No.37-崩れる二人-
お久しぶりで、この糞クオリティ
それは一瞬だった。
数々の色で染められていた亜空間を、一瞬にして白と黒に分けられたのだ。
既に、修行空間内に上下左右の関係は無い。たとえるならば、星の無い宇宙空間だ。
「キヒヒヒヒヒヒッ!!!!」
不敵な笑みを浮かべ、無重力の黒を泳ぎ回る暴君ベルゼブブ。
対する純哉はその状況を頭では理解しているものの、身体がついていっていないようだった。
ベルはそんな純哉を心配する様子も無く、緑色に輝く大いなる平和の象徴を構え、思いっきり振り下ろす。
炎は生まれるが、空間の影響なのか、先ほどの様に炸裂することもなく消え行ってしまった。
「アララァ?平和の象徴は此処じゃ弱まるんだっけか。しばらくぶりで忘れておったわ。
そうなると一日目が何のためにあるのかさっぱり分かんねぇ。俺ァ、闇と光を使えても無は使えねぇしよぉ……無属性以外は全て吸い込まれちまう……」
一人ぼそぼそと呟くベル。
幸い、純哉はうまく動くことができず、一応一日目も役に立っていた。
ベルははぁ……とため息をつき、今度は剣を丸め、その塊を破裂させた。
「天地創造の二日目、世界に天が………アガァ!?」
言いかけたところで、ベルは詠唱を止める。
否、止められた。
純哉の細い腕が、ベルの顎を捉えていたからだ。
先ほどまで自由に動くことすらできなかったはずの少年は、体中を魔力でコーティングし、動き回っていたのだ。
そして、その掌には魔力が集中し始める。
黒い魔力が。
「ガァ!!」
得体の知れぬ一撃に、思わずベルは体勢を崩してしまう。
そして次の瞬間、純哉は天に手を当て、魔力を最大限に吐きだす。
白と黒の空間にヒビが入り始め、見る見るうちに鮮やかな色を取り戻していく。
数十秒後に、白と黒の空間は全て消え去り、元の修行空間に戻ってしまった。
そして、純哉も魔力を使い果たしたようで脆く崩れてしまう。
「あぁららぁ………」
ベルもポカーンと口をあけて、空間と純哉が崩れる様を見ていた。
(そう言えば純哉は時空系だったっけか……暴走状態は120%以上の出力ができるから……これが本来の……)
「アァアアアハハァアハーッッァァ!!!」
別の空間内で、狂気に満ちた笑いがこだましていた。
泡沫紗衣は目の前の巨像達を圧倒していた。
彼もまた、戦闘中に魔力が突然の暴走を始めていたのだ。
しかし、純哉とは違い理性が飛ぶような完璧な暴走ではなく、半暴走状態なのだが。
何があったかは、彼自身が一番理解できていない。
しかし、『烈風の鉤爪』を振り下ろした瞬間に、自身が魔力に包まれていくのを感じていた。
着地と同時に、何かを超越した感覚を覚えた。
ただそれだけ。
もしかすると、紗衣自身の魔力の噴射ではなく、光輝くこの神器の力かもしれない。
そう考えた紗衣は双剣を振りまわした。
すると、今までよりも格段に速く、格段に強い一撃を叩きこんでいたのだ。
「どォいうことだァ……コイツはァ!ヒャァアアアアアアアアアアアアッッハァアアアアアーァッッ!!」
爪から槍へと、武器を変え、荒ぶる大海の力をフルパワー以上の出力で発揮する紗衣。
その力は以前、西康太郎と対峙した際にはなった水の槍よりも遥かに強かった。
槍は三体の神器達を貫き、大爆発を引き起こす。
流石の神器達もこれに耐えうるほどの装備は持っておらず、哀れな地に屈した。
力を使い果たした彼もまた、哀れな地に屈した。
だめだ・・・・・・忙しいわ・・・・




