留奈の探した魔女
彼が校舎に入るのを確認すると、留奈は優介の手を引いて木の陰に連れてきた。
「大事な話があるの」
「なに」
「優介君を元の体に戻してもらう話。私が探した魔女に戻してもらうの」
「元に戻す? そんな事ができるのか」
「分からない……でも、見てあげるから一緒に来なさいって言ってくれたの。ねっ、
今度の日曜日に一緒に行こう」
「そうか……僕を治せる人がいるのか。留奈、ありがとう!」
「いいの。まだ十六なのに生ける屍なんて、優介君が可哀想すぎる。謝礼も全部私
が払ってあげるから、心配しないで」
留奈には独り者で亡くなった伯父がいて、彼から数百万の財産を分与されたのだ。
もちろん、優介はそんなことは知らない。
「高校生の君にそこまでしてもらうなんて……悪い気がする……でも、俺、小遣い
なんて、ちょっとしかもらってないし……毎月必需品を買うのが精一杯の状態で…
…だから一流のお笑い芸人になって、金持ちになりたかったんだ……佳治もインサ
イドなら必ずなれるって……それなのに、あのタコが俺の夢を奪って……命まで奪
って……いったい俺が何をしたと言うんだ!」
優介は叫びながら天を仰いだが、次の瞬間、素早く頭を下げた。
別にボールは飛んでこなかった。
「一人で何やってんの」
「いや、なんでもない」
「とにかく、優介君は何も心配しなくていいの。だから、今度の日曜に一緒に行こ
う」
「分かった。マジありがとう」
優介の目がうるみ、青白い頬に少しだけ赤味が差した。




