表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

プロローグ・一章 一節 「罪と旅」

描写や表現にこだわってます

 プロローグ

 この罪はどうしたら償えますか?

 僕は今も、もがき苦しんでいる。

 何かにすがってもそれもろとも落ちていく。

 僕は一体何をすればいいのだろう。



 永遠はどこにありますか?

 私は途方にくれていた。

 どこにいっても、それは見つからない。

 でも、変わらないでずっと続き、なおかつ完全なものはきっとあるから。

  


 これは罪と永遠が交錯する二人の物語。


一章一節

『私のことを一生忘れないで』



 何度も何度も、僕はその言葉を思い出す。 

 それは、頭の中に刻まれて離れない。

 何て純粋で、罪深い言葉だろうか。 

 そしてその女性は僕の方を向き、儚げに笑う。

 そこで、僕こと中村(なかむら) 詩音(しおん)ははっと目を覚ました。

 ベッドのはしに置いてあるスマホがアラーム音で朝を知らせる。

 必要なもの以外置いていない殺風景な部屋。

 僕はあまり物を買わない。いつもうまく整理することができないからだ。

 僕はのっそりと体を動かす。

 いつもと変わらない1日の始まり。 

 時間は何が起きてもすべての人に平等に訪れる。

 例え悲しいことがあっても、時間は止まってくれない。

 そんなこともう何度も味わったはずなのに、いつも落ち込む。

 何て残酷なものだろうか。 

 人間は立ち止まることが許されていないのだろう。

 でも少しだけ、夢を見ていてよかったと思う自分がいる。 

 現実が変わるわけではない。そんなことはわかっている。

 でも僕はしばらくの時間、夢の世界に逃げることができてよかったと思っている。

 すーっと涙がつたうのだった。

  


 窓を開けると、太陽の光が入ってきた。まだ朝の早い時間帯だ。

 室内なのに、息は白く染まる。

 木々の匂い、小鳥の声など朝の爽やかさが部屋に入ってくる。

 僕は急に、今から旅に出ようと決めた。

 今日なら、僕は何かに変われる気がしたから。 

 僕はある理由で何者かに変わられなければいけない。

 荷物は必要最低限のものだけでいい。深く考えだしたらきりがなくなってしまうから。

 だからすぐに準備ができた。荷物はトランクケース一つでまとまった。

 それに一人暮らしをしているので、誰かに心配されることもない。

 突然何かをしたいと思うことはいつもことだ。

 簡単に言えば、計画性という概念がないのだ。

 これは性格のようなものできっともう治らない。

 その事に関してはそんなに気にしていない。

 また、感情のコントロールも苦手だ。

 高まる気持ちは抑えられず、今ならどこまでだって行ける気がした。

 時間はいくらかかってもいい。

 最初の目的地は、東京にした。

 僕は隣の県に住んでいるからそんなに遠くはない。



 僕は罪を犯した。

 あまりにも浅はかで無責任なものだ。

 それはある女性との間のことだ。

 その罪と向き合うために、僕はまず東京を目指して歩き始めたのだった。

 

お読み頂きありがとうございます。



こちらの作品も全話一気にアップします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ