火種
今よりももっと労働環境とか国民の生活環境が悪くなった、近未来のお話です。
特定の人物組織等を貶める意図はありません。
ふう・・・
「やっと仕事がおわった・・・」
「お疲れ様です先輩」
東京のある中堅会社で私はやっと12時間の労働を終えて一息ついていた。
「今日は残業もないし、このまま家に帰らしてもらおう」
「はは、先輩今日はラッキーですねいつもなら後2時間は仕事があるのに」
「そうだな、しかしうちの会社は1日4時間のサビ残した後の残業には給料が出るからすごい良心的じゃないか、普通の会社は16・18時間労働で残業代なしなんて当たり前なのにな」
「昔の人は1日8時間しか働かなかったらしいじゃないですか先輩、何でそんなに働かなくてよかったんですかね?」
「さあな、昔の人はおおらかだったんじゃないのか?今なら会社は24時間社員が全力で働くものだから12時間の2交代制は当たり前なんだが、昔は違ったらしいあg」
「家に帰って何します?」
「寝るに決まってるだろう?平社員の給料じゃ結婚もできんからな、まあ家に帰れるだけよい身分だと思わなきゃな、派遣やパートなんぞ会社のコンテナや野宿も珍しくない、現代奴隷といわれる日雇いよりはよほどましだ。」
と仕事の終わった男たちがしゃべっているといきなり外が明るくなった。
ドオォォォォォォン
パパパパ パパパパン
散発的な銃声と、少なくない人の怒号が聞こえてくる。
「な・・・・何がおこっいるんだ」
全国の労働者よ!圧制の苦役から立ち上がれ!我々は蜂起する!人民諸君!汝の部署を蜂起せよ!我々の輪に加われ!
遠くから拡声器の声が聞こえてくる、外を見ると温暖化が進んだ世の中だというのに、白い、大きい雪が降り注ぎ、降り積もっていた、夜明け前のまだ暗い中である。
それは、日本を二分する、日本史上最大の内乱の前兆であった。