婆様の重い その1
重い桃を川で奪い合った あの日……………
そう………あの日の河原は
バーゲンセールよりも 熱く 熾烈な
女と女の戦いがあった………………!!
川で いつものように女同士ぺちゃくちゃ愚痴を言い合いながら 洗濯をしていたのさ………
「全く、やってらんないわよね!!
うちの旦那に 全自動洗濯機が欲しいって言ったら
そんな贅沢できるわけがないって
即 却下よ!!」
と、素面なのに管を巻くのは 華さん
「私らが どんなに冷たい思いをしているのか知らないのよね!!
自分達は 山に芝刈りに行くって言って
ずーっと切り株に座って 煙草吹いて 休憩しているのは
誰しもがお見通しなのに!
なのに わざとらしく…
”あぁ…疲れた、疲れた”って 帰ってくるのだからね!!」
亭主の行動の 逐一を知っているのは 舞さん
「ほんと、それでいて、帰ってきた瞬間、
メシ、フロ、寝る!!!それしか言わないのよね
やんなっちゃうわよね!!
もうね、思春期かっての!!
あ、思春期はメシ、フロ、カネだわ!!」
と、生活に疲れが見えているのは 乙さん
「 亭主元気で 留守がいい!!」
「ホント!!それよ!!」
「ぁ〜ぁ!!もっと 裕福な長者様の息子と結婚すればよかったわ!!
第二夫人にならないかって言われてたのよ!!」
少し鼻にかけたのは華!
「わぁ!!ステキ!!でもね、あの長者の息子!相当なマザコンよ!!」
釘を刺すは 舞!
「えぇ〜〜〜!!そんなぁ!!優しげな表向きに騙されてたわ!!人なんてわからないものね!!」
「そうよ!愛なんて幻よ!!」
宣言するは 乙!
「欲しいのは、お金!!」
「おいしい食事!!」
「上げ膳据え膳 メイドつき!!」
「おやおや、若い衆は楽しいわね!!
わたしゃ、もうすぐ冥土に行くわよ!!」
「「「アハハハ!!」」」
「流石モモばぁちゃん!!
一本取られたわー!!」
「モモばぁちゃんサイコー!!」
「モモばぁちゃんは 結婚して後悔とかなかったの!?」
「そうさねぇ…………
若い時分は、悩んだこともあったわぃ
もうさ、 今は昔 の物語さ!!」
「流石!!モモばぁちゃん、達観してるわ!!」
「じぃちゃん LOVE 一直線!!」
「よっ!! 村一番のおしどり夫婦!!」
「ほほほ…年寄りをからかうものじゃないよ!!
年寄りの冷水ばりに、はりきってしまうからのぅ…」
「「「アハハ!!!」」」
「モモばぁちゃん 上手いんだからぁ!!」
「ホッホッホッ!!」
こんな四方山話をしながら洗濯に勤しんでいると……
「あら?あれ、何かしら?」
華、舞、乙の若妻達の指さす方向を見る……………
「何かしら?桃色よ!!」
「ヤだぁ!!誰かの股引じゃないの?」
「ふんどしかもよ!!」
「キャハハっ!!!」
「あ…あれは!!!!伝説の果実だわい!!!」
「「「えぇぇぇぇーーーーーーーーーー!!!!」」」