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じわり




 浅葱が師匠の村里から戻って来たのは九日後。

 村里の名物である白味噌を土産に帰って来て、家の中に居る史月に好きに使っていいと言い食卓の上に置くや、さっさと薬草畑へ行こうとするのを、史月はおいと言って呼び止めたので、浅葱は扉の前で振り返った。


「白味噌は火を通さなくても食べられる」

「そうか」

「ああ」

「………」

「何か身体に異変があるのか?」

「いや、忍灯君のおかげで治ったが」

「が?」

「いや。その」


(くう。何故君が診てくれなかったのかと訊くだけなのに、どうしてこうも緊張しなければならないんだ)


「いや。わざわざ忍灯君を呼んだのは何故かと思ったんだ」

「ああ。俺が診てもよかったが、薬草ばかりで嫌じゃないかと考えたからだ」


 一瞬間。

 確かに鼓動が不自然に止まった。


(僕のこと、考えている時も、あったの、か)


 じわり、じわりと顔に熱がこもる。


「そうか。でも僕は別に薬草がって」


 もう居ないし。

 無言の時がきっと長かったのだろう。

 扉を開けて外に出れば、旅疲れなど知らずに元気に動き回る浅葱を見て、ふっと小さく噴き出したのであった。












(2021.10.13)



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