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婆様の重い その5





カンカン カーーーーーン!!!!!!!




試合終了のゴングが鳴った…………




中州の決闘場で一人立っていたのは




モモ婆だった………………




辺りに散らばる 屍のような若妻達………



カッパは 戦闘の行く末を固唾を呑んで見守り

ゴングのあとは拍手喝采!!



ハイタッチしたり、抱き合ったり、涙を流すものまで……………


素晴らしい!!実に素晴らしい戦いだった…………


カッパたちの胸や瞳に熱い炎が見え隠れしている………



彼らも素晴らしい戦いを見たので

我先にと仲間同士 戦い出す者


敗者を労り 励ます者など 様々ではあるが


良い戦いを見せてくれた………と、


ただ尻子玉を脱いてやろうとする者はなかった


戦いに賞賛を!勝者にも敗者にも敬意を!!


それこそが 戦いを挑むもの臨むものの精神であり尊さである!!!



素晴らしいカッパという、隣人に見守られながら

モモ婆は戦いでの傷を庇いつつ

桃を持ち帰ることにする…………



桃に手を触れようと 腕を伸ばすと


桃はぶるぶると震えた…………



「おや?こんな川の中にいて冷えちまったのかい!?」


そう言うと

齢90に近いとは感じさせない力で ちゃぶ台よりも大きな桃を ひょいと持ち上げ肩に担いだ



それにはカッパどもも驚きを隠せなかった



目を見開き皿のようにする者


驚きのあまり飛び上がる者


怯えて隠れる者


だが

勝者への賞賛は欠かさず


道を開け 拍手喝采で見送ったのであった………………



モモ婆も戦いで痛めた身体を 誰にも覚らせず


軽く桃を担ぎ帰路へついた




しかしながら、この桃 そこらの桃と異なるのは大きさだけではない



異様に重いのだ…………



中に、何か異なるものが入っているのでは!??


そんな疑惑を抱きつつ


本当は重くて今にも投げ捨てたい気持ちを 悟られないように粛々と歩いていった




川から遠く離れ

互いの姿が見えなくなった頃

婆様は桃を投げ落とし ズルズルとずって帰宅した………




桃など皮の柔らかいものをずって大丈夫なのか!?



答えは 否だ!!



しかし、モモ婆も 


 もう、 


桃の取り合いに勝利したことで

どうでもよくなっていたのであろう…………










手に入れた瞬間どうでもよくなるあの感じか!?


でも


手に入らなかったものはいつまでも忘れられない………


なんだ?この法則……………

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