ウラない
万祝は自室で殺し屋一家に見合わぬようなモニターを付けて、誰かと対話をしていた。
「ばあや、元気にしてる?」
万祝が明るく振る舞う。
「ああ、はい。坊ちゃんもお変わりないようで......」
ばあやは黒いローブを着ており、顔はよく見えないが、八〇は越えているように思える。
「今日も占い、頼むよ」
(といっても、結果は同じなんだけど)
万祝は上を見た。
載一族は先祖代々から、一人、外の占い師を本家に招く風習がある。
一族を纏めるには占いは効果的なのだ。
だが、このばあや、実はヤブ医者ならぬヤブ占い師だった。
(小さい物事には不吉なことを言い、大きな物事には大言壮語を言ったりする......本家がそれを知ってても、ばあやを外さないのは、人の心を突き動かしてくれるからだ)
例え嘘でも、出来ると言われたら、台風が起きても、津波が起きても、者共は躍起になる......それが、ばあやの小さな魔法だ。
ばあやは一族の癪に障らぬようにしているだけなのにも関わらず。
(ムウの時は占いが間違っていたけど、今回はそうならないで欲しい)
「ばあや、そろそろ終わったかい?」
万祝が慣れた口調でモニターに目をやる。
「ああ、はいはい。出ましたよ。どれどれ......」
その瞬間、ばあやが焦る。
「申し訳ありません、坊っちゃん! もう一度、振らせてくださいませんか!?」
声を荒らげて言う姿を万祝は驚き混じりにまじまじと見た。
「え、あ、うん」
(こんな、ばあや初めてだ......)
いくつかの棒の激しい音がした後、またもや、シワの深い頬が青ざめる。
「もう一度、いいでしょうか......!?」
「いや、いいよ」
慰めるように言うと、万祝は席を立つ。
「坊っちゃん......」
「占いが欺くとしても、俺は勝ってみせる」
あの頃から体躯と精神は一回りほど大きくなった。
そして、この逆境を乗り越える......それはムウの生き様そのものだった。
当主である兄を越えじと、初代当主に負けじと、万祝は数多くの者に支えられ、今バブエの前にいる!
今こそ、力を発揮するときだ!




