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第1話 ツンツン幼馴染み

『アンタ髪の毛短くした方がいいよ。長くしてるとうざいよ』

『ちょっと太り過ぎじゃない?運動したら?』

『なんか臭くない?ちゃんと服洗ってからすぐ干してる?』

『今日さ、みんなでカラオケ行こうよ!きっと楽しいよ』

『このSNSで流行ってる写真なんだけど。超可愛くない? アンタもアプリいれてみなよ』


 最近、幼馴染の様子がおかしい・・・いやおかしいというよりも、単に高校デビューしたんだと思う。俺の両親が中学卒業と共に海外赴任して居なくなってからと言う物、こうやって口うるさく色々言ってくる。


 まず、幼馴染は中学まではメガネをしていたのにコンタクトに変えた。髪型も前は下ろしていたに最近はアップにしている事が多い。SNSなどで勉強をしてお化粧もし始めているようだ。髪の毛も校則違反でない範囲で染めてて、完全に陽キャのそれになっている。


 始めの内は、そうだな身だしなみは大事だな。と思って幼馴染の言うことを聞いていたんだが、最近は流石に目に余る。


 カラオケなんて知らない奴と行きたくない。俺はアニソンしか歌えないんだ。お前が今所属している、陽キャグループと楽しくなんて歌えるわけがない。馬鹿にされるのが目に見えてる場所に行くなんてどんな拷問だ。


 SNSは、単に面倒くさいし。PCでたまに見るのはともかく、携帯電話で見るつもりなんてない。携帯でSNSやるくらいなら馬乃娘ってアプリゲーやってた方が100倍ましだ。


「俺は歌なんて歌えないよ」


「うそでしょ。中学の時に合唱で歌った時は上手かったじゃない」


「それしか歌えないんだよ。それに練習したんだ上手くなるのは当たり前だ」


「SNSだってやってるじゃない。なんだっけ? ピンなんとかってやつ?」


「ピンタレントな。あれはSNSじゃない。コミュニケーションしなくていいんだ」


 こんな話をしながらも俺はずっと本を読もうとしているが集中出来ない。ちょうど物語が良いところなんだ、正直話しかけて欲しくない。


「ねぇ。本ばかり読んでないで、ちゃんと聞いてよ」


「・・・・・はぁ。分かったよ。それでなに?」


「だから何度も言ってるじゃない。カラオケ行こうって」


「だから嫌だって。なんでそんなに誘うんだよ。知らない奴となんて行きたくないんだよ」


「それは・・・・・みんなで遊びたいからに決まってるじゃない」


「俺は、その『みんな』って奴が嫌いだ。自分の意見がないみたいだ」


「はぁ???? アンタさ。中3の頃からだけど。なんでそんな事言うようになってんの?」


「・・・・さぁ。なんでだろう・・・・そういや自分でもわからん」


 思春期ってやつかな? 自己を確立させるためのなんちゃらとか言う。良く本を読むようになったのも影響しているかもしれない。


「とにかく、知ってる奴とだけでカラオケに行くならいい。それなら気兼ねしないですむ」


「そっか」


 幼馴染の沙織サオリが黙りこんだ。


「とりあえず。今日は友達と行く事になってるから。今度また誘うよ」


「OK。さっき言った通りなら行くよ」


 サオリがそう言って去って行った。正直ウザい。お前は俺のオカンか!

それとも良くラノベとかで居る、ツンデレとか言う奴なのか?


 現実でそんな奴居たら痛いぞ。俺はMじゃないんだ。

めちゃ甘やかしてくれる。年上お姉さんが好きなんだ!


 もう嫌だ……この関係を変えてしまいたい。

最近の幼馴染と話しているとイライラする。昔の方が良かった。


………さてどうするか。


----------------------------------------------------


 俺は虎杖いたどり 一龍いちりゅう 高1だ。

今は自宅に戻ってから、幼馴染の沙織サオリとの関係を考えていた。


 今のサオリと付き合っていくのは、正直ストレスだ。

俺の事を思って色々言ってくれるのはいいんだ。

今もたまにご飯作りに来てくれたりするし。俺の両親もその事を知ってる。

お互いの両親も知り合いで、家族ぐるみの付き合いをしている。


 でも、アイツは変わってしまった。

高校デビューした途端に陽キャグループに所属してしまった。

別にそれが悪いってわけじゃないんだ。

中学までは内気だったサオリが変わったのは良い事だ。

あんまり俺と遊んでくれなくなったのは寂しいけど。


 でも、俺聞いたんだよ。


『アイツ、パッとしなくね? なんかダサいし』


 って、サオリがつるんでる奴らが言ってたのを……

そしたらサオリが、俺に色々言う様になってきやがった。

最初は、両親が海外に行ってから、身だしなみだとか、ちょっと太ったよね。

とか……ショックだったけど臭いとか………。

流石に……臭いはショックだ………そんな風に思われてたんだって。


 それは、俺の問題だから確かに直した方が良いと思ってちゃんとする様にした。

そしたら、サオリも嬉しそうだったんでやる気もあがった。

俺は褒められて伸びる男なんだ。もっと褒めて欲しい。


 でも、知らない奴らとカラオケに行ったり、興味もないSNSをやらせようとするのは

本当に俺の事を思っての事なのか?


 俺はサオリの物でも、彼氏でもない。

アイツのグループに混ぜられてトロフィーみたいな扱いされるだなんてごめんだ。


 サオリが嫌いってわけじゃない。高校デビューしてから

明るくなって可愛くなったし。おしゃれもしている。

中学2年頃から胸も突然デカくなって、ついつい見てしまう。

他人の目を引く女の娘になった。


 そんな女の娘に好意を持たない男子がいないわけがない。


 ただ、今のままだと良い付き合いが出来るとは思えない。

我慢出来なくなって、アイツを傷つけてしまう気がする。

どうにかしないとならない。


つづく

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