第六話 二人の作戦が交わるとき 1
修正点
第五話初登場キャラ『白雪 姫』の名前を『白雪 鴉里沙』へと変更
謝辞
更新が遅れてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
この度、考えてみたのですがこれからは二週間に一度更新を目安とします。
…出来上がれば一週間に一度更新しますが。
では、ぜひこれからも読んで頂けると嬉しい限りでございます。
昼食が終わって一回部屋に戻ったリアであったが、何もやることがないという理由でリビングに足を運びます。
そこでリアが見つけたのは静かな寝息を立てて幸せそうな表情をして寝ている雪姫でした。
「……男性嫌いなのになぜこんな場所で寝ているのでしょうか?」
リアは疑問を覚え、雪姫の事を観察します。
観察を続けていると烱至と悠希が来ます。
二人は寝ている雪姫とそれを観察しているリアを少しだけ見ましたが、烱至は少し迷ってから目を背けるけ、悠希はすぐに目を背けました。
その反応を見るとリアはあからさまに不機嫌そうな表情を作ります。
「折角のチャンスですし…。それに、面白そうですしね」
小声で近い未来を予想します。
そして、ある程度まで考えると烱至たちの方を見て声をかけます。
「丁度こちらに男性嫌いが寝ていまーす!反応とか面白そうなので、烱至さんは悠希さんを連れてこっちに来て下さい」
有無を言わさずに威圧し、半分ほど建前を並べます。
声をかけられた方と言えば、悠希は烱至の後ろに隠れます。烱至の方は少し考え、悠希の襟を掴んで引きずります。
「オッケー。今行くね」
「ちょっ!烱至さん、痛いです!」
「こうでもしないと逃げるだろ?」
「そんなことないですよ!」
「はいダウト。まぁ、基本俺の指示に従ってくれればいいだけだから」
「はぁ…」
二人は会話を交わして寝ている雪姫の前に立ちます。
「雪姫ちゃん、寝顔もすごく可愛いね」
烱至はそう言って雪姫の頭を撫でようとしますが、リアが手を掴んて止めます。
「そうでしょう。そうでしょう」
ここでリアは言葉を区切り、次の言葉につなげます。
「雪姫お姉さんは、雲の上の存在なのです。貴方のような愚物が触れることなど、本来あってはならないことなのですよ?」
烱至にだけ聞こえるように小声で諭すように囁きますが、その言葉には確かな殺気が込められており、烱至は冷や汗を流しながら手を引っ込めます。
雪姫はその殺気を感じ取ったかのようなタイミングで(実際は違うが)起きます。
「…ん。リアちゃんおはよう。…それにケーシさん、も?……ッ!」
意識がはっきりし始めると自分の置かれている状況が理解できたのか逃げようとします。
しかし、前はリアたちが居り後ろはソファに塞がれているため逃げることが出来ません。
それでもどうにかして逃げようとする雪姫にリアは声をかけます。
「ちょっと!落ち着いてください!」
それは言外に「止まれ」と言っているかのようでそれに驚いた雪姫は行動を止めます。
「で、でも…寝顔、見られ、た…」
俯きながら顔を赤くします。
「大丈夫ですから!」
リアは雪姫の肩を叩き、落ち着かせます。
「ひゃっ!」
「落ち着きました?」
「う、うん」
雪姫はそう言いながらも深呼吸をします。
「うん。もう大丈夫だよ。ありがとう」
「いえいえ」
リアは雪姫からの感謝が恥ずかしいのか、まともに顔を見られません。
それによって確認できたのですが、雪姫が着ているのは基本的にYシャツで第一ボタンは開けることがありますが、第二ボタンを開けることはありません。ですが、今はそれが開いてしまっているのです。
リアはどのようにしてそれを伝えればいいのか少し考えますが、すぐに行動に移しました。
「雪姫お姉さん、少しの間動かないで目を瞑っていてください」
「?うん。わかった」
雪姫はリアの要望が理解できませんでしたが、素直に聞き入れます。
リアは雪姫が目を瞑った瞬間、目にも留まらぬ早業で雪姫の第二ボタンを閉めます。
「もういいですよ」
「うん。ところでなにをしたの?」
「…秘密です」
リアが返事に少し時間を要したのは素直に言うべきか、はぐらかすべきか悩んだからです。
結局はぐらかしましたが。
その状況を見届けた烱至はリアの耳元で囁きます。
「ねぇ、リアちゃん。少し二人で話さない?」
「いいですよ」
リアは烱至の事を苦手意識しているが、頭の使い方が自分と似ているものだとわかっているのでこのような場合はしっかりと対応します。
二人は少し離れてから会話を始めます。
「それでなんですか?」
「いや、あのね。俺は悠希の女の子嫌いを治したい。それでリアちゃんは雪姫ちゃんの男嫌いを治したいんだよね?」
烱至はまず事前情報の共有と確認から始めます。
この二人で話す際、無駄な雑談を挟む必要はないと短い時間で理解しているからです。
「はい。そうですね」
「俺は、悠希の事を雪姫ちゃんにぶつけたかったんだよね。気が合いそうだし。…でも、あの様子じゃ無理でしょ?」
「…そうですね」
リアは烱至が似たような考えをしていたことに驚きましたが、すぐに俯いている二人を見て苦笑いをします。
「だから、リアちゃんには悠希の相手をしてもらいたいんだよね」
「…雪姫お姉さんに変なことしないでくださいよ?」
リアは自分が肯定した場合の次の言葉を予測して返答します。
「その言葉、了解と受け取るね」
烱至はそう言って雪姫に近寄っていきます。
「はぁ。では、ある程度離してから話しませんとね」
リアも悠希に近付きます。
「では、悠希さん。こちらも二人でお話ししましょうか。こちらに来て下さい」
雪姫と烱至のペアとは対角線上の場所に移動します。
「(本当は私の部屋でもよかったんですけど、流石にそれは速過ぎますしね)」
「………」
悠希は俯いたまま会話を始めようとしません。
「(付いて来てくれた訳だから会話する意思が全く無い訳じゃないはず…)」
そう思ってリアは話しかけます。
「ところで、悠希さんは何故女の人が苦手なのでしょうか?」
「……小さい、トキ、母さん、家を、出た。ズット、家、では、親父と、一緒、ガッコウ、男子校」
悠希はたどたどしく、ときにカタコトになりながらも説明した。
「そうですか。確かにつらかったかもしれませんね。ですが、それは言い訳にすらなりませんよ」
リアは正面から悠希の目を見つめます。鏡写しの自分の目を見るようにじっくりと。
その目が真剣すぎるからか、悠希も目を逸らせません。
「な、なんで?」
今回は少し喰い気味に聞いてきます。
「…それは、私も似たような境遇だからです。父親を幼い時に事故で亡くし、兄弟姉妹もいない。ですから、悠希さんがそれを言い訳にするのは私の人生を否定するようなものです。たしかに傲慢かもしれませんが、それを逃げ道にするのは認めません」
力強いその口調と過去は悠希の壁を壊すには至らなかったが、傾けるには十分すぎる威力だった。
「!……そう、なんだ…。な、んか、ごめん…」
「いえいえ。いいですよ。父親の事なんて覚えていませんし」
二人の間に沈黙が流れます。
そもそもこの二人は共通の話題など持ち合わせていない上に、先ほどの会話によって全体的に空気が暗くなってしまったのです。
それを打開するためにリアは話を展開します。
「ところで、烱至さんと仲が良いようですが、ここに来る以前からの知り合いだったのでしょうか?」
その問いかけに烱至は首を横に振り、言葉を紡いだ。
「烱至さん、は、女が、苦手なオレ、を、フォロー、してくれた、から…」
「そうですか」
リアはあまり理解できていないのだが、とりあえず理解した振りをします。
話のネタが少なすぎて最早、時間稼ぎすらできないがどうにか会話のネタを探します。
そこで救世主のように烱至と雪姫が勇気とリアのもとへ寄ってきました。
登場人物紹介
・月島 羽依
性別…女
髪型…赤みがかった茶色のウェーブロング
年齢…16
身長…160
体重…51
性格…明るく、誰にでも分け隔てなく対応をする
備考…服飾系の専門学校に通っている
服装はベレー帽に合うようにコーデしている
ロリコン