No.13-決意-
の夜に
一通り検査を済ませ、無事退院。
魔力増強剤にて少なかった魔力も補強完了っと。
さて、帰るかな………
「あァ……?貴様ァ………」
うおっ!全ての元凶っ!
「お前………待ち伏せか?」
「いや、そういうわけじゃねェよ。偶然通りかかっただけだ。
あー、この前は悪かったな。いきなり襲ってよ。大狗にも謝っといてくれ。」
そう伝言を残し、どこかへ行ってしまった。
いいとこあるじゃねぇの。
なんかいい気分だな。
十五分歩いたぐらいのところにベーゼがある。
ベーゼにワープを忘れたせいで、歩いて帰ることになった。
運動にはちょうどいいけどさ。
「ただーいまー。」
「おかえりぃぃぃいいいい!」
紅葉が飛びついてきた!
パネェ!
感触!ほのかな胸の感触!
すべすべの肌!
スペシャルスキン!
ん………?俺は今何を……?
「待ってたよっ!にゃはははは!」
「そーかそーか。うれしいことだ。」
「あ、そう言えばさっきカシスって人が来てた。電話しろって言ってた。」
「ん?なんだろな。まぁいいや。えっと番号番号………」
携帯端末を取り出し、カシスに連絡。
(お、純哉。よく電話してくれた。)
「どーしたよ。」
(実は頼みがあってよ。今からそっちに行くわ!)
数秒の会話をし、電話が切られてしまった。
──五分後
「いよぉ。待たせたな。準備が忙しくてよ。」
「気にすんな。んで、頼みたいことってのは?」
早速用件についての説明を要求。
カシスは愛用の鞄から一枚の紙を取り出した。
“緊急召集”
「んぁ?エマージェンシーコール、藍色………?」
ガーディアン達の間では時折コーリングコードと呼ばれるものが使用される。
命令を大衆の前や、ガーディアンに関わりの無い人間達のいるところで下せるようにしたものだ。
匿名的な命令を下す時にはかなり使われる。コードが色分けされているという特徴を生かし、
光だけでの発令もある。
今回、発令されたのはインディゴ、集合や緊急などを意味している。
エマージェンシーコール自体が緊急を意味しているのに、インディゴでさらに強調。
これは何かあったに違いない。
「あぁ、お察しの通り、緊急事態だ。一年前の奴らがまた動きだした。」
「なに………!?」
正直驚きを隠せなかった。
一年の奴らとはディアブロのことを指しているに違いない。
一年前、確かに消滅したはずのディアブロ。
残党たちによる活動か?それとも………
「まぁ聞け。どうやら残党たちによる小さな動きしかないらしい。
だが、これから拡大されていく可能性もある。そこでアウシ・アタ上層部は一年前の事件に関わった
お前と仙寿の二人と、その他数名にパーティを組ませて派遣することを発表した。」
「ちょっと待ってくれ!俺は行く気なんかないぞ!」
俺はいきり立って猛反発をした。
さらに反論を続ける。
「確かに俺は事件に関わった。けど、あの事件はもう俺の中では終わったことなんだ。
関わっただけで赴くなんて、ふざけてやがる。それに、紅葉を一人にさせるなんてできるわけない。」
やべぇ。俺かっこいい。
「ふむ………だが、どうしようもないぞ。これは上層部の決めたことだしな。」
「すまないが、とにかく俺は行かない。」
断固とした姿勢を示す。
紅葉を一人にさせるのができない、という理由もあるが、
俺の否定の大部分を占めるのは、やはりキュウのことだ。
一年前、仲間だと思っていた奴に裏切られた。
どうしようもないくらいどん底に落ちた気分を味わった。
でも、どうしようもないから、踏ん切りをつけた。
負の記憶をほじくり返されるのは誰だって嫌だろう。
「そうか。仕方ない。俺は帰る。気が向いたらいつでも言ってくれ。一週間は待てるぜ。」
そう言い残し、カシスは帰って行った。
──夜
食事を済ませた後、不意に紅葉に言われた。
「純哉、本当は行きたいんでしょ?」
図星だ。矛盾しているかもしれないが、決着をつけたい気持ちもある。
どうなるかわからないのが怖いんじゃない。
どうにもなりそうにないから怖いんだ。
キュウは何を思い、ディアブロとして、ガーディアンとして動いていたんだろうか。
気がかりになることはそれだけではない。
この霧を晴らすには行くしかないのだ。
だが、今度こそ死ぬかもしれない。
天使同士の争いで天使は死ぬことはない。
しかし今のキュウは堕天使、天使ではない。
今度こそ殺されるかもしれない。
「大丈夫。俺は紅葉を置いて行ったりしないよ。」
「なら、私も連れて行けばいいじゃない。」
「それこそだめだ。危険な目にあわせるなんてできないよ。」
紅葉はそれを聞いてしゅんとしてしまった。
ちょっといじけている。
きっと自分を認めてくれてないとでも思っているのだろう。
確かに研修のデータから見るに、彼女の力はすごい物を秘めている。
だがそれ故危険だ。
なにがあるかわからない。
怖いのだ。失うという危険が伴う事が。
自分は死んでもかまわない。けど、仲間が死ぬのは辛い。
同時にいなくなるのも辛い。
「私を、信じて。」
「うーん………」
「私を守ってくれた純哉なら、絶対に私を見殺しにしたりしない。私もしない。だから、お願い。」
なんか、勇気づけられる。
そうだよ。うん。
やる前から諦め気味だったな。
そうさ。俺が守ればいいんだ。
できる範囲で。
「上層部に連絡入れる。紅葉も連れて行っていいかって聞く。つか連れて行く。危険でも俺が守る。」
笑わないとな。紅葉の前で、不安な顔をしちゃいけない。
パートナーとか、そういうんじゃなくて。
「うんっ!純哉大好き!」
「ブベボオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
俺を萌え死にさせるつもりだな………!?
キュン死しちゃうよ!
落ち着け、落ち着け俺!
よし、連絡しよう!
そうすれば落ち着けるさ!
ははは!
という事で上層部の総裁に連絡。
「あーもしもし、純哉です。えっと、エマージェンシー受け取りました。行かせて下さい。
それと、紅葉も連れて行っていいですか?」
数分電話で話して、何とかOKをもらえた。
「明日、全員招集するってよ。」
「うんっ!絶対守ってねっ!」
言われなくても、守るよ。
大事なものは全部守る。
きっとそれが俺の、生きる意味だから。
久しぶりのパロディ脱出。
これからもこうしよう。
わからないことがあればGuardian's参照。