ブレンド泥水
行きつけの喫茶店に入り、いつものブレンドを頼む。 名札の横にわかばマークがある店員が不慣れながらも、僕の注文を繰り返す。
読みかけの文庫本を開きしばらくすると、頼んだ珈琲がやってきた。コーヒーの香りは私の鼻腔を微かに擽り、副交感神経を優位にした。
コーヒーカップを片手に、スマホでSNSを開く。
大学で想いを寄せる子が投稿を更新していており、キャンパス内でいつも騒がしくしている男集団のリーダー格がその子の投稿にコメントしていた。
僕とその子とのLINEには既読もつかないまま、女の子はそいつのコメントに対して丁寧に返信している。
携帯を眠らせ、文庫本をまた開く。
読み終えた文庫本を閉じ、鞄に仕舞う。
コーヒーカップに少し残っていた珈琲を飲み干す。
飲み干した液体は泥水のように苦かった。
思わず顔を顰めてしまうほどに。