表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~  作者: こはるんるん
5章。勇者率いる王国軍を倒す

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/83

61話。執事ランスロット、外道勇者を叩き斬る2

【執事ランスロット視点】


「あっ? 僕の聞き間違えかジジイ? 誰が誰を成敗するって?」


 勇者アベルが小馬鹿にしたように笑います。


「ランスロット、その名前、聞いたことがあるぞ。確か、近衛騎士団長が自分の剣の師匠だとか言って、やたらと持ち上げていたなぁ? ランスロットが課した伝統の剣の素振り1日1000回をやれなんて言われてさ。はっ! バカバカしいから団長の顔面をぶん殴って黙らせてやったぜ?」


「ふっ、左様。1日でも基本の鍛錬を怠れば、剣の腕は鈍るもの。貴人を護る騎士となれば、日々の鍛錬は当然のこと。救国の英雄と謳われるカイン坊ちゃまは、【剣術レベル5】の境地に至った今でも、1日3000回の素振りを日課とされております。勇者とは名ばかりの痴れ者とは、およそ格が違うという訳ですな」

「なにぃいいッ!?」


 勇者アベルは怒りに表情を歪めました。

 宰相殿から勇者アベルは、カイン坊ちゃまに並ならぬ対抗意識を持っているとお聞きしましたが誠のようです。


 こうもやすやすと挑発に引っかかるとは……


「ハッ! もうろくしたのかよジジイ? 僕がカインに劣るとでも言うのか!?」

「おや自覚が無かったのですかな? 英雄と言えば、今や誰に聞いてもカイン坊ちゃまの名前が上がります。逆に賊と言えば、勇者アベル殿の名が真っ先に上がりますな。この事実をどうお考えですかな?」


 私は勇者アベルを注意深く観察しました。

 立ち振る舞いを見れば、相手の剣の腕前はわかります。

 剣を肩に担いだ勇者アベルの剣士としての腕前は、およそド素人ですな。


 しかし、神からえこひいきされたとしか思えない身体能力は驚異の一言です。

 なるほど、この国で一番エライなどと、驕り高ぶるのも頷けます。


「そんな間違った声は、この戦争が終われば覆るさ! いいか、真の天才には努力なんて必要ねぇんだ! 努力なんてのは、弱者がすることだ!

その証拠にお前の弟子の団長も、そこにいるアンデッドナイトも、僕にはまるで手も足も出なかったんだぞ!」

「ランスロット殿、か、かたじけない……!」


 アンジェラ皇女の魔法によって回復したガウェインが、私に礼を述べてきました。


「主君を守るために戦った貴殿に敬意を表しますぞ、ガウェイン殿。ここは私に任せて、アンジェラ皇女と共に下がられよ」

「あ、ありがとうランスロット。助かったわ!」


 アンジェラ皇女も【強化回復薬エクスポーション】で治療を済ませたようです。これで、もう大丈夫ですな。


「弱者ですと? まさか勇者殿には姫君を見事守り抜いたガウェイン殿が、弱者に見えるのですかな? やはり勇者殿の目は節穴ですな。たとえ無様に這いつくばろうとも、ガウェイン殿こそ真の強者です。貴様などより、はるかにまさる!」

「……はっ! なんだそりゃ? 近衛騎士団長も、そう言えば似たようなことを言ってたなぁ。誰かを守るために剣を振るう者が最強だとか、なんとかよぉおおおッ! うぜぇ、うざ過ぎだぜぇええッ!」 


 勇者アベルは癇癪を起こしたように叫びました。


「だったらよぉ! てめぇを今すぐ半殺しにして、目の前でそのお姫様をピーしてやるぜぇええッ。2度と舐めた口が聞けねぇようにな! ギャハハハハハッ!」 

「……やってみるが良い」


 私は剣を鞘に納め、腰を落としました。

 最速の剣を求めた私が行き着いた答え。それは、東方武術の流れを組む【居合い】です。


 鞘走りを使って剣を加速させる斬撃奥義。敵は斬られたこともわからぬまま絶命する。

 刹那の一瞬。その一撃にすべてを賭けて放つ技です。


「くたばれジジイ!」


 勇者アベルの姿がブレました。

 まさに神速の踏み込み。

 またたく間にヤツは私の間合いに侵入し、剣を振り下ろします。


 しかも、どうやら人の視覚を狂わす幻惑スキルを使用し、攻撃を見切らせないようにしているようです。


 しかし、その寸前に私はユニークスキル【看破かんぱ】を発動させていました。


=================


看板かんぱ

 相手の保有スキルを見破り効果を半減させます。


=================


 100以上のスキルを持つという勇者──確かに恐るべき相手ですが、スキルと身体能力の強さだけを頼りにしているなら、付け入る隙はあります。


 まさか、そのスキル効果が突如半減するなどと、夢にも思わないでしょうからな。


「秘剣【朧月おぼろづき】!」


 私が極めた【居合い】は、剣を抜く手も見せずに、敵を斬り伏せるというもの。

 次の瞬間、鞘から放たれた剣は、閃光となって勇者の胴を斬り裂きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼コミカライズ版 2025年5月29日徳間書店より刊行。 勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロイン
以下の公式サイトで試し読みができます!
https://unicorn.comic-ryu.jp/3587

▼書籍化しました! 2024年11月15日【電撃の新文芸】より刊行。
『勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
91iluzDBtOL._SL1500_.jpg
↓こちらもオススメ! 同じ作者の新作です!

魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ