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恋愛シェアハウス【一時休載】  作者: 鏡水 風火
雪姫の人見知り改善計画
2/15

第二話 計画始動

修正点

 前回の登場人物紹介を一部追加

 雪姫は自室に戻るために廊下を歩いています。

 しかし、なにかを思い出したのか立ち止まります。


「リビングに本忘れた」


 コンビニに行く前に読んでいた文庫本をリビングに忘れたままでした。

 その忘れた本は雪姫自身は自分に似合っていないと思っている恋愛小説です。

 それに気づいた雪姫は急いでリビングに戻ります。


「誰も気に留めていませんように…。誰も気に留めていませんように…」


 雪姫は何度も復唱します。

 ですが、その願いも儚く…。


「ん?なんでしょうか?」


 リアはテーブルの上の文庫本を手に取り、少し読みます。


「これは…。この家で小説を読むのは雪姫お姉さんだけですが…。こんな内容のも読むのですか」


 小声で声に出して考えます。


「よし!行こう!」

 雪姫はそんなときに決意を固めてドアを開けます。


「あ」

「……!」


 そこでリアと雪姫の目が合います。


「雪姫お姉さん!捕まえました!」


 リアは雪姫を見た瞬間、抱きつきました。


「ひっ!離して、ください」


 雪姫はおびえています。


「いやです。それでも離してほしければ、もう少しの間だけここにいてください」

「な、なんで?」

「私が雪姫お姉さんの人見知りを治したいからです」


 そう言ってリアは雪姫から離れます。


「で、でも…。私、同性相手、ですらこんな、感じ、だし。治らない、と思います」

「そうかもしれませんが、この家にいる人は大丈夫になるかもしれませんよ?」

「ですけど…」


 雪姫はそう言って俯いてしまいます。


「まったく…。でも…」


 その反応を見たリアは少し呆れたような素振りをしてからテーブルの上においてある文庫本を取りに行きます。


「雪姫お姉さんも、こうゆうのに興味があるんでしょう?」


 その言葉に対して雪姫は無言でしたが、顔を上げたときに見えた表情から「バレた…」という落胆と羞恥が見て取れます。


「大丈夫ですよ。おそらく、私以外の人にはバレていませんから」

「でも、私みたいな、男性嫌いの、人見知りに、恋なんてできるわけ…」


 雪姫は顔を上げていましたが、再度俯いてしまいました。


「雪姫お姉さん、恋はきっと、そうゆうことじゃないんです。そんな理性や考えなんて忘れてしまうのが本当の恋なんですよ!」


 リアは今まで見たことがないほどの真剣な表情でその言葉を言いきりました。


「………。そうなんだ…。じゃあ、少しだけ、頑張ってみます」

「そうですよ!私もできる最大限の援護をしますから!」


 リアはガッツポーズをして雪姫の目を正面から見据えます。


「と言っても、どうしますか…」

「え!?リアちゃん、無計画だった、の?」

「はい。お恥ずかしながら」


 雪姫はリアのその言葉に驚きを隠しきれません。

 そのとき誰かが二人に声をかけてきました。


「たしか、雪姫ちゃんとリアちゃんだよね?ドアの前なんかでなにしてんの?」


 そう聞かれてリアは少しの間硬直していましたが、すぐに行動に移しました。


「さぁ、チャレンジですよ。私が話を振るので、相手をしてください」


 リアは今までにしたことがないほどの背伸びをして雪姫にささやきかけます。

 雪姫に言うとすぐに離れて話しかけてきた人物――――烱至(けいし)にも聞こえる声で言いました。


「雪姫お姉さん、説明お願いします」

「!?そうゆうことなのぉ…。む…無理だよ!」


 リアのその言葉に雪姫はかつてないほどの激しい反応を返しました。


「説明ぐらいできるでしょう?」


 リアはその反応に少し呆れたよう言い返しました。


「無理だよぉ…。それにリアちゃんの方が語彙力あるし…」

「いやいや、普段から小説を読んでる雪姫お姉さんの方が語彙力があるのは確かなんですから説明してください」


 これだけは譲れないと言うようにリアは言葉を紡ぐ。


「で、でもぉ…」


 雪姫はその言葉を聞いて俯いてしまいます。


「ん?俺、嫌なことしちゃった?」


 その言葉にリアは驚いてしまいます。この会話を聞いていてどうしてそういう風に考えられるのでしょうか?と。


「いえ。そんなことはありませんよ。ね、雪姫お姉さん」

「……は、はい…」

「そう。なら、俺の事が嫌いなのかな?」


 そう思っているなら何でこんなに図々しく話しかけられるのだろう?

 リアはどうしても烱至の思考が全く理解できません。

 ですが、雪姫のために今は耐えます。


「そんなこともありませんよ」

「…はい…。そうでも…」


 雪姫が今度はリアに話を振られなくても自分から否定しました。

 そのことを受けて今のリアの心情は「雪姫お姉さんが自分から人に話しかけるなんて…。成長速度はやいですね」でした。

 まるで徒競走で一位を取った子供を見るような目つきでした。


「あ、なら、男の人全般が嫌い。というか苦手っていうことかな」

「はい」


 今度は雪姫が即答しました。

 今までではありえない光景です。


「で、それを治そうと思いまして」

「そうなんだ。でも、結局リアちゃんが説明しちゃったね」


 烱至はその言葉を少し笑いながら言います。


「あ…」


 その言葉を聞いてリアは自身の失態を恥じて顔を真っ赤に染めます。

 第三者が見たら大人が幼女を虐めているからと言って通報されかねない構図です。


「まぁ、そういうことならちょっとずつ自分の速度で慣れていけばいいと思うよ」


 烱至は雪姫にそう言って頭をポンポンと撫でました。


「へ……?」


 雪姫は今されたことを理解できず、硬直しますが烱至がそこから離れていくとされてしまったことを理解して赤面した後、倒れてしまいました。


「雪姫お姉さん!」


 それを見た瞬間、リアは機敏な動きを見せて雪姫を支えました。

 それから、ここに放置するわけにもいかないからと自室に連れていきました。

 ……その小さな体からは想像できないほどの力と身のこなしで雪姫を全く床に引きずらずに。

登場人物紹介

神野(かみの) 雪姫(ゆき)

  性別…女

  髪型…黒のストレートロング(たまにポニテ)

  年齢…18

  身長…169

  体重…52

  性格…人見知りで男性嫌い

  備考…基本敬語。

     笑顔をあまり見せない。

     料理が得意。

     春・夏は基本Yシャツにブラックフレアスカート

     秋は基本長袖のYシャツにネイビーデニムパンツ

     冬は様々なレパートリー

     両親を幼い時に亡くしている

     一人称は「私」

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