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「星をあつめるとは、いったいどうやって?」
ヒグマのおさが、こまったようなかおで聞きかえしました。
すると、ものしりのミミズクの大ばばが口をひらきました。
「それなら、岩山の上に立っているまつの木ばあさんのまつぼっくりをあつめて、かしの木じいさんのまわりにおくのだ。まつの木ばあさんのところには、まいばん、たくさんの星があつまっている。星たちのいくつかは、まつぼっくりをばあさんだと思って、おりてきてくれるかもしれん」
高いけわしい岩山の上に立つ、まつの木ばあさんのところまで行ったことのあるものは、そこにはいません。まつの木ばあさんはどうぶつたちがきらいで、たまたま、ちかづいただけで「かえれ!」とどなられたことがある鳥もいました。
「かしの木じいさんのためだよ。ぼくは行ってみる!」
白ウサギの子がつよくそう言うと、まわりの子どもたちも「ぼくも行く」「わたしも行く」と言い出しました。
それを聞いて、おとなたちもみな、「そうだな」「そうしよう」と言い出しました。
子どもたちと、手さきのきようなサルたちは、アケビのつるであんだ大きなかごをかかえ、シカやイノシシのせなかにまたがりました。
一だんは、ぞろぞろと岩山のちょう上を目ざします。
いくら山道になれたシカやイノシシたちでさえ、ときどき、つるつるとすべる岩はだに足をとられ、すべりおちそうになります。こんな山道をのぼっていくどうぶつは、めったにいないでしょう。鳥でさえ、木のみなどどこにもない岩山に、わざわざとんでいこうとは思いません。
シカのせなかにしがみつきながら、白ウサギの子はつぶやきました。
「だれも来ないこんなところでくらしていたら、さびしいだろうね」
それを聞いてどうぶつたちは思いました。まつの木ばあさんは、星だけが話しあいてなんだろうなと。
ようやくのことで、どうぶつたちは岩山のちょう上にやってきました。 いただきのまん中に、くねくねと体をよじるようなかたちの、まっ赤なはだをしたまつが一本、かたい岩ばに、ねをくいこませるようにして立っていました。
まつの木ばあさんは、あんのじょう、ちかづくどうぶつたちにどなりました。
「どうぶつたちよ、このいただきはわたしだけのばしょだ! かってに入ってくるな!」
すると白ウサギの子が、シカのせなかからぴょんととびおりて、まつの木ばあさんにちかづいていきました。
「ちびウサギ、聞こえなかったのか? さっさと山を下りろ!」