一緒ね。いつも光り輝いているんだよ」


「ふうん、そっかあ」


 おじいちゃんはお星さまになる。ぼくの名前と同じ、光り輝くお星さまになる。


 もう一緒にお話はできない。もう一緒にゲームはできない。もう一緒にお散歩に行けない。


 だけど、きっと、お空にいるなら大丈夫だよね。きっとぼくが転んでも、いつもみたいに心配してくれる。ぼくが泣いたら、お空から慰めてくれる。ぼくが妹に優しくできたら、きっと褒めてくれる。


「おじいちゃんはお星さまになるんだね。じゃあぼくは、やっぱり宇宙飛行士になって、おじいちゃんに会いに行くよ。その時は、おばあちゃんも一緒に連れてってあげるね」


「うん、うん、そうだね、ありがとうね」


 おばあちゃんは笑っているのに泣いていた。涙をぽろぽろこぼして笑っていた。


 ぼくは、本当に宇宙飛行士になって、おばあちゃんをおじいちゃんに会わせてあげるんだ。ぼくはそう決めたんだ。

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