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どうぶつの子どもたちがあつまってくると、じいさんはとくいげに、むかしがたりをはじめます。
たびにつかれてしまったふうふツバメが、しばらくのあいだ、この木にすみついて、かわいいひな鳥をたくさんそだてたこと。
まだわかい木だったとき、おしゃべりカケスに声くらべをしようとけしかけられて、えだをおもいっきりふって、大きな音をたてたところ、はっぱがすっかりおちてしまい、はだかんぼの木になって、カケスにわらわれてしまったこと。
むかしは、じいさんのまわりにも、たくさんのなかまの木がはえていて、いまではいちめんひくい草におおわれたおかは、大きなふかい森だったこと。
しかし、そのあたりの木はじょうぶで、よいざいもくになると、にんげんたちがあとからあとからやってきて、すう年のあいだに、じいさんのまわりに立っていたなかまたちを、ほとんど切りたおしてしまったこと。
「わしが生きのこったのは、わしがほかの木たちとはちがって、ひねくれたせいかくだったからじゃよ。長く長く生きのびるには、しょうしょう、わがままでひねくれているほうがいいのじゃ」
どうぶつたちとの、おだやかでたのしい日びを、長くすごしてきたかしの木じいさんでしたが、このごろは、少しおこりっぽくなったようです。
クマの子がみきにつめを立てたといって、えだをふるわせて、どんぐりをおとしてぶつけたり、えだでおしゃべりを楽しんでいた小鳥たちに、「うるさい!」とどなって、みんなおいはらってしまったり……。
いつもやさしくおだやかだったじいさんが、ときどき、気まぐれにおこりだすのを、どうぶつたちは、なぜだろうとふしぎに思いました。