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子ウサギの話を聞いて、母さんウサギは大ザル先生にそうだんしました。
「そうか、ではみてくるとしよう」
大きなかばんをかかえて、大ザル先生はおかにのぼっていきました。
じいさんは、しずかにねむっていました。
大ザル先生が、じいさんのねもとにちかづくと、そこにはたくさんのかれ葉がふりつもっていて、やわらかいじめんを作っていました。足をふみ出すと、その中に足がずずっとしずんでいきます。
ようやくみきまでちかづいて、大ザル先生はじいさんにそっと声をかけました。
「かしの木じいさん、ちょっと体にさわってもいいかな?」
かしの木じいさんは、目ざめて少しえだをふるわせましたが、おだやかな大ザル先生のくちょうにおこり出すこともなく、そのままじっとしていました。
大ザル先生は、じめんからはり出しているすう本の太いねに、ひとつひとつちょうしんきを当てて回りました。さいごに、みきのはだに手をおいて、そのひょうめんをそっとなでました。
「じいさん、だいぶしんどかったろう。気づいてやれずにすまなかった。白ウサギの子が元気になって、こんどはじいさんのしんぱいをしておる。わしらでなにかできることはないかな?」
じいさんは小さく葉をゆらしました。
「なにも……。ただこのまましずかにいさせてほしい。ここにはだれもちかづかないでほしい」
それだけつげて、かしの木じいさんは、またねむりにつきました。