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水平線
出先で流れてきた音楽の、やけに真っ直ぐな歌詞が耳に残った。
居合わせた人に曲名を知っているかと尋ねたら、back number の『水平線』という曲だと教えてくれた。
公式サイトによると、コロナ禍の影響でインターハイが史上初めて中止となり、涙を呑んだ選手や運営の高校生達のために何か出来ることはないか、と相談を受けて制作された曲なのだとか。
そして、インターハイの開会式が行われるはずだった2020年8月18日に、YouTubeのback number公式チャンネルで公開されたそうだ。
私は高校生でもないし、インターハイには縁もゆかりもないけれど、この歌には不思議と共鳴するものがあった。
自分に向けて放たれた言葉ではない。
それなのに何故か心を揺さぶられる。
時折、そういう作品に出会うことがある。
この世にあふれる歌や物語は、どれ一つとして私のために作られたものではない。
それはよく分かっている。
だけど、誰かを想って生み出された文字や音が、全く関わりの無い誰かの心にも確かに届き、胸に響いて、いつまでも鳴り止まない。
そういうことは、意外とよくあることなのかもしれない。




