株
たまに、株の売買をしている。
と言っても少額しか投資していないし、ちょっと値上がりしたらすぐに売ってしまうから、全然儲からない。
堅実がモットーなので、値動きの激しいゲーム関連や、新薬の研究開発をするバイオの分野、IPOと呼ばれる新規公開株には手を出さないようにしている。……今は。
株を始めたばかりの頃は、いろいろ失敗した。上記の分野の銘柄で、しっかり痛い目にあった。
まずはゲーム関連の銘柄。有名な企業は株価が高いので、私はスマホゲームの開発をしている安価な銘柄を選んだ。
その会社は、あるゲームを大手の企業と共同開発中で、完成すれば株価が上昇するのではないかと思ったからだ。
結果として、一時的に株価は大きく値上がりした。しかし、その直後に爆下げ。その後、また上がったり下がったりと乱高下を続け、ちっとも安定しない。
心臓に悪いので、ほんのちょっと利益が出たところで売却し、それ以降ゲーム関連の銘柄には手を出していない。
次にバイオの分野。これはもう、ギャンブルと同じだと思っている。名の知れた製薬会社ならともかく、一般には馴染みのない銘柄に手を出すと大ヤケドをする。
当時、新薬の製造販売承認が通りそうな銘柄があり、安かったので買ってみた。
承認されるのではないかという期待で株価は上昇したのだが、いざ承認されてみると薬価が想像よりも安かった。
患者にしてみれば、薬の値段は安い方がいい。だが、単価が安ければ開発会社の利益は少なくなる。
しかも、新薬の研究開発には膨大な時間と莫大な費用がかかっているのだ。
これまでにかかった開発費用の回収と、新たな研究開発に必要な資金集めが出来なければ、企業に未来はない。
この時は情報を得てからすぐに売却したので、ほぼ買値と同じくらいの株価で処分出来た。
その後、コロナのワクチン開発に携わるということで再び株価は上昇していたが、以前に一度懲りていたし、短期間での開発と承認は難しいのではないかと考えて購入はしなかった。
IPO(新規公開株)には、手を出したことがない。
チャートと呼ばれる折れ線グラフで株価の推移を見ていると、信じられないくらいの高値をつけた後に、恐ろしいほどの安値まで暴落している銘柄が、結構あるからだ。
上手な人はこの荒波を利用して稼ぐのだろうけれど、私にはそんな度胸も頭脳も無いので、株価が安定するまでは買いたくない。
それから、買った直後に不祥事が発覚して大暴落した銘柄というのもある。
これは株価が十分の一になった。ものすごく悲しかった。
発覚直後は損害額も大したことなかったから、マイナスのまま決済して「損切り」をするという選択肢もあったのだが、その時の私は塩漬けにして所有し続け、株価が買値を上回ることに賭けた。そして失敗した。
健全な銘柄であれば、塩漬けにしているうちに株価が回復することもある。
しかし、値動きの激しい銘柄や財政上の不安を抱えている銘柄、不正を行った銘柄や事件を起こした銘柄に対しては悪手となる。
こういった銘柄は株価の回復に長い時間を要するし、最悪の場合は上場廃止となって、全てを失うこともあるからだ。
他にも、仕事や所用で株価を確認出来ない時や、取引時間外に悪いニュースが飛び込んできて株価が暴落してしまう、ということも割とよくある。
コロナや戦争、経済政策の転換などなど、株価に影響を及ぼす出来事の多くは予測できないし、情報を入手した頃には既に手遅れであることが多い。
だから「全額失っても惜しくない程度の金額」しか投資すべきではないし、手持ちの金額以上に投資可能な「信用取引」には、絶対に手を出さない方がいい。
「買いは家まで、売りは命まで」という株の格言があるように、手持ちの資金で株の売買をしているうちは全財産を失うだけで済むが、「信用取引」というものに手を出した場合は莫大な借金を背負う可能性があり、追い詰められて人生を終わらせてしまう人もいる。
たとえば、一千万円近い含み損を抱えていたとしても、それ以上に資産や稼ぎがあり、なおかつ自己資金のみで投資している人ならば、何の問題もない。
含み損とは、現時点で決済した場合の損害額であり、決済しない限りは損害が確定しないから、自己資金で投資する「現物取引」であれば、そのまま所有し続けて株価の回復を待つことも出来る。
しかし、借金同様の「信用取引」の場合は、返済期限があるし、株価が著しく値下がりした時は「追証」という追加の保証金を求められる。
期限内に返済が出来なかったり、追証を支払えなかったりすると「強制決済」が執行されて、損害が確定してしまう。
そうなるともう、取り返しのつかない状況となる。
株を始める前に色々と調べて、信用取引で大損した人達の話を知ったので、私は現物取引しかしないと決めている。
株で儲けるのは至難の業だと思うし、一瞬で大金を失ってしまうこともある。
そう考えると、結局は地道に働いて稼ぐのが一番なのかもしれない。




