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魔王LIFE  作者: フーミン
1章
8/62

8話 ミスは許されない

ㅤミシェル達はいつ頃来るのだろうか。流石に今日は来ないだろうし、明日も準備等で来ないだろう。明後日もしくは明明後日。

ㅤ念の為明日からヴァンパイア達に警戒させておくとして、今は幻影魔法と《透明化》の練習をすることにした。


ㅤ幻影魔法というのは、イメージした物を視覚的に見せる魔法。物理的に触る事はできないが、出したり消したりと便利な使い方が出来る。

ㅤ技能の《透明化》は、カメレオンの上位互換のような感じ。全身を透明にし、太陽の光も受けない為影もできない。完全な透明人間となる訳だ。肝心の服だが、服もしっかり透明化させられる。

ㅤ裸になんてなりたくないし、良かったな。


ㅤ幻影魔法と《透明化》を使えば、俺の触れない分身を作り出して遊ぶこともできる。

ㅤ他にも通路を隠すのに幻影魔法。女湯を覗く為に《透明化》を貰ったのだが、女魔王になってしまった為女湯は覗き放題。

ㅤでも便利な使い方は出来る。


「リアン、見えるか?」

「いえ全く見えません」

「今度は見えるか?」

「はい、ルト様の姿がハッキリと」

「触ってみてくれ」

「……? 分かりました」


現在リアンには俺の幻影を見せている。本人は《透明化》してリアンのリアクションを真近で見ている。


「っ!? さ、触れません! まるで何も無いかのようです!」

「そ、本当に何も無いんだよ」

「ル、ルト様が2人!?」


リアンは目を見開いて、フサフサの尻尾をピーンと立たせた。


「幻影魔法と透明化を応用してリアンの反応見てた」

「凄いですルト様……ですが……ちょっと恥ずかしいです」


顔を赤くしてモジモジしている。


「可愛いリアクションだったよ」

「やっ、やめてくださいっ!」


顔を両手で抑えてプルプルしている。


「俺の準備は大丈夫だけど、ヴァンパイア達の幻影魔法はしっかり出来てるのか?」

「は、はい。ルト様には本番で披露したいと言ってました」


随分と気合入ってるな。


「エルフ達の演技は?」

「完璧でございます」


問題ないな。後は偵察部隊が城にやってくるという情報を、魔の森に潜めてるヴァンパイアが知らせてくれるのを待つだけだ。


「暇だな」

「あ、あのルト様」

「なんだ?」

「走ってきてもよろしいでしょうか」

「あぁ〜うん。仲間にぶつからないようにな」

「ありがとうございます。では失礼します」


リアンは毎日、城の中を走り回るのが趣味らしい。

ㅤ最近では城の外に出て森の中を走り回っているとか。人間に出くわさなければ良いが。


ーーーーー


ㅤ地下の様子を見るために、大きな階段を降りていく。

ㅤ本番ではこの階段を幻影で無くす。誰かが触れない限りバレる事はない。


「ま、魔王様!」

「「魔王様!!」」


商店街。既に独自の通貨が完成しているようだ。

ㅤといっても前世の日本のような金だ。


1円玉

5円玉

10円玉

50円玉

100円玉

500円玉

1000円札

5000円札

10000円札



見た目は少し違うが、基本的な形は一緒。札には俺の顔が書いてある。変な趣味だな。


商店街は、ダークエルフやエルフが植物を育て。ドワーフが武具、衣装や雑貨の作成。

ㅤヴァンパイア達は本を作ったり、外に出て動物の狩りを行っている。家畜は襲わないように言ってある。


「魔王様、箸というのを完成させました」

「お、どれどれ」


大きさは少し小さいくらいだな。ただ箸先が滑り止めのようにボコボコしており、なにか掴んでも落としにくい作りだ。


「もう少し大きくできたら完璧だ。完成したらご褒美をやる」

「頑張らせてもらいます」


俺が言うご褒美というのは、本当は何か剣などをプレゼントしようかと思っていたのだが、仲間達が「そこまでしなくても嬉しいです」といって、ハグを要求してきた。

ㅤ結局、ハグというご褒美をチラつかせるだけで仲間達の作業効率が上がる最高のシステムが出来上がった。

ㅤイケメンなエルフやヴァンパイアにはもっと良いご褒美を与えたいのだがな。今度作戦を提案したキルシュには更に良いご褒美を与えてみるか。


ーーー


地下2階。仲間達が生活する区間だ。

ㅤ既に子供が出来てたりする家もあり、魔物や魔族の繁殖能力は高いと見られる。

ㅤ特にオーク。オークはムキムキマッチョで大きな牙がある者がモテるらしい。他の魔物より性欲が強く、オーク同士毎日行っている。

ㅤまだまだ場所は有り余っているので、どんどん増えて欲しいものだな。俺も子供作れるのだろうか。


「ルト様」


リアンが俺の元にやってきた。


「どうした?」

「王国の会議を盗み聞きしていたヴァンパイアが捕まりました」

「なっ!? なぜ王国まで行ってるんだ?」


俺はそこまで命令はしていないぞ。


「ルト様のご褒美を貰うためでしょう。捕まったヴァンパイアは2人、なんとか逃げ出したヴァンパイアが情報を持ってきてくれました」

「……言え」

「偵察部隊がこちらに来るのは4日後の朝。勇者が引き連れた100人の軍隊が武装してくるそうです」


勇者というのはミシェルの事だろう。偵察なのに100人の武装した軍隊が来るという事は、戦闘する可能性を考えてか。

ㅤこちらの作戦が少しでもミスしたら、戦闘が始まる。気合を入れないとダメだな。


「捕まったヴァンパイアはどうなった?」

「それが、すぐに逃げ出した為に不明との事です。尋問されて余計な事を言ってなければ良いのですが…」


尋問か。ヴァンパイアはプライドが高い魔族だから、裏切る事はしないだろう。もし裏切られた場合、魔王軍と王国軍の戦争が始まる。

ㅤそれだけは避けなければならないな。


「帰ってきたヴァンパイアは何処に?」

「全てのヴァンパイアを統べるテスラという者が罰を与えています」


ヴァンパイアの王、ってやつか。


「罰を終わらせて休ませろ。無事に帰ってきたんだ」

「ですがルト様の望まぬ事を……」

「2人捕まってしまったのは大きいが、良い情報が手に入った。それだけでも良い仕事をした」

「分かりました。すぐに休ませてきます」


ご褒美はやらないがな。もしそいつらのせいで作戦が失敗したとなったら、奴隷として人間に差し出して戦争をしない為の交渉材料にする。


「魔王様、大丈夫なのでしょうか……」


いつの間にか周りに仲間達が集まっていた。


「大丈夫だ。だが今のヴァンパイアのように勝手な事をしてミスした者はそれなりの覚悟をしておけ」

「「わかりました!」」


これ以上ミスを犯すわけにはいかない。

ㅤそう伝えて、自分の部屋に転移した。


ㅤ今の俺は作成成功後のビジョンを練っている。

ㅤ国と同盟を築き、貿易をするとなればこちらにはそれ相応の人口、新たな技術が必要だ。

ㅤ地下にいる仲間を、どうやってあちらに公開し安全に見せるのか。


「……簡単に学校を作るか」


地下3階に学校を作り、幻影魔法に力を入れての教育。農業、工業など。様々な知識を教えこみ、他の国に劣らない技術を持つ。

ㅤその為にどのくらいの期間が必要なのか分からないが、時間をかければいけるだろう。

ㅤ今のところは危険が無いことを伝えれば良いだけ。長期的に考えていこう。


コンコン「ヴァンパイアのテスラ。失礼する」


突然低い声が聞こえ、ヴァンパイアの王であるテスラが部屋に入ってきた。


「君がテスラか」

「初めまして魔王ルト様……」


俺の国の全てのヴァンパイアを統べるテスラが、何の用で来たのだろうか。

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