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不気味な青い星

遥か未来、人類が宇宙に暮らすようになって三千余年。

 戦乱によって死の星となった地球との交流は途絶え、その生活圏は月と周辺の宇宙都市、火星の一部に限定されていた。

 政治の都合で地球調査計画に参加した主人公達は、予期せぬ形で地球との関りを持つことになる。人型ロボット「オーレルドール」を駆る彼らは、青い星の重力に運命を絡めとられていく。

 遥か未来、人類が宇宙に暮らすようになって三千余年。

 戦乱によって死の星となった地球との交流は途絶え、その生活圏は月と周辺の宇宙都市、火星の一部に限定されていた。

 月の裏側には月面都市テアンケンに拠点を置く月面統一機構が、表側にはこちらも同じく月面都市であるベルナーを盟主とするベルナー都市同盟があった。

 長い内戦の果て成立した二大勢力ではあるが、ここ二百年ほどは頭角を現し始めた火星を意識して協調路線を採りつつあるのだった。



 

***




「やっぱり!またこんな所に、、」


(もう来ちゃったか)

 高層建築や集合住宅が何層にも重なった月面都市。表層近くの老朽化した区画の一部屋は、私、リツ・ユーウェンには大切な息抜きの場所。


「アカデミーであたしも熾衣シイみたいだったら、こうはしてないだろうね」


 汚れた二メルトン四方の窓に手を付きながら振り返る。


「だとしてもリツはここに来るでしょ、放棄された表層なんか見るために」


「いいじゃん、空を見たいからでもあるし。暗いけど、この辺の旧時代の内装だって心が和む」


 彼女は右手で黒いミディアムヘアを触りながらこっちへ来る。私に向いた目を見るに恐らく呆れている。


「金網と配管ばっかの?」


「大昔の人はみんなこういう所で暮らしてたんだ、なつかしいのさ」


「‘‘宇宙の青に親しむ‘‘ってやつ?自然派みたいなこと言わないで」

私を小突きながら笑う。


「空が見たいってのはわかるよ。けどアカデミーの事はちゃんとしなきゃ」


 いつもいる区画のようにさっぱりしてないけど、金属格子の足場、配管、手摺りが階段室みたいにひしめいて、趣がある。ジャズでも聴きたくなる感じのする旧時代の区画の雰囲気が好きだ。

 分厚い重い扉の奥にあったベッドルーム位のこの部屋も、ここから見られる地球も私には特別。


「向こう側の人達がやりたがった学校でしょ、地球を調査しようってのは素敵だけど。熾衣だって息抜きがしたいからいつも探しに来てくれてるんじゃん」


「だからこそテアンケンの学校みたいにいかないんだから、課題やるの。…有力者の縁故で地球の調査、なんて偉い人たちの方便とわかっても親に迷惑かけられないしね。」


 窓の前に私より少し小さい彼女と並んで話す。

 視界の下半分には大昔、戦禍に見舞われて放棄された都市の表層。上半分に広がる黒い空には星が煌めき、一隅に青に白色が混じった模様の星が浮かぶ。


「あれが地球か、青くて大きくて落ち着かないね、あれ。私見慣れない」


「あたし、地球に行きたい」


「なら尚更課題、」


「だいじょぶ、どの道行くことになる」


「その自信はどこから、、、」


 もう息抜きはいいのか、私の手首をつかんで寮の部屋に連れ戻そうとする。

いつも面倒を見てくれてありがたい反面、申し訳なさも少しは感じている。


「戻るから。逃げないって」


 鉄扉をくぐると、幅が人一人分、奥行き十五メルトンほどの歩行デッキで、これまた狭いながら吹き抜けに面している。デッキの足場の格子越しに階下が見える。古びた金属の足場から足場へ、配管や手摺りを使いながら飛ぶように降りると乾いた金属音が響く。


「あー!待ってよ、逃がさないからね!」


「誰も逃げない!」


 少し待つと、熾衣が追いつく。梯子を軽やかに滑り降りてきて、すとん、と着地した。


「ふう、け、結構怖いね、これ…」



…怖いなら普通に下りればいいのに



「何?」


「いや別に」


 僅かな光源しかない暗がりの中で彼女の髪がきらりと一点、部分的に光る。光の反射ではない。私たちの体に走るナノマシンのせいらしいけど、詳しい理由はわかっていないという。旧時代の人類が宇宙生活をより便利にするために途方もない数のナノマシンを人体や人の活動領域に広めた。一説には、遺伝子も書き換えているとか。


 時々彼女を振り返って止まりつつ、進むペースを合わせながら寮のある区画に戻った。


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