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キャッホイ




「ふふふふふ」


 霧夜きりやに薬草と魔草の交配をするように迫っていた『終夜よもすがら』の使者、黛青たいせいは、今日も説得に成功しなかったまたお偉いさんに叱られると思いながらも、落ち込みはせず、寧ろ上機嫌でスキップをしながら『終夜』本部への帰路についていた。

 なんせ、霧夜と浅葱あさぎとまた話せたのだ。しかも、何回も訪問している『終夜』の使者だと、ちゃんと自分を認識してもらっているのだ。

 ああ、この役目をもぎ取ってよかったと、うっすら涙を浮かべながら、無意識に黒マントの左右に設置されている内ポケットに手を突っ込んだ。何も入っていないので、すんなりと両の手が入った。

 すんなりと。


「ん?あれ?あっ。やばっ。まあ………あのお二方なら。っは!活躍をお目にかからなければ!」


 黛青は回れ右をして、霧夜の家へと駆け戻り始めた。

 忘れていたのだ。魔草を見せることを。

 うっかりしていたのだ。魔草を落としてしまった。

 帰る道すがらに落としたのならば、もう、ヤバイの一言であるが。

 どうにも対処できずに誰かを犠牲にするかもしれない可能性もあるが。

 多分、絶対、霧夜の家で落としたはず。

 ならば、


「キャッホイ!」


 目と言わず全身を爛々と輝かせた黛青は、大きく跳ね飛びながら霧夜の家へと駆け走るのであった。











(2024.10.14)




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