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0.そうして勇者は人類を裏切る
*のんびり投稿です
……ギィィィ…
魔の王たる存在へと至る堅牢な門が、軋むような音を立てて開かれた。
開かれた門の先、玉座にて佇む華奢な少女にしか見えない存在は、透き通るような声に苛立ちを乗せ、告げた。
「我が魔王である。人族が勇者よ、よくぞここまで辿り着いた。………貴様は我が首に何を望む……!!」
それは忌々しげに、豪奢とは程遠い厳かな玉座の間に響いた。
魔王が眼前まで、独りで駆け抜けた、勇者と呼ばれる風貌からはかけ離れているだろう黒き衣装を纏う青年。
彼は答える。
「………俺が望むのは――――
―――魔王の配下になる事だ。」
「…………は?」
―――そう、少女の間抜けな声が響いた。