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地下室の儀式
ボリュームのあるオムライスをごちそうになった直後、優介は激しい眠気に襲わ
れ、カウンターに突っ伏した。中に睡眠薬が仕込んであったのだ。
「さあ、地下室に運ぶのよ」
ラーナが、真里に化けた沙織に言った。
沙織はぐったりと床に伸びている優介を背負うと、前のめりに倒れた。
「何やってるの!」
「駄目です、重くて。先生も手伝って」
「しょうがないわねえ」
ラーナが両脚を、沙織が両腕を取って地下への階段をゆっくり下りていった。
地下室には、既に儀式の用意ができていた。
祭壇の前に寝かされた優介は、穏やかな呼吸を繰り返している。
「それでは始めるわよ」
ラーナは優介に向かって両手をかざすと、呪文を唱え始めた。
地獄の底から響いてくるような不気味な声に、沙織は背筋が凍りついた。
優介の顔が、苦しげにゆがむ。
沙織は自分の口を両手で押さえると、「やめて」という言葉を必死で飲み込んだ。
恐ろしい呪文が続き、優介の鼓動は次第に弱まり、その顔から血の気が引いてい
った。




