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猫の返事

　東京に出てきた頃、意外とのら猫が多いので嬉しかった。地元にいた時から、猫を見ると「ニャーッ」と話しかける（？）のが癖になっていたのだが、ある日不思議なことに気づいた。

　東京に来てから、野良猫が百発百中の割合で返事をしてくれるのだ。

　何を言ってるんだと思われるかもしれないが本当である。　

　もちろん、お互い言葉がわかるわけではない。なんとなく通じてる気がするだけだ。

　挨拶程度に軽く答える子もいれば、聞いてくれよと言わんばかりに追いかけてくる子もいる。

　あまりの必死さに、話しかけたことを後悔する事もあった。思い込みと言われればそうかもしれないが、本当のことだ。

　一年位そんな状態が続いたが、気がつくと誰も答えてくれなくなっていた。寂しいものである。

　深くは考えなかった。

　長年飼っていた猫が亡くなったので、しばらくそばにいたのかなとか、知らないうちに猫語をマスターしていたが、喋れなくなったのかなとか。

　まあ、頭がおかしいと思われても何だから、こんなこと誰にも話したことはないが、同じような経験をした人がいれば聞いてみたいと思う。