表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~  作者: こはるんるん
4章。迷いの森のエルフとボス討伐マラソン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/83

44話。ウッドゴーレムを倒して新スキルをゲット

 道の左右から見上げるような木造の巨人──ウッドゴーレムたちが雪崩を打って襲いかかってきた。

 彼らは木に擬態していたのだ。その腕には、連射式ボウガンが装着されている。


「すみません、カイン兄様! 結界の影響で、精霊たちの声が聞こえにくくなっていました!」

「いや、良く教えてくれたセルヴィア!」


 幻惑の結界は、五感だけなく魔法的な感覚も狂わすのだ。

 見れば、ここら一帯の木々はすべて待ち伏せしていたウッドゴーレムだった。ここは、侵入者を撃退するための必殺の狩り場だ。


「おいでなさい【死霊騎士団デスナイツ】!」

「はっ!」


 アンジェラがさっそく死霊騎士たちを召喚する。

 首無し騎士であるガウェインが、ウッドゴーレムに強烈な斬撃を浴びせた。


「ぬっ!?」


 しかし、ウッドゴーレムは瞬時に再生し、何事も無かったように、ガウェインに拳を打ち下ろしてくる。


「ウッドゴーレムの特徴は、高い防御力と再生能力だ! 火属性攻撃以外は、有効じゃないぞ!」

「では、【アルビドゥス・ファイヤー】の出番ですね!」

「火属性攻撃? なら【冥火連弾ヘルファイア】よ!」


 俺の指示に、ふたりの少女は瞬時に応えてくれた。

 

 火炎攻撃でおもしろいように大量のウッドゴーレムを撃破していく。弱点さえ把握できていれば、どんな敵でも怖くはない。


「はぁあああああッ!」


 俺は縦横無尽に駆け回り、ウッドゴーレムを次々に両断した。


 【デス・ブリンガー】×【デス・ブリンガー】×【黒月の剣】


 攻撃力4倍の効果は、【黒月の剣】の闇属性力にも上乗せされ、ウッドゴーレムは闇の炎に蝕まれて一撃で焼滅していく。


「ちょっとカイン、あなた生命力(HP)1で無茶苦茶よ!」


 アンジェラは暗黒系スキルに造詣が深いようで、俺の行為に唖然としていた。


「えっ!? 兄様、【強化回復薬エクスポーション】を!」

「ありがとう、このままで大丈夫だ!」


 セルヴィアの忠告を無視して、俺は敵を斬りまくる。


 ウッドゴーレムは推定レベル30だが鈍重で、敏捷性を鍛えまくったレベル48の俺には、まず攻撃が当たらない。


 それに、このまま敵を撃破し続ければ……


『生命力(HP)1の状態で、50体以上の敵を倒しました。


 おめでとうございます!

 スキル【起死回生】を習得しました。

 生命力(HP)1の状態になると、敏捷性が100%アップします!』


 狙い通り、新スキル【起死回生】を入手できた。

 俺の身は、雷のごとき速度となり、怒涛の勢いで、ウッドゴーレムを斬り滅していく。


『レベルが49に上がりました!

 レベルが50に上がりました!

 レベルが51に上がりました!』


 いいぞ。動きの遅いウッドゴーレムは【起死回生】のスキルを発動させた俺にとって、良い経験値稼ぎの相手だ。


 この勢いで、もっともっとレベルを上げて……レベル99の勇者を屠れる領域にまで、手を届かせてやる。


「カイン兄様、いくら何でも無茶です! 死んでしまいますよ!」


 セルヴィアが悲痛な声で訴えた。


「また、この地を侵略する気か人間!?」


 その時、弓を構えたエルフたちが飛び出してきた。

 ウッドゴーレムでは、埒が明かないと思ったのだろう。

 

「待って! 俺はアルビオン王国の貴族カイン・シュバルツだ。エルフと争うつもりもない!」


 すぐさま俺は剣を収めて、両手を上げた。

 セルヴィアを守れるように、彼女の近くまで後退する。


「何者であろうと、我らの領域を犯せば死あるのみ!」


 エルフたちは完全に殺気立っていた。 


「お待ちなさい、あなたたち! 森に作られた、この道。この力はまさに【世界樹の聖女】様によるものよ!」


 ひときわ目を引く美女が、エルフたちを叱咤しつつ現れた。

 その容姿には見覚えがあった。


「族長のセリーヌ殿ですか!? 14年前に皇帝ジークフリートに奪われたあなたの娘、アンジェラを連れてきました!」

「「なっ!?」」


 戸惑いの声が、両陣営から上がった。


「ちょ、ちょ、ちょっと待ちなさい! あの人が、私のお母様だというの?」

「瞳の色がアンジェラと同じ紫だろう? 紫眼はエルフでも人間でも希少で、偶然の一致はまず有り得ない!」

「そんな……ッ!」


 アンジェラが息を飲んで目を見開く。


「なぜ、私が族長のセリーヌだと!? それにジークフリートが、アンジェラを自ら手放す訳が無いわ!」


 セリーヌが威嚇するように弓を構える。


「まさかアンジェラを使って、私たちを皆殺しにしようというの!? あなたがジークフリートの手先ではないという証拠を見せなさい!」


 ま、まいったな。


 アンジェラをセリーヌに引き合わせれば、セリーヌは感激してくれるだろうと思っていたが、ことはそう単純では無かったようだ。


 その時、伸びた草花が、エルフたちの弓を絡め取った。


「なにぃ!? こ、この力はまさか、本当に!?」


 エルフたちの間に衝撃が走る。


「待ってください。私は【世界樹の聖女】セルヴィアです。カイン兄様は、私の婚約者にしてアルビオン王国を救った英雄です。皇帝の思惑とは無関係であること、あなた方に決して危害を加えないことを、私が保証します!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼コミカライズ版 2025年5月29日徳間書店より刊行。 勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロイン
以下の公式サイトで試し読みができます!
https://unicorn.comic-ryu.jp/3587

▼書籍化しました! 2024年11月15日【電撃の新文芸】より刊行。
『勇者の当て馬でしかない悪役貴族に転生した俺~勇者では推しヒロインを不幸にしかできないので、俺が彼女を幸せにするためにゲーム知識と過剰な努力でシナリオをぶっ壊します~』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
91iluzDBtOL._SL1500_.jpg
↓こちらもオススメ! 同じ作者の新作です!

魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ