ボブ太郎
桃太郎の童話を参考にしましたが、連載予定なので終わり方が中途半端です。あくまで、予定なので続きを書くかどうかは未定ですが。
あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんはハッパの栽培に、おばあさんは川に洗濯しに行きました。
「昨日の若憎の血が取れないね」
おじいさんとおばあさんはスラム街でヤクを取引しています。なので、取引失敗で銃撃戦になることは珍しくありません。おばあさんは銃撃戦で浴びた返り血を川で洗濯していたのです。そこにです。
「なんだい、あれは」
川からドンブラコドンブラコと大きなハンバーガーが流れてきました。
「美味しそうだね。じいさんが喜ぶぞ」
おばあさんは川に飛び込んでハンバーガーを手づかみして、家に持って帰りました。
「なんだ、これは」
畑から帰ってきたおじいさんは、巨大ハンバーガーを見て驚きました。
「川から流れてきたのだよ。一緒に食べようじゃないか」
「しかし、これだけ大きいと食べにくいぞ」
「それでは、日本刀で半分に切りましょうぞ」
おばあさんは懐から日本刀を抜きました。日本刀とはジャパニーズサムライの武器です。
「一刀両断にせよ」
おじいさんが命令します。
「勿論じゃ」
おじいさんに言われた通り、日本刀を振りかぶってハンバーガーを一刀両断にすると、なんとハンバーガーの中から黒人の子供が飛び出てきたのです。
「おいおい、ここはどこだ」
黒人の子供は辺りを見回しながら不信感を抱きます。
「それは此方の台詞じゃ」
おじいさんは胸ポケットからチャカを取り出しました。そして、チャカを黒人の子供に向けているのです。
「じいさん、おもちゃを下げな」
黒人の子供はタトゥーまみれの腕を上げ下げします。
「警告はした筈じゃ」
おじいさんは発砲しました。しかし、黒人の子供は瞬時に右手を上げて銃弾を掴んだのです。まさに、目にも止まらぬ早業でした。
「なんじゃと」
おじいさんは目を見開いて驚きます。
「お前さん、名前は?」
おばあさんが聞きました。
「ボブ太郎」
「ハンバーガーから生まれたボブ太郎かい?」
「そうらしいな。俺はダンプカーで魅かれてちまった筈だが」
そう、ボブ太郎は異世界転生したのです。
「気に入ったぞ。私の家で育てよう」
おばあさんは言いました。
「此奴を育てるのか?」
「勿論。じいさんのチャカを制止させた腕を見込んでじゃ」
「ならば儂も賛成しよう」
こうして、ボブ太郎はおじいさんとおばあさんに戦闘訓練されたのです。




