表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王LIFE  作者: フーミン
3章
49/62

49話 話の分かるヤツ

「お、俺! ちょっと確認してくる!」


フェンディアが《神速》でどこかへ言ってしまった。


「えっ……とりあえず! …とりあえずどうしよう」

「ルト落ち着いて。もしここが本当に前世だったとしたら、この世界の人々達も僕達を見て驚くはずだ」

「そ、そうね……まずは見えないようにしなきゃ……」


この世界の人々に見えないように特殊な結界を……。


「は、張れない……」


《世界の神》が使えない。そうか……ここは元いた世界とは違う世界。《世界の神》の効果が使えないのはそのせいか……。


「落ち着いて。僕が試してみる……出来た」

「魔法は使えるんだね……」


サハルの《全能》という技能は使えるようだ。


「いま確認してきた。一応この大地は太平洋の上だよ」


ということは人々の迷惑にはなってない……のかな?


「……っ! ミシェルは!? ミシェルはいる!?」

「お、俺が探してくる!」


もしも転移した時に地上にいたのなら……ミシェルはあの世界に取り残されたままだ。


「ーーうわっ!」

「ミシェルッ!!」


フェンディアが一瞬で連れてきたミシェルに、すぐさま抱きついた。


「良かった……居た……」

「ル、ルト……この騒ぎはなんだ?」

「私達異世界人の故郷に転移したのよ」


チヒロが簡単に説明してくれた。


「異世界人の故郷……その割れている鏡のせいか?」

「割れて……っ!?」


鏡は綺麗に割れて、中に入っていた魔力は無くなっている。


「嘘……もう戻れないの……?」

「お、落ち着いてルト。僕達の理想郷はここにある。それに故郷に帰ってこれたじゃないか」


あのサハルでさえも、少しだけ焦っている。


「今は状況を把握することを優先しよう。あの世界に残された人々の事は、一旦忘れよう」

「そうよ王女様」

「……分かった」


一応ほとんどの人はこの大地で生活している。あちらの世界に残された人々は極小数。イシールとミソラさんと……他にも数名。


「今この大地は他の場所からは見えないのよね」

「僕が結界を張ったから大丈夫だ」

「まず……私は1度親に会いに行くわ」

「ま、待って……」

「そ、そうだ! 俺は獣人族になったんだぞ!?」


俺もそうだが、フェンディアは人間ではなくなっている。親に会いに行こうにも無理だ。

ㅤそれに俺は、見た目は人間だけど元の姿ではない。親に会いに行っても赤の他人だ。


「私は……親に心配かけてると思うの。だから早く会いに行って安心させないと……」

「……サハルはどうするの?」

「僕は……別に会いたい人もいないし、ルトと一緒にいるよ」


そうか。


「じゃあ……チヒロ、怪しまれないようにね。その服」


チヒロの今の服はメイド服。そんな姿で歩いていたら……。


「……これじゃ会えないわね」


かなり落ち込んでいる様子だ。

ㅤさてと……これからどうしたら良いんだ。


「……そうだ」


サハルが何かを思いついたようだ。


「コスプレ集団として街を歩いて、服を買えば良いと思うよ」

「コスプレ……そんな恥ずかしいことできないよ」

「そうよ」

「俺なんか尻尾生えてるんだぜ!?」


このまま人前に出るなんてことは無理だな。

ㅤドワーフ達に作ってもらうか……。


ーーーーー


ドワーフ達の工房。そこに、俺、サハル、チヒロ、フェンディア、ミシェル、リアンが揃ってやってきた。

ㅤ何事かと周りはザワザワ騒いでいる。


「要件は1つ、この服を全員分作ってくれ。サイズも書いてある」

「わ、分かりました……」


サハルが紙を渡した。

ㅤ服というのもシンプルな服だ。全員白のロングコートに革ズボン。

ㅤそれも日本に馴染み深いデザインでだ。


ーーーーー


制作が完了するまでの時間潰しに城に集まった。

ㅤ作戦会議だ。


「まず。この世界に来たことで大きな損害があります」


司会は俺。司会らしい口調で行こう。


「私の一部の能力が使えなくなった。ということです。

ㅤもしも今、ミシェルに首を貫かれたら即死。そんな状況になりました」


まあ簡単に避けれるし防げるけどな。


「そして、この大地以外は何も転移していないという事。地上に残してきた人々はそのまま。この大地にいる人、物、それだけがここに転移しました。

ㅤそして戻る方法も皆無」


つまり、この世界でどうにか生きていかないとダメということだ。


「魔法は使えるし、身体能力のそのまま。

ㅤしかし、この世界には魔素がありません。つまり呼吸だけで魔力を得る事は不可能。食事でしか魔力補給はできないということです」


かなりの損害だ。俺とサハルは魔力量がかなり多いため、特に心配はない。それでも魔力の少ない人達は食事を多く取らないといけない。


「で、ここからが本題です。転移者は良いとして、転生者は明らかに見た目が変わっています。家族に会うことも。普通に歩くことすら大変な状況です」

「それは幻影魔法で大丈夫だろう」


と、ミシェルが解決策を上げた。


「幻影魔法はかなりの魔力を使います。長時間は無理ですが、体の一部を変えるのなら大丈夫ですね」


フェンディアも、リアンも。耳と尻尾だけだからな。


「次に、この世界の人々にとって我々は美しすぎる」

「それ自分で言う?」

「転移者は普通ですけどね」

「おい」


だが、確実に今の俺ならモデルになれる自信がある。


「最後に。どうやってこの世界で生きていくかです」

「協力者が必要だね」

「私の友人に手伝ってもらう事はできるわ」

「俺は友人に全て話して協力してもらうぜ」


俺もそうした方が良いだろう。


「まずは、服が完成したら1度私とミシェルとチヒロとサハルで地上に行きましょう。フェンディア、リアンは後からです」

「「了解」」


まずは人間組から外出だ。


ーーーーー


服が完成したので、早速地上に降りる事にした。


「どこに行く?」

「王女様の地元で良いと思う」

「僕人がいるところ苦手なんだけど」

「ルトの地元ってどんなところ?」


あぁ〜一斉に喋るな。


「もう行くよ」


勘で人が居なさそうな場所に転移する。

ㅤ基本俺の地元は人がいない場所なんてほとんどないんだけどな。


「よし……大通りに出るよ」


大勢の人が沢山いる場所に出た。


「なんだあれは……魔物か?」

「車だよ。馬車の代わり」

「あのチカチカ光るのは何故だ?」

「電気で動いてるの」


ミシェルにとっては初体験ばっかりだ。


「早速人が集まってきたね」


スマホ片手に写真を撮る人。俺とミシェルは日本人には見えないからな。それに何かのモデルか女優かと勘違いされているかもしれない。


「な、何をするっ……」

「ミシェル。行くよ」


はぐれないように手を繋ぎながら人混みの中を歩いていく。

ㅤこんなに大勢の人がいると、サハルも大人しくなるようだ。


「あの〜、良かったらウチで働いてみませんか?」

「……」

「ウチのモデル事務所に入りませんか?」

「……」


スカウトを無視して歩いていく。


「どこに向かうの?」

「私の友人が、いつもこの時間帯にいる場所に向かってる」


俺の唯一の友達。頼れる優しい奴だけど友達が少なかった。いつもこの時間は公園の椅子に座ってコンビニ弁当を食べている。


ーーーーー


「この公園だから。怪しまれないようにそこで待ってて」

「「了解」」


ポケットに手を入れて、自然な様子で公園に入る。

ㅤ友人がいつも座っている椅子を見ると、やはり居た。


ㅤ黒髪で少しチャラそうな見た目。膝の上に乗せた弁当を割り箸で突いている。

ㅤ足元には猫。俺と友人はよく懐かれたな。

ㅤ友人の名前は 『赤崎尭(あかざき あき)』。


「こ、こんにちは〜……」

「……」


ボーッとしているのだろうか。俺に気づいていない。


「あの〜……」

「っ!? えっと……どちら様でしょうか」


顔を覗き込むと、やっと反応を示した。


「尭、信じてもらえないだろうけど……俺だ。悠人(はると)だ」

「……マジでか……」


なんだその反応。


「う、疑わないのか?」

「いや……薄々思ってた」

「どういうこと?」

「前によ、事故があったんだ。衝突事故。事故現場に残されていたのは悠人のバイクとヘルメットに血痕。それだけだった。

ㅤだからよ、もしかしたら悠人。異世界転生したんじゃねぇのって思ったわけ」


流石二次元に侵食された脳味噌を持つ男だな。勘が鋭すぎて怖いんだが。


「それに。俺を 尭 って呼んでくれるの悠人だけだったし」

「はは……すぐに信じてくれて嬉しいぜ」

「それで、なんでここに?」

「いやよ。異世界で魔王してたんだけど、事故でこの世界に戻ってきたんだ」

「はっ……魔王ね。悠人らしいな」

「で、どうよ今の俺。惚れた?」

「正直……惚れるな。ってそんな事はどうでもいい。事故って……何か悪いことが起きてるから俺に会いに来たんだろ?」


やっぱり尭は話が早くて助かるな。


「協力してくれ」

「……お前は昔から話が下手だな。協力するのは当たり前だろ? 何したら良いんだ」

「……感謝する。来てくれ、紹介したい人がいる」

「ちょっ!?」


手を掴んで、ミシェル達が待っている場所へと向かった。


ㅤアキは昔から勘が鋭いヤツだった。話もすぐに理解して、ドラ○もんの上位互換。泣き頼まなくても解決してくれるようなやつだ。

ㅤアキと友達で良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ