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帰宅





「爺さんや、只今戻りましたよ………………」


隙間風の入る 玄関の引き戸を開ける


「おぅおぅ、遅かったのぅ……………

先に一杯やっておったぞい!!」


モモ婆の旦那、百々爺こと、モモジは、酒が大好き



三度の飯よりも酒が良いのだ


酒さえあれば生きていける


働くのは酒のため



酒は百薬の長と のたまきながら毎日浴びるように酒を飲んでいた…………


働くのは酒のためと のたまってる割に

今日もろくすっぽ働かず家のちゃぶ台で 一升瓶と どぶろくの入った徳利を1日中抱えて番人をしていたらしい………


番人!?

それは、酒がどれだけ残っているか確認する番人である……

酒は 次々になくなるので

番人と言う名は 何か違うのだろうが

本人は酒の警備を常にしているらしい…………



しかし、時に

酒税が高く酒の買えないことも………



たまたまではあるが

近くに老養という滝がありその滝の水が何故か酒であることが分かってからは


常に滝の水をただで汲み飲んでいた…………


その際に しばしば邪魔が入ったがそれはまた別の機会に話そう………



「まったく、爺さん、昼間っから飲んだくれるのは やめておくれ!!

今日は、 ちゃんと山へ芝刈りに行ってくれたんだろうねぇ!?


芝を刈ってくれなければ

山が荒れる 山の恵の山菜や 薪も取れない 芝がなければ火起こしにも困るし 売り物にも困るってものだからね!しっかりやっておくれよ!!」


「でもなぁ…………

酒は滝まで行けばただで手に入るんだし

働かなくてもいいんじゃないか!?


そうだ!!いっそのこと 滝でキャンプして 毎日キャンプ酒 星見酒と洒落込もうじゃないか!!かんら!かんら!」



「爺さん、雨風しのげることのできる家は必要だよ!!

雨の冷たさ 雪の寒さ どうやって乗り越えるのさ!?」


「酒じゃよ!!

酒さえ飲んでおれば 常に心も身体もぽかぽかの花ざかり!!


もう、滝にでも浸かっておるべきかのぅ………」



そう………

その酒による花盛り気分のせいか

いつもにこにこ笑顔のたえない滅茶苦茶いい人と思われ、

日本一の好々爺と言われているモモジであった………



先のように

生活能力は全くもって破綻しており

モモ婆がいなければ 1日とて生きていくことができないほどであるのに…………だ!!



モモ婆ですら実際にモモジを、滝へ沈めようと思ったのは仕方がないことであろう…………


たとえ 沈められたとしても、こればかりは爺さんが悪かろうて…………!!







いや? むしろ、ご褒美か!!??









やったー!!

わし、一生 滝におるでの!!




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