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ルワンダ

 久しぶりに髪を切りに行った。


 髪を切ってもらっている間に雑誌をペラペラとめくっていたら、ルワンダで義足を作っている女性の記事を目にした。


 彼女は五十代の日本人女性。

 義足を作るようになったきっかけは、アフリカへ語学留学した際に出会ったルワンダ人の男性だったのだとか。


 その男性は片足が不自由で、装具を身に付けていた。

 彼と親しくなった女性は、帰国後に日本で彼と再会する。

 その時に彼の装具が壊れ、義肢製作所を訪れたことが転機となり、女性は義肢装具士になる修行を始める。


 そして、女性が修行中の1994年、ルワンダで大虐殺が起こる。

 100日間で100万人以上もの人々が虐殺され、紛争でや地雷のために、たくさんの人が障害を負った。中には、ナタで四肢を切り落とされた人々もいたという。


 何故こんな虐殺が起きたのか。

 それには、欧州の植民地政策が大きく関係している。

 欧州の支配者達は、ルワンダの人々を民族で分けて差別化した。

 そして一部の民族だけが優遇されたことで、ルワンダ人の間には差別と分断が生まれ、憎悪の種が蒔かれてしまう。


 しかし、第二次世界大戦後に各国で植民地からの独立の気運が高まると、優遇されていた民族は独立を求め出した。

 すると欧州の支配層は、優遇していた民族ではなく、虐げられていた民族を支持するようになったのだ。


 その後、虐げられていた民族の政権が誕生し、優遇されていた民族への迫害が行われるようになる。

 いわゆる、下剋上というやつだ。

 この小説サイト流に言うなら「ざまぁ」である。


 そして内戦が勃発し、1994年4月に大統領機が撃墜されたことで大虐殺につながる。



 個人的には、ここで責任の所在を問うことには、あまり意味が無いように思っている。


 欧州が植民地支配などしなければ。

 支配者達が、民族の差別や分断をしなければ。

 ルワンダの人々が、差別や分断に異議を唱えていれば。


 沢山の「もしも」があって、それと同じくらいの「そう出来なかった理由」があるのだと思う。


 誰が悪かったのかということよりも

「同じことが起きないようにするために、どうすればいいのか」

「起きてしまった出来事に対して、何が出来るのか」


 前者に対しての答えは分からないのだけれど、後者への答えは、雑誌に載っていた女性が一つの答えを見つけ出しているように思う。



 義肢装具士として五年間の修行を積んだ女性は、アフリカで出会い日本で再会した片足の不自由な男性と結婚して、ルワンダへと渡る。

 そして彼らはルワンダで工房を作り、無償で義肢装具を提供している。


 それらの資金は全て寄付で賄われている。

 何故か。

 その理由は、義肢を必要とする人々が職に就くことは困難であり、対価を支払うことが出来ないからだ。


 記事の中で、印象的な言葉がいくつかあった。


 一つは「寄付金を生活費に使うことに抵抗がある」というようなものだ。

 彼女は、無償で義肢装具を提供している。すなわち、収入はゼロだ。そのため、生活費も寄付金で賄う必要がある。


 このことについて、文句を言う人もいるだろう。何より、彼女自身が後ろめたさを感じている。

 それでも彼女は、非難の言葉や自責の念などなど、それら全てを飲み込んだ上で、今の活動を継続していく覚悟を決めている。


 そんな彼女が口にした、二つ目の印象的な言葉。

 それは「この活動を通して、私達を利用しようとする人達がいた。その人達は障害を抱えた人々を『惨めで可哀想な人』に仕立て上げて寄付金を集めようとした。でも、私は手足の不自由な人々のことを『惨めだ』とは言えない」というような主旨の内容だった。


 雑誌の現物が手元に無いので、少しニュアンスは違うかもしれないが、彼女が誰かを憐れんでこんな活動をしているわけではないのだということが、記事に書かれた言葉からは感じられた。


 彼女は、このようなことも記事の中で述べている。

「困っている人がいるから、出来ることをする。ただ、それだけのことなんです」


 これも正確な文言ではないと思うのだけれど、とにかく彼女は自分の活動を、立派だとか素晴らしいとか、そういう風には思っていないことが伝わってきた。


 偶然、この雑誌の記事を目にしなければ知ることのなかった一人の女性の生き様。


 読み終えた後に、知れて良かったなと思ったし、いつか大金持ちになったら必ず寄付しようと心に決めた。


 そんな日は、永遠に来ないかもしれないけれど。


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