ゾンビの相方
留奈から電話をもらった翌日、優介は一番に教室に入り、やきもきしながら彼女
の登校を待った。ところが自分の次に入ってきたのは佳治で、いきなり聞いてきた。
「今日はやれるんだろうな」
「お笑いなんかできる状態じゃない」
「マジどうしたってんだよ。ゾンビみたいな顔して」
優介は佳治を半眼で見ると、うなずいた。
「ゾンビなんだよ」
「ネタか」
「ネタじゃない、真実なんだ」
「何言ってんだ」
「俺はゾンビなんだ!」
「ガチ面白くねえぞ!」
「俺だって面白くねえ!」
「何言ってんのか、もっと分かりやすく言え!」
「だから俺はゾンビなんだ!」
「わけ分かんねー!」
「何度言ったら分かるんだ! 俺はゾンビ」
「いい加減にしろ!」
佳治は優介の頭を思い切りはたいた。優介は苦笑いを浮かべ、
「そのセリフを吐いたら漫才も終わりだな。俺達の仲も」
佳治は横を向く優介にすがりついた。
「優介、頼む! もう一度俺とやってくれ! お前がトンビだろうが構わねえ」
「ゾンビだ!」
「分かった分かった、お前がゾンビであることを信じる! だから一緒に漫才やっ
てくれ」
「俺の重大な秘密に対するリアクションがおざなり過ぎだ」
「いいか、よく聞け。お前がゾンビだろうが、お前が今、生きていることに変わり
はない。俺にとって、そんな事はどうでもいいんだ。ゾンビ――それはお前の持病
に過ぎない。お前がゾンビでもトンビでも、俺にとっては大切なこの世で唯一の相
方なんだ。お前と漫才やって、もう一度燃えたいんだよ。分かってくれよ!」
優介は太い息を吐くと、静かにうなずいた。
「分かった……俺の心臓が動いている限り、一緒にやろう」




