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魔王LIFE  作者: フーミン
1章
20/62

20話 絶望

それから、俺はいつの間にか気を失っていたらしく、いつの間にか豪華な装飾が施された部屋にいた。

ㅤ俺は白くて綺麗なドレスをしていて、金色のベッドの横はヒール。左手の薬指に綺麗な宝石が填められた指輪を着けていた。


「な、何……?」


魔王に連れ去られたはずなのに、何故このような状況で目を覚ましたのだろうか。

ㅤふと、部屋を見渡すとベッドの横のランプが乗ったテーブルに紙があった。それを手に取り、書いてある内容を読む。


□■□■□


おはよう、ルト。突然の状況に驚いているだろう?

ㅤあまり心配するな。僕は君に危害を加えるつもりは無い。勿論、君が僕に危害を加えることも無い。何故なら、左手の薬指。それに呪いをかけていてね。攻撃をしようとすると強制的に電流を流して動けなくするんだ。

ㅤさて本題だが。君には僕の国の王女、そして僕の婚約者となってもらう。

ㅤそれさえ理解してくれれば、君を困らせるような事はしないよ。十分な生活を送らせてあげるよ。怠惰な君にはその方が嬉しいだろう?

ㅤ詳しい話は後からにしよう。


ㅤby.サハル


■□■□■


それを読んだ俺は、紙をビリビリに破いて投げ捨てた。


「冗談じゃねぇっ!!」


思いっきり叫んだ。しかしその声を聞いている者はこの部屋にいる俺。そして部屋に入ってきたサハルにしか届いていない。


「やぁ、よく眠れたかい?」

「このっっ……」


ニコニコと笑うサハルの顔を見ると、心の奥底から怒りの感情が込み上げてくる。


「そう怖い顔をしないでくれ、僕は君の "ダーリン" なんだから」

「ダーリッ……気持ち悪い事言うんじゃねぇ……」

「まあそうイライラするのも仕方ないね。でも段々とここでの生活が好きになってくるだろう。君を洗脳以外の方法で、僕のお嫁さんにしてみせるよ」


こんな奴の嫁になってたまるか。ミシェル……早く助けに来てくれ……。


「あ、そうそう。特別に君の大事なリアンとかいう女の子を、君の身の回りのお世話をさせることにした。ありがたく思え」

「リアン!? 早く会わせてくれっ!」


リアンがいるのなら、少しでも早く会いたい。


コンコン「失礼します」


聞き慣れた懐かしい声で、リアンが部屋に入ってきた。


「この度、ルト様のお世話をさせて頂くことになりました。リアンと申します。以後よろしくお願いいたします」

「リ……リアン……?」


リアンの様子がおかしい。まるで……初めて会ったような、俺の事を忘れているような……。


「おかしな行動をされると困るからね」

「お前のせいかよっ……くそがぁっ!!」

「おっと」

「があ゛っっ!?」

「紙は読んだかい? 攻撃しようとすると電流が……あぁ、バラバラに破かれているね」


くそ……俺は抵抗することも出来ないのかよ……。この怒りを何にぶつけたら……。


「ストレスが溜まったら、この子を殴るといい」


サハルがそういってリアンを前に出した。


「どこまでも……侮辱しやがって……」

「すまないな。君が不自由のない自由な生活を送れるよう、今後君の要望を聞いていくつもりだ。何なりと言ってくれ」

「リアンの記憶を戻せ……」

「それは無理だ。何故なら二人の為でもあるからね」


くそ……こいつは何をしたいんだ。

ㅤ俺を訳の分からない状況に入れて、更にはリアンの記憶まで消して……俺は何したらいいんだ……。


「話ができる状況じゃないみたいだね。僕は部屋から出ていくとしよう」

「早く出てけっ!!」


サハルが部屋から出ていき、残ったのは俺とリアンだけだ。

ㅤリアンは部屋にある花瓶やテーブルを拭いたりしている。


「リアン……」

「はい。なんでしょうルト様」

「本当に……覚えてないのか?」

「覚えてない、とは何のことか分かりませんが、ルト様とは今初めてお会いしました」


本当に覚えてないのか……。

ㅤ俺は寂しさと怒りと、様々な感情が渦巻いて涙を流してしまった。


「どうしたのでーー」

「触るな」


リアンが別のタオルで俺の涙を拭こうとしたが、つい強い言葉で払ってしまった。


「ご無礼を申し訳ありません」


頭を下げてリアンは謝った。まるで俺が悪いみたいに……いや、今のは俺が悪いのか……もう何が何だか分からない。

ㅤもう……どうしたら良いのか分からない。


「1人にさせてくれ……」

「分かりました。では、失礼しました」


俺は1人、ベッドで横になり泣いた。

ㅤ本当に、何もかも終わった。仲間を悲しませ、ミシェルを悲しませた。ただ絶望感しか心に残っていない。


「くそっっ……くそっ……」


指輪も外れない。窓は開かないし、部屋には何も無い。魔法は使えるものの、壁などを破壊しようとすると電流が流れて動けなくなる。

ㅤ俺はここで、ただ生活することしかできない。

ㅤ涙が止まらない。

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