組織
薬草師、究植師、添木師など、薬草に関わる者がすべからく所属している組織、『終夜』。
目を潰れないほどの違法(人を守る為の薬草ではなく人を害する悪草の栽培及び譲渡、売買、一個人による違法な料金の請求、究植師と薬草師と添木師の違法談合による不法売買料金の設定、特定個人や特定組織への忖度により集中的にもたらされる依頼、不法献金などなど)を犯した者の前に、『終夜』から遣わされ使者が姿を見せられれば、『終夜』からの永久追放を意味すると同時に、使者によって薬草及び薬草に関するあらゆる事象をすべからく没収される。
そう、まことしやかに囁かれていた。
「あの解界師がその『終夜』の使者だというのかい?」
史月が眠りに就いて、また、浅葱が家を出て行ってから、一日が経った。
自室で目を覚ました史月に、彼の側で椅子に座って見ていた季梨は伝えた。
浅葱が家から出て行ったこと。
史月と対峙していた、雪白という名の解界師は、『終夜』の使者かもしれないこと。
使者は浅葱の薬草及び、薬草に関するあらゆる事象をすべからく没収していくこと。
「だけど、解界師も結界師も所属している組織は『払暁』だ。『終夜』じゃない。解界師の雪白が何故『終夜』の使者を担っているんだ?」
薬草師、究植師、添木師など薬草に関わる者が所属する組織が『終夜』だとしたら、結界師、解界師など結界に関わる者がすべからく所属する組織が『払暁』だった。
「『終夜』と『払暁』は協定関係にあるから、『払暁』から『終夜』に出向しているんじゃないかな?」
ベッドのヘッドボードに背中を預けて腰をかけていた史月が、真横に座る季梨に疑問をぶつければ、史月が首を横にするのがきついだろうと考えて顔が見えやすいようにと、ヘッドボードに対する位置まで椅子を移動して座り直した季梨はそう答えては、まあ、僕の憶測だけどねと言葉を紡いだ。
「僕が耳にした噂では、雪白って解界師が『終夜』の使者で、薬草に関して罪を犯した者を成敗するって。噂で、真実かどうかはわからないよ。浅葱ちゃんも知っていたのかどうか。あとで色々説明するかもしれないって言っただけだから………どうして引き止めなかったんだって、怒ってる?」
「………怒っている。ような。引きとめたところで浅葱君を止められる人なんて居ないから怒る必要なんてない。ような。頭がまだうまく働かないけど。頭がうまく働いていてもきっと、どっちも思っている。一方に傾いて、またもう一方に傾いて………いや。まだ。回復していない。から。また眠るよ。そして、起きたら、『終夜』の本部に行く。季梨。君は場所を知っているんだろう?」
「うん。知ってる。けど。ここで待たないの?」
史月はベッドボードに預けていた背中を、ズルズルとずり下がって寝る姿勢を整えてのち、目を瞑って、待たないと言った。
「僕が行って、どうにかするなんて、大口は叩けないけど。少しでも万全の態勢を整えて。浅葱君がどうするか。どうなるか見届けるよ」
「………そっか。なら。僕も眠ろうかな。一緒に見届けるよ」
「ああ。簡易ベッドがあるし、眠って、くれ」
「おやすみ。史月ちゃん」
(2024.10.2)




