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第44話 呪われし者たち4


「な、何をする気ですの!?」


「なあに、貴様には我が同胞の慰めになって貰うだけだ。なんせ戦闘の直後は皆気が立っていて収まらんからな」


 バラートが指を鳴らした次の瞬間、地面から更に二本のつるが飛び出して服の下からロリエの身体に巻き付いた。


「や、やめなさい! 気持ち悪い!」


「なあに直ぐに気持ち良くなるさ」


 二本のつるはロリエの身体を左右から弄りながら上に上っていく。


 ロリエの身体は頑丈にできているが身に纏っている衣服は違う。

 つるが動くたびに衣服が端からビリビリと破れ始めた。


 周囲を見るとエルフの兵士たち「ぐへへ」と醜い笑みを浮かべながらロリエを眺めていた。


「い、いい加減になさいまし! こんな事をしてただで済むとお思い!?」


「ははは、確かに貴様は呪いによって並はずれた力を得、更に別の呪いに対しての耐性まで手にしたお陰で我らにとっては何よりの脅威だった。だがこの期に及んでは最早何もできまい」


 バラートは楽団の指揮者のように指を動かすとそれに連動するようにつるは更に激しくうねり、ロリエの身体を弄ぶ。



 俺はその様子を城壁の上からはらわたが煮えくりかえるような気持ちで眺めていた。


 何が森の賢者エルフだ。

 森の賢者モードの間違いじゃないのか。


 ロリエを助けに行きたいけど、もし俺が呪術によって操られるような事になればミイラ取りがミイラになるだけだ。


 一か八かこの場所からエルフの呪術師たちに向けて黒魔法を放っても距離があり過ぎて大した威力は出ないだろう。


 だからと言ってロリエが辱められるのをこのまま黙って見ている事はできない。


 だとしたら方法は一つ。


 呪術の影響範囲のギリギリまで奴らに近付いて黒魔法をお見舞いしてやる。


 俺は城壁から飛び降りると一直線にバラートの下へ向かった。


 呪いによって操られている魔王軍の兵士たちが襲いかかってきたが、俺は構わず黒魔法で吹き飛ばした。

 どうせ後で俺の【破壊の後の創造】で治せるのだから躊躇はしない。


 奴らに近付くにつれて気持ちが悪くなってきた。

 エルフの呪術師たちが作り出した呪界の中に入った証拠だ。


「はぁはぁ……」


 呼吸が苦しくなってきた。

 そろそろ限界か?


 ……いや、気分は悪いけど意識ははっきりしてるし、身体も自由に動く。


 もう少し近付けそうだ。


 魔王軍の中を突破すると、その先ではエルフの兵士たちが俺を待ち構えていた。


 エルフたちが相手ならそれこそ躊躇する必要は全くない。


 俺は迫りくるエルフの兵士たちを黒魔法で消し飛ばしながら一直線に突き進んだ。


 そしてついにバラートが俺の黒魔法の射程内に入った。


 俺はまだ意識を保っている。


「はぁはぁ、なんとか耐えきったぞ。一か八かの賭けは俺の勝ちだ! ……破壊魔法デモンズクラッシャー!」


 俺はバラートに向けて手を翳し、残った魔力を解き放った。









 ……つもりだった。



 俺の手から黒魔法が放たれない。


「ははは、今何かをしたのかねルシフェルトくん?」


 魔法を封じられたのではない。


 俺の中の黒魔力が枯渇したんだ。


 バラートは勝ち誇ったように大口を開けて嘲笑いながら言った。


「ふはははは、我らにとってはロリエと並んで貴様の黒魔法も厄介だったのでな。予め貴様の黒魔力が尽きるように仕向けさせて貰ったよ」


「何だって? ……はっ、まさか!」


 俺は魔王軍とエルフ軍の戦闘が始まる前に呪われたノースバウムの村人を救う為に村全体を黒魔法で吹き飛ばしたのを思い出した。


 その一発で俺の黒魔力の大半が消費されていた。


 ……その前に魔王も吹き飛ばしてたけど、村全体を吹き飛ばした時に消費した黒魔力に比べたら誤差の範囲だ。


「まさか……お前たちはそんな事の為にノースバウム村に呪いを掛けたのか!」


「ふっ、この村は魔界の入り口という立地上色々と利用価値があってな。貴様の黒魔力を消費させるのにも都合が良かっただけの話だ」


「馬鹿にして……くそっ!」


 悔しがっても黒魔力が空になった俺にはもう戦う手段がない。

 俺はこのままエルフたちの呪術によって魔王たちのように操られてしまうのだろうか。







 否、こんな時の為に俺には切り札があった。




 魔界の瘴気──黒魔力──を宿した魔瘴石だ。


 俺は懐から魔瘴石を取り出してしっかりと握りしめた。



 魔瘴石から俺の手を伝って黒魔力が流れ込んでくる。


 これなら後一発くらいは黒魔法が放てるはずだ。


 俺はバラートに向けて手を翳した。


「くらえ! 破壊魔法デモンズ……」


「残念、そこまでは想定済みなんだ」


 俺が呪文を詠唱する間にバラートは涼しい顔でそう言ってのけた。


「グルルルアアアアア!」


「何!?」


 突如聞こえた狂気に染まった唸り声のする方角を見ると、エルフたちに操られていた魔王アデプトが俺に向けて手を翳している。


 そしてアデプトの手から膨大な黒魔力が俺目掛けて放出された。


「くっ!」


 俺は咄嗟に掌をアデプトに向け黒魔法で迎撃をする。


「ぐあああああああああああ!!!!」


 間一髪、俺の手から放たれた黒魔法はアデプトの黒魔法を掻き消してそのままアデプトの身体を消し飛ばした。


「はぁ、はぁ……危ないところだった」


 しかしこの一発で魔瘴石に宿っていた黒魔力は完全に無くなってしまった。




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