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ふかいふかい山のおくに、一本のおおきなかしの木が立っていました。
まわりの山にはたくさんの木がしげっていますが、かしが立っている小さなおかにだけ、ほかに木がなく、広い青々とした草原になっていました。
そのかしの木は、もうずっとずっと、気のとおくなるようなむかしから、そこに立っておりました。
山にすむどうぶつや鳥たちは、この『かしの木じいさん』が大すきで、あちらこちらからあつまってきては、みきのまわりや、えだの間でやすむのでした。
木のえだというえだには、さまざまな色の鳥たちがとまってはねをやすめ、リスやムササビがはいまわってあそび、森の木を何十本あつめてもまだたりないような、ふといみきのまわりには、シカやサルやイノシシ、小さなノネズミ、ウサギから大きな大きなクマまで、じつにさまざまなどうぶつたちがより合って、なかよくおしゃべりをたのしみます。
ときには、長いたびをつづけてきたわたり鳥たちの休けいじょ、ときには、かりゅうどにおわれたシカやイノシシのかくれば、たかに目をつけられた子ウサギを、木のうろの中にかくまうこともありました。