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ゾンビの恋人  作者: 鳥原 麻生
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告白の決意

 次の日は、学食でラーメンを食べていると、「これも食べて」と沙織が小さな弁

当を持ってきた。毒が入っているのではと疑ったが、いちおう開けてみた。


 優介の顔のキャラ弁だった。共食いのようで、とても食べられない。

「俺は小食なんだ」と言って断ると、「それじゃ、俺がもらう」と、佳治が代わり

に食べてくれた。肩をすくめて女子達のテーブルに戻る沙織。


 優介はラーメンをすすりながら、自分の顔が食べられていくのを複雑な表情で見

守った。

(沙織は嫌な気分にさせてくれる天才だ)

 初めは自分を励ましてくれる天使だと思っていたが、今では自分を不幸に導く悪

魔としか思えなくなっていた。


 優介は沙織の座っているテーブルに行くと、

「もう、こんなことはやめてくれよな」

 空になった弁当箱を渡し、沙織を睨みつけた。


 涙ぐむ沙織を友人の女子達が慰め、優介を口々に非難した。優介は困惑し、沙織

は涙を拭いたハンカチの陰で薄笑いを浮かべた。


 このままでは悪者にされて、女子達のイジメの対象になりかねなかった。

(こんな事になるのも、俺に彼女がいないからだ)

 それで沙織に変な期待を持たせてしまい、いつまでもつきまとわれるはめになる

のだろう。


 そうだ、こうなったら勇気を出して、今度こそ沢野留奈に告白し、彼女になって

もらおう。今では美人OLの前でも堂々と漫才ができるではないか。きっと留奈の

前でも、お笑いタレントのようにベラベラと調子よくしゃべれるに違いない。


 前に偶然廊下で会った時は(いつ告るの。今でしょ!)というささやきのままに

声を掛けようとして失敗したが、あれは悪霊のそそのかしだったのだ。お陰でまと

もなことは何一つ言えないまま、大恥をかいてしまった。


 しかし今は違う。美人OL達の前でじゅうぶん習練を積んだ猛者だ。彼女達は自

分のしゃべりに声を立てて笑った。今や留奈を笑わせることだって、十分できるだ

ろう。堂々と彼女を呼び出し、フランス風のエスプリにあふれた言葉で交際を申し

込むのだ。


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