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勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~  作者: こはるんるん
4章。迷いの森のエルフとボス討伐マラソン

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53話。黒竜を倒して新スキルをGET

ゴォオオオオン!


 雄叫びと共に、黒竜が黒い炎を全身にまとった。生命を蝕み、焼滅しょうめつさせてしまう効果を持つ闇属性の炎だ。

 黒竜が切り札である防御スキル【黒炎の加護】を発動させたのだ。


「ヤバい、みんな下がれ! アレに触れると死ぬぞ!」

「ふ、ふぇっ!?」

「は、はい!」


 俺は黒竜が転倒した隙に攻撃を加えようとしたが、これでは近づけない。


「なら魔法攻撃よ。【獄炎鳥ごくえんちょ】!」


 アンジェラが即死魔法である呪いの小鳥たちを放つ。【獄炎鳥ごくえんちょ】は黒竜に次々に激突するも全く効果がない。


「無駄だアンジェラ! ヤツの闇の炎は、俺の【黒月の剣】と同様、魔法をも消滅させる効果を持つんだ!」


 そもそも人間よりはるかに霊格の高いドラゴンに、即死魔法は通用しにくい。魔力を消耗するだけだ。


「えっ、そ、それじゃ、どうすれば良いの!?」

「ひぃいいいいッ! こ、こっちに来ますよ!?」

 

 黒竜は地面に伏せたまま、俺たちに這い寄って来た。

 立てば転倒してしまうから、にじり寄って俺たちを全滅させようという魂胆だな。


 ボス部屋の入り口は魔法トラップによって固く閉ざされ、黒竜を倒さない限り、外には逃げられない。

 ここで、なんとしても倒すしかない。


「大樹、召喚!」


 セルヴィアの叫びと共に、黒竜の進路上に巨木がいくつもそびえ立つ。

 しかし、何の障害にもならず、闇の炎に触れただけで巨木は消え去った。


「そ、そんな……ッ!?」

「ひぇ!? も、もももうダメです!」


 みんなの顔に絶望の色が浮かぶ。

 黒竜も勝利を確信し、嘲笑うかのように目を細めた。


 ……よし、ヤツは油断しきっているな。今がチャンスだ。


「大丈夫だ。俺に任せろ! 【デス・ブリンガー】2連続!」


=================


スキル【デス・ブリンガー】

 生命力(HP)の半分を代償に支払うことで、剣の攻撃力を5分間、100%上昇させます。


=================


 【デス・ブリンガー】を2回連続で使うことで、俺の生命力(HP)は強制的に1となり、スキル【ジャイアントキリング】が発動する。


=================


スキル【ジャイアントキリング】

 レベルが上の敵と戦う際、生命力(HP)が半分以下になると攻撃力と敏捷性が100%上昇します。


=================


 【黒月の剣】✕【剣術レベル5】✕【デス・ブリンカー】×2×【ジャイアントキリング】。


 相乗効果によって物理攻撃力と闇属性攻撃力が、トータルで12倍も上昇するこのスキルコンボは、実に凶悪だ。

 これぞまさに【格上殺しビルド】の真骨頂。


「カイン兄様、一体、何を……!?」

「スキル【幻体】発動!」


 最後に、俺はアンジェラから伝授してもらったレアスキルを使った。


=================


スキル【幻体】

 自分とまったく同じ容姿、装備、能力を持つ分身を生み出すスキル。分身は、スキル使用者の意図した通りに動きます。効果時間60秒。クールタイム60分。


=================


 俺の隣に、俺と瓜二つの分身が出現する。

 

「うぉおおおおおッ!」


 その分身が地面を蹴って、黒竜の頭に刺突を放った。

 【幻体】によって出現した分身は、あらゆる攻撃を透過する性質を持つ。黒竜のまとう黒炎も、その突進を阻むことはできない。


 俺の分身の攻撃は、黒竜の鱗を貫き、頭蓋に剣を深々と突き刺した。


ギャオォオオオオン!

 

 その瞬間、噴き上がった【黒月の剣】による黒炎が、黒竜のまとう黒炎を侵食して、消し飛ばす。

 人間の闇属性力が、黒竜の闇属性力を上回るなど、本来絶対に有り得ないことだが、攻撃力12倍アップは伊達ではなかった。

 

 激痛にのたうち回る黒竜は、何が起こったのか、まったく理解できていない様子だった。

 取るに足りないと見下していた相手から、致命傷を受けるなど予想外だろう。


「今だ!」


 今度は俺自身が猛然と踏み込んで、黒竜の脳天にトドメの斬撃を叩き込んだ。

 黒竜は断末魔の絶叫と共に倒れる。


「や、やった、黒竜を倒しました! さすがは私のカイン兄様です!」

「エルフの奥義【幻体】、さっそく使いこなして見せたわね。さすがよ!」

「ひゃあッ! ドラゴンを倒してしまうなんて……! す、すごいです!」


 3人の少女が大歓声を上げる。

 さらにシステムボイスがスキルの獲得を告げた。


『おめでとうございます!

 

 黒竜に勝利したことで、黒竜のレアスキル【黒炎の加護】を習得しました。

 闇属性の炎を身にまといます。効果時間5分。クールタイム60分。

 また闇属性攻撃力が常時30%アップします』


『レベルが57に上がりました!』



 =================


カイン・シュバルツ

レベル57(UP!)


ユニークスキル

【黒月の剣】

 剣技に闇属性力が付与されます。


スキル

【剣術レベル5】

 剣技の命中率と攻撃力が50%アップします。


【矢弾き】

 飛び道具を弾く成功率が50%アップします。


【ジャイアントキリング】

 レベルが上の敵と戦う際、HPが半分以下になると攻撃力と敏捷性が100%上昇します。


【薬師レベル1】

 薬の調合が可能になります。


【アンデッドバスター】

 アンデッドの持つ耐性、スキルを無効化できます。

   

【デス・ブリンガー】

 生命力(HP)の半分を代償に支払うことで、剣の攻撃力を5分間、100%上昇させます。


【起死回生】

 生命力(HP)1の状態になると、敏捷性が100%アップします。


【幻体】

 自分とまったく同じ容姿、装備、能力を持つ分身を生み出すスキル。分身は、スキル使用者の意図した通りに動きます。効果時間60秒。クールタイム60分。


【黒炎の加護】(NEW!)

 闇属性の炎を身にまといます。効果時間5分。クールタイム60分。

 また闇属性攻撃力が常時30%アップします。


 =================

●読者の皆様に大切なお願い●


「5秒程度」で終わりますので、ぜひよろしくお願いします。


ここまでのお話が、


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▼コミカライズ版 2025年5月29日徳間書店より刊行。 勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロイン
以下の公式サイトで試し読みができます!
https://unicorn.comic-ryu.jp/3587

▼書籍化しました! 2024年11月15日【電撃の新文芸】より刊行。
『勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
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魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件
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