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白玉




 次に何を言い出すかわからないので、できればついてきてほしくないのだが、凶暴化した魔草たちを宥められるのは私しか居ないと言われれば、否とは言えない。

 そんな史月の不安は今のところ的中せずに、先導する桜桃は黙ったまま。

 もしかして中座したので気を悪くさせたのだろうか。

 謝るべきか。

 一瞬過ったが別にいいかと前を進む桜桃から周囲に目を向ける。


(しかし慣れないな)


 すべてとは言わないが、ほぼほぼ植物たちの花や葉、茎、実、根のいずれかが、もしくはすべての部位が原色に白玉模様で、目が混乱するのだ。

 桜桃曰く、その部分が使用していいという合図らしいのだが、逆にしか思えない史月は、ふと。思った。

 もしも。と。

 益体のない思考が浮かぶ。


 もしも浅葱が薬草師ではなくここに住む魔草師だったのなら、自分はこの森から逃げ出さずに留まっていただろうか。とか。

 どんな魔草を生成するのか。とか。

 こんな毒々しい魔草でも嬉々として世話をするのか。とか。

 怪我も厭わずに世話をしそうだな。とか。

 こんな森では迷うのではないだろうか。とか。


(くだらない)


 流れるままに流されて生きてきた。

 だから、依頼人がどんな人物だろうが仕事をこなすだけ。

 結界縄を生成し続けるだけ。

 依頼人に興味を持ったことなど。


(莫迦か)




「史月ちゃん」

「何だ?」

「ぼーっとしていると危ないよ」

「別にぼんやりとしていない」

「浅葱ちゃんが心配?」


 伏兵か。

 思わず胸中で季梨にツッコミながらも、一瞬停止したかのような呼吸を浅く短く意識して行ったのち、薬草が心配だと答えた。


「へえええええええ」

「こらこらこらこら」


 同時に意味ありげに笑われて、口元を引き攣らせるしかない史月。

 もう何を言われても無言を貫いてやろうかと本気で思ったのであった。












(2021.10.23)



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